2007年4月30日 (月)

いさ゜ゆかむ

いざ行かむ、行きてまだ見ぬ山を見む、このさびしさに
君は耐うるや。


           若山牧水

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八木重吉 詩集より

1.花はなぜ美しいか
 ひとすじの気持ちで咲いているからだ

2.空のようにきれいになれるものなら
 花のようにしずかになれるものなら
 価なきものとして
 これも捨てよう あれも捨てよう

3.いつわりのない
 こころをもとめ
 あいてのないこころをいだき
 きょうはすぎた
 あしたもゆこう

4.みづからをすてて
 まず人につくすという
 そのひとつをのぞいたなら
 切切の詩をつくってゆく
 それよりほかになすべきわざをしらない

5.かなしさがながれる日
 わたしの詩はうまれるのです
 さぶしさがかがやく日
 わたしのこころは高原をゆくのです

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こころよく 我にはたらく仕事あれ

こころよく

我にはたらく仕事あれ

それをし遂げて死なむと思ふ


      石川啄木

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初恋

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋の盃を
君が情けに酌みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

     島崎藤村

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