2017年5月22日 (月)

難治性血管炎の「免疫チェックポイント分子」を発見

2017年4月18日
大阪大学研究情報
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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本研究成果のポイント
 
・好中球が関わる免疫難病、
 ANCA 関連血管炎の病態を解明する
 免疫チェックポイント分子を発見
 
・セマフォリン4D(SEMA4D)が好中球の
 活性を制御する機能を有していること
 およびそのメカニズムを解明
 
・「好中球の免疫チェックポイント加療」
 による、血管炎治療への応用に期待
 
 
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概要
 
 大阪大学大学院医学系研究科の
西出真之助教、熊ノ郷淳教授
(呼吸器・免疫内科学)らの
研究グループは、
セマフォリン4D(SEMA4D)という
タンパク質が好中球の活性を制御する
免疫チェックポイント分子として働き、
免疫難病のひとつであるANCA関連血管炎の
病態に重要な役割を果たしていることを
明らかにしました。
 
 ANCA 関連血管炎(AAV)は発熱、
体重減少といった全身症状の他、
皮膚、神経、肺、腎臓などに重篤な
臓器障害を生じる免疫難病であり、
日本における患者数は約1万人と
言われています。
 
 治療にはステロイドなどの強力な
免疫抑制剤が用いられますが、
副作用等の懸念から、より安全で、
効果的な治療薬が求められています。
 
 また、セマフォリン分子群は、
神経発生、免疫、血管、骨疾患、
神経変性疾患、がんの転移、浸潤などに
関与する「ヒトの病気の鍵分子」であり、
創薬ターゲットとして注目を集めている
タンパク質群です。
 
 今回、本研究グループは、好中球上に
発現しているSEMA4Dが
「免疫チェックポイント分子」として
好中球の不適切な活性化を阻止する
ブレーキ役として働いており、
このブレーキが外れてしまうことが
ANCA関連血管炎の発症に関わっていること
を解明しました(図1)。
 
 本成果は、SEMA4Dを介した
「好中球の免疫チェックポイント加療」
による血管炎治療への応用が
期待できます。
 
 本研究成果は、リウマチ・自己免疫疾患
の臨床・研究領域では最も権威があると
される、欧州リウマチ学会誌
「Annals of the Rheumatic Diseases」に、
4月18日(火)午前0時(日本時間)に
公開されました。
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 好中球表面の膜型SEMA4Dが
「免疫チェックポイント分子」だと
言っているのかな?
 
 「好中球の免疫チェックポイント加療」
を実施するための具体策は示されていない
ようです。
 
 
>血清の遊離型SEMA4D濃度は
>ANCA関連血管炎の病勢を反映する
>マーカーとして有用であり、
>また、好中球表面の膜型SEMA4Dは、
>好中球の活性化を制御する
>新たな治療ターゲットとなりうる
>可能性が示唆されました。
 
 
 今後の更なる研究に期待します。

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2017年5月21日 (日)

コレステロール運搬体(LDL)は薬も運ぶ

2017.4.4
東京大学
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
◆血液中でコレステロールや中性脂肪
 などの脂質の運搬を担う LDL(注1)
 が、脂質のみならず薬の運搬体としても
 機能していることを見出しました。
 
◆これまで着目されていなかった薬と
 LDL の相互作用が、薬の体内挙動に
 影響を及ぼすことを見出した重要な
 発見です。
 
◆本研究成果は、脂質(LDL)代謝の
 変動を考慮した薬の投与設計や
 薬物治療の最適化に貢献することが
 期待されます。
 
 
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概要
 
 一般に悪玉コレステロールとも呼ばれる
LDL は、血液中で水に溶けにくい脂質
(コレステロールや中性脂肪など)を
体の各組織に運搬する役割を担っています。
 
 LDL コレステロール値(濃度)が高いと、
心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患に
繋がる動脈硬化症を発症する可能性
が高まることから、これらの疾患の
リスクを予測するためのバイオマーカー
として、多くの健康診断で検査されて
います。
 
 近年、LDL には脂質のみならず、
ビタミン E やビタミン K などの一部の
栄養素も分布することが明らかとなり、
さまざまな生体内物質の運搬に LDL が
関わることが分かってきました。
 
 一方、病気の治療に用いられる薬も、
服用後は血液中を循環して体の各組織に
運ばれますが、薬の運搬に LDL が
関与しているのかについては、
これまで注目されていませんでした。
 
 東京大学医学部附属病院薬剤部の
山本英明大学院生(当時)、
高田龍平講師、山梨義英助教、
鈴木洋史教授らのグループは、
水に溶けにくい性質をもつ薬の多くが
LDL に分布すること、そして、
それらの薬の体内挙動
(血液中から体の各組織への移行)は、
LDL コレステロールと同様に LDL 受容体
(注2)によって制御されていることを
見出しました(図1)。
 
 本研究の成果は、脂質のみならず
薬の運搬体としても機能する LDL の
新たな側面を明らかにするとともに、
LDL の血液中濃度の変動を考慮した
薬の投与設計や薬物治療の最適化に
繋がるものと期待されます。
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>LDL は薬の運搬体としても
>機能している。
 以外です。
 
 
>本研究の成果は、脂質のみならず
>薬物の運搬も担うという
>LDL の新たな側面を明らかにした、
>生理学的に重要な発見です。
 
>薬の体内挙動を予測するにあたり、
>これまでは、血液中でタンパク質に
>結合していない非結合型薬物(注5)
>のみが組織移行可能であり、
>タンパク質結合型薬物(注6)は
>組織移行しないと考えられていました。
 
>しかしながら、今回の研究により、
>これまでタンパク質結合型薬物に
>分類されていた LDL 分布型薬物も、
>LDL 受容体を介して組織移行しうる
>ことが明らかとなり、薬物動態学的な
>観点からもきわめて重要な成果と
>なりました(図6)。
 
>さらに、基礎研究の結果から
>ヒントを得て、臨床で行われている
>LDL アフェレシス療法が、
>LDL 分布型薬物の血液中濃度も
>大きく低下させてしまうことを
>新たに見出し、注意喚起することが
>できました。
 
>基礎と臨床を橋渡しする
>トランスレーショナルリサーチの
>側面からも意義が大きい
>本研究の成果は、脂質代謝の変動を
>考慮した薬物投与設計や薬物治療の
>最適化に繋がるものと期待されます。
 
 
 まだまだ未知な部分が沢山ありそう
です。
 
 今後の進展に期待しています。

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2017年5月18日 (木)

壊れた「DNAのファスナー」を修理するには?~細胞がDNAをコピーする際のバックアップシステムを発見~

2017/05/10
国立遺伝学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所の夏目豊彰助教と
鐘巻将人教授らのグループは、
コペンハーゲン大学のIan D. Hickson
らのグループと共同で、
DNA をコピーする際の失敗に対処する
新たなしくみを発見しました。
 
 この成果は米国科学雑誌
Genes & Developmentオンライン版に
掲載されました。
 
 1つの細胞が2つに増える際、
DNAは正確に2倍にコピーされ
(DNA複製)、2つの細胞に均等に
分配されます。
 
 DNAをコピーするには二本鎖DNAを
開く必要があり、この過程は服の
ファスナーを開ける動きに似ています
(図1A)。
 
 ファスナーを開けるためには
「スライダー」を引くことが必要ですが、
細胞内でこの「スライダー」の役割を
しているタンパク質がMCM2-7
複製ヘリカーゼです。
 
 しかし、DNAはとても長いので
(ヒトで約2m)、すべての二本鎖DNAを
開くのは大変です。
 
 時として複製ヘリカーゼが外れてしまう
事があり、これが一旦外れてしまうと、
二度と元に戻すことはできません。
 
 このままでは遺伝情報は複製されない
ままになり、子孫の細胞から
失われてしまいます。
 
 本研究では複製ヘリカーゼを、
独自に開発したオーキシンデグロン技術を
駆使して人為的に壊して外した際に、
細胞がどのように対処するのか
観察しました(オーキシンデグロン技術
に関してはこちらでご覧になれます)。
 
 その結果、MCM2-7複製ヘリカーゼに
よく似たMCM8-9ヘリカーゼが
DNA複製の再開に働く
新たなバックアップシステムを
発見しました(図1B)。
 
 抗がん剤にはDNAに傷をつけることで
MCM2-7複製ヘリカーゼの脱落を促進して
作用するものがあります。
 
 MCM8-9ヘリカーゼの阻害薬は
バックアップを断つため、従来の抗がん剤
作用を増強する新薬になるかも
しれません(図2)。
 
 この研究は、情報・システム研究機構 
国立遺伝学研究所の鐘巻研究室
(夏目豊彰、西村浩平、鐘巻将人)と
コペンハーゲン大学のIan D. Hickson
研究室(Sheroy Minocherhomji,
Rahul Bhowmick, Ian D. Hickson)との
共同研究として行われました。
 
 本研究は、文部科学省の科学研究費
補助金(25891026, 15K18482, 17K15068,
25131722, 16K15095)、
科学技術研究機構(JST)の戦略的創造
研究推進事業(さきがけ)(JPMJPR13A5)、
持田記念医学薬学振興財団、SGH財団、
住友財団の助成を受けて行われました。
 
 
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 DNA複製時の複製エラーを修正する
仕組みは複雑です。
 今回、今までとは違う新たな仕組み
を発見したようです。
 
 
>抗がん剤にはDNAに傷をつけることで
>MCM2-7複製ヘリカーゼの脱落を促進して
>作用するものがあります。
 
>MCM8-9ヘリカーゼの阻害薬は
>バックアップを断つため、
>従来の抗がん剤作用を増強する
>新薬になるかもしれません(図2)。
 
 新薬になると良いですね。
 期待したい。

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2017年5月15日 (月)

重粒子線がん治療装置向けスキャニング照射機器の大幅な小型化を実現

2017/05/10
量子科学技術研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 国立研究開発法人量子科学技術研究開発
機構(以下、量研)と株式会社東芝
(以下、東芝)は、
このたび重粒子線がん治療注1装置向け
スキャニング照射機器の大幅な小型化を
実現しました。
 
 今回の開発により、従来機器では
9m必要だった、機器から照射位置までの
距離を3.5mまで短縮しました(図1)。
 
 本機器を回転ガントリー注2に適用する
ことで、重粒子線用回転ガントリーを
従来の約2/3まで小型化することが
見込まれており、世界最小の
回転ガントリーを実現します注3(図2)。
 
 本技術は、千葉および横浜で開催される
粒子線治療に関する国際会議
「56th Particle Therapy Co-operation
  Group (PTCOG56)」にて、5月11日に
量研より発表します。
 
 重粒子線がん治療装置では、
炭素イオンからなる粒子ビームを加速し、
治療室内のスキャニング照射機器から
患部に照射します。
 
 従来機器は、2台のスキャニング電磁石
注4を用いて、ビームを直交する2方向に
走査し患部を塗りつぶすように照射します。
 
 従来機器では、電磁石の干渉等の問題が
あり、2台のスキャニング電磁石を
ビーム進行方向に並べて配置していました
が、本機器では東芝のコイル巻線製造技術
を活用することで1台の電磁石として
配置することに成功しました。
 
 これにより磁場を効率良く発生させ、
照射位置までの距離を短縮しました。
 
 重粒子線治療装置の一部である加速器や
回転ガントリーは、大きな常伝導磁石を
用いて高磁場を発生させて
炭素イオンの粒子ビームを輸送・制御する
ため、装置が非常に大型となるのが
課題です。
 
 東芝は、既に開発済みの
超伝導偏向電磁石と今回開発した機器を
併せて、世界最小の回転ガントリーを
実現させ、次世代型重粒子線がん治療装置
への適用を目指します。
 
 東芝は、今後も重粒子線がん治療装置を
はじめとした最先端がん治療システムの
開発を加速し、質の高いがん治療の実現に
貢献していきます。
 
 量研は、重粒子線治療の普及を視野に
入れ、この技術による治療の高精度化を
進めていきます。
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 回転ガントリーを従来の約2/3まで
小型化出来ることで、どの位
装置全体の価格を下げられるので
しょうか? 気になります。
 治療設備を収容する建築物の容積も
効いてきて価格に反映する。
 
 メディポリス国際陽子線治療センター
の例を見ると装置全体を小さく出来そう
なので低価格化に貢献出来そうな気も
します。
 
 大がかりな装置であることは事実。
 
 関連リンク(参考)
上記2項目は
公益祭壇法人
医用原子力技術研究振興財団のページ
より、
 
メディポリス国際陽子線治療センターの
ページより、
 
 
 どう進展して行くのか見守りましょう。

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2017年5月14日 (日)

早期肺がんの治療は日帰りで―重粒子線の1回照射による早期肺がんの治療効果を科学的に証明―

2017/05/10
国立研究開発法人
量子科学技術研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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発表のポイント
 
・早期肺がん1)を対象に、重粒子線治療の
 1回照射法を218症例に行い、
 重篤な副作用が無く、治療に効果的な
 線量を明らかにした。
 
・最適な線量の1回照射法で治療した
 患者さんが、治療の2年後までに
 生存している割合が93.7%と非常に良い
 結果となった。
 
・日本人に多く、肺がん治療後に突然肺炎
 を発症して呼吸不全になる危険性が高い、
 間質性肺炎2)を合併した早期肺がんに
 1回照射法を適用し、X線治療よりも
 危険性を大幅に下げてがんを治療できる
 ことがわかった。
 
 
-----
 国立研究開発法人量子科学技術研究
開発機構
(以下「量研」という)
放射線医学総合研究所
(以下「放医研」という)
臨床研究クラスタ 重粒子線治療研究部
頭頸部・胸部腫瘍臨床研究チームの
山本直敬 チームリーダーは、
早期肺がんに対する重粒子線治療の
1回照射法が有効かつ安全であることを
明らかにしました。
 
 また、重粒子線治療が間質性肺炎を
合併した早期肺がん治療に有用であること
がわかりました。
 
 重粒子線治療では、正常組織に当たる
線量を低くして、がんの部分に集中して
照射できるので、がん細胞を殺すために
必要な線量を一度に照射することにより、
治療期間を短期化することが可能です。
 
 短期化は、入院が不要になるなど
患者さんにとっての利便性を向上させる
だけでなく、多数の患者さんを治療する
ことでコストが低減され、
治療費の低価格化につながる効果も
期待できます。
 
 しかし、通常、放射線治療は、
正常組織への線量を低減しながら
がんの部分に十分な線量を照射するため、
1回あたりの線量を抑えて、
複数回照射します。
 
 放医研でも1994年の治療開始時は、
早期肺がんでは18回(6週間)の照射を
行っていましたが、治療の短期化を
目指して、重症の副作用が発生しない
安全性と治療の有効性を確保しながら、
9回(3週間)、4回(1週間)と
照射回数と治療期間を減らす臨床試験を
行いました。
 
 これらの臨床試験の実績を基に
放医研では、最短となる1回(1日)照射
での治療を実現するため、
2003年に早期肺がんを対象に臨床試験を
開始しました。
 
 1回照射法に最適な線量を検討するため、
症例ごとに少しずつ線量を増加する手法を
取りました。
 
 2012年に臨床試験を終了し、
全218症例について解析した結果、
重篤な副作用はないこと、
治療に適した線量は50グレイであることが
わかりました。
 
 50グレイで治療した40例については、
治療の2年後までに重粒子線治療を行った
場所に病気が再発しない割合
(2年局所制御率)は96.7%、
治療の2年後までに患者さんが
生存している割合(2年生存率)は
93.7%と、非常に良い治療成績が
得られました。
 
 この結果を受け、がん以外の肺の部分に
当たる線量を極力抑えることが有効と
考えられる、間質性肺炎を合併した
早期肺がんに重粒子線治療の1回照射法を
実施しました。
 
 日本でも多い間質性肺炎を合併した
肺がんの治療は外科手術が
主体となりますが、患者さんの状態などで
手術ができない場合にはX線治療が
行われます。
 
 通常、X線治療は複数回照射するため、
がん以外の間質性肺炎の部分の線量も
高くなってしまい、X線では治療後の
急性増悪(突然肺炎が発症した呼吸不全
になる)の危険性が術後(5-7%)と比べて
3倍ほど高く治療が困難でした。
 
 
 そこで、間質性肺炎を合併した
早期肺がんを、1回照射法を含む
重粒子線治療で40例治療を行ったところ、
急性増悪を発症したのは2例(5%)で、
2年局所制御率は65.4%と良好な結果が
得られました。
 
 重粒子線の1回照射による
早期肺がん治療の成果は肺がん治療の分野
でインパクトの大きい論文が数多く
発表されている世界肺がん学会誌
「Journal of Thoracic Oncology」
2017年4月号に掲載されました。
 
 また、間質性肺炎を合併した
肺がんの治療研究については、
5月12日の世界粒子線会議
(PTCOG、パシフィコ横浜)にて
発表する予定です。
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 素晴らしい研究ですね。
 
 問題は国内の重粒子線治療施設が
あまりに少ないということです。
 お金の問題もありますが、
 
 
 
>早期肺がんの重粒子線治療は、
>現在先進医療3)の枠組みで行われており、
>患者さんの経済的な負担が大きく、
>保険が適用されることが望まれています
>が、それには多施設間で統一した
>治療方針に基づいて重粒子線治療を
>行ったうえで、そこで得られるデータ
>からより信頼度の高い有効性を示す
>必要があります。
 
>そのため、現在も日本放射線腫瘍学会の
>指導の下、国内の重粒子線治療施設
>とともに症例の全例登録を推進して
>データを収集、解析し、
>将来、この病気に対する重粒子線治療の
>保険適用が実現するよう努力して
>いきます。
 
 大いに期待したい。
 
 と思いますが、
 医療費の増大は保険財政の破綻に
つながる心配があります。
 医薬品もどんどん高額になるし、
どう対策するか?
 今のうちに真摯な議論が必須です。
 
 関連投稿
2017.03.29
日経バイオテクONLINE

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2017年5月13日 (土)

がん細胞の生存・転移に重要なタンパク質を狙い撃ちする化合物を開発―難治性がんに対する新しい治療薬の創出に期待―

国立大学法人九州大学
国立大学法人東京大学
国立研究開発法人理化学研究所
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 九州大学生体防御医学研究所の
福井宣規主幹教授、宇留野武人准教授、
大学院医学系学府博士課程4年生の
田尻裕匡らの研究グループは、
東京大学大学院薬学系研究科の
金井求教授、
理化学研究所横山茂之上席研究員の
研究グループと共同で、
がん遺伝子Ras(※1)を介した
がんの悪性化に、DOCK1というタンパク質
が重要な役割を演じていることを発見し、
その選択的阻害剤「TBOPP」を
世界に先駆けて開発することで、
DOCK1阻害によりがんの増殖および転移を
抑制できることを実証しました。
 
 がんは我が国の死因の第一位で、
年間30万人以上の命を奪っており、
重大な社会問題となっています。
 
 なかでもRas遺伝子の異常(変異)は、
膵臓がんや大腸がんをはじめ多くのがんで
認められ、がん全体の3分の1に及ぶ
にもかかわらず、いまだに有効な治療薬が
無く、その対策は急務となっています。
 
 本研究グループは、変異Rasによる
がんの生存および浸潤には、
Rac(※2)という分子の活性化が
必要であることに着目し、
その制御因子であるDOCK1の機能を
解析しました。
 
 その結果、DOCK1を発現できないように
遺伝子操作したがん細胞では、
低栄養条件下での生存性および浸潤能が
著しく低下することを見いだしました。
 
 そこで、20万を超える
化合物ライブラリーをスクリーニングし、
ヒット化合物の構造最適化を行い、
DOCK1の選択的阻害剤(TBOPPと命名)の
開発に成功しました。
 
 TBOPPをマウスに投与することで、
変異Rasを有するがん細胞の増殖および
転移が抑制できます。
 
 以上より、TBOPPは変異Rasを有する
がんを治療するための新たな創薬リード
(※3)になることが期待されます。
 
 本研究成果は、国立研究開発法人
日本医療研究開発機構(AMED)の
革新的先端研究開発支援事業
インキュベートタイプ(LEAP)および
次世代がん研究シーズ戦略的
育成プログラム(P-DIRECT)の成果で、
2017年5月2日(火)
正午(米国東部夏時間)に
米国科学雑誌「Cell Reports」に
掲載されます。
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 素晴らしい成果ですね。
 
 
>Rasの発見から30年以上が経過しますが、
>変異Rasを持つがんに対する
>治療薬の開発は、これまでうまくいって
>いませんでした。
 
>本研究グループは、変異Rasによって
>誘導される浸潤応答や栄養分の
>取り込みに、DOCK1が重要な働きを
>していることを突き止め、
>その選択的阻害剤としてTBOPPを
>開発しました(図4)。
 
>TBOPPは、がんを兵糧攻めにすると
>同時に、その浸潤・転移を未然に防ぐ
>ことができる化合物であり、
>変異Rasを有する難治性がんに対する
>画期的な治療薬の創出につながることが
>期待されます。
 
 大いに期待したい研究ですね。
 是非、日本で製品化して貰いたい
ものです。

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2017年5月11日 (木)

オートファジーが膵癌を支える細胞の活性化に関与している事を発見-全く新しい膵がん治療法の開発に期待-

2017.05.09
九州大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 九州大学大学院医学研究院の
中村雅史教授、九州大学病院の
仲田興平助教、大学院3年生の遠藤翔らの
研究グループは、膵がん細胞の転移、
浸潤に影響を与えている膵星細胞の
活性化にオートファジーが関与している事
を発見し、膵星細胞のオートファジーを
抑制することが、新たな膵がん治療法
となる可能性を見出しました。
 
 膵がんは5年生存率が9.2%であり、
他のがんと比較しても極めて予後が不良な
疾患で、その予後の改善は社会的急務と
言えます。
 
 がん組織の中には、がん細胞の他に
線維芽細胞を中心とした“間質”と
呼ばれる構造があり、この間質に存在する
細胞が、がん細胞の転移、浸潤を促して
いると言われています
(癌間質相互作用)。
 
 膵がんで癌間質相互作用の中心を
担っている細胞が “膵星細胞”です。
 
 これまで本学の中村雅史教授、
大内田研宙助教らは膵星細胞が
膵がんの悪性化に重要であると考え、
膵星細胞の活性化に関する研究を
行ってきました。
 
 “オートファジー”は細胞が
自己成分を分解するシステムの一つですが、
老化や免疫、さらには、発がん、糖尿病、
神経疾患など様々な疾患に関与している
ことが報告され、現在、世界中で
大きな注目を集めています。
 
 今回、研究グループは、膵星細胞の
オートファジーを抑制する事で
膵星細胞から分泌される
IL-6;Inerleukin-6やコラーゲンの産生が
抑制され、その結果、膵がん細胞の転移や、
浸潤が抑制される事を明らかにしました
(図1右図)。
 
 また、膵がん細胞と膵星細胞を移植した
マウスにオートファジー抑制剤である
クロロキン;CQを投与したところ、
がん細胞の肝転移や腹膜播種が
抑制される事も確認しました(図1左図)。
 
 予後が不良な疾患と言われている
膵がんですが、本研究結果は、
膵星細胞および膵がん細胞の
オートファジーを抑制することが
膵がんに対する新たな治療法となる
可能性を示唆しており、
その結果、膵がんの予後が改善することが
期待されます。
 
 本研究成果は、米国科学雑誌
「Gastroenterology」の
2017年5月号に掲載されました。
 
 
本研究成果の詳細は こちら
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 極めて予後の悪い膵がん治療法に対して
も膵星細胞のオートファジーを抑制する事
が成果をあげたようです。
 
 「オートファジーを標的とした
新たな治療戦略の開発」
 
 かなり期待出来そうです。
 
 関連投稿
平成29年3月23日
国立大学法人 東京医科歯科大学
国立大学法人 浜松医科大学
 
 
 
>オートファジー抑制剤ががん細胞自身の
>転移、浸潤を抑制するとの報告は
>これまでも知られていましたが、
>本研究の結果から膵癌間質に存在する
>膵星細胞のオートファジーを抑制する
>ことにより、膵がんの悪性度が
>抑制されることが示唆されました。
 
>既存の薬剤の中にも
>オートファジー抑制効果を認めるものも
>あり、これらの薬剤が膵がんの治療薬
>として新たな可能性が検討される
>と共に、新たなオートファジー抑制剤の
>開発が進むことにより新規膵がん治療薬
>が開発されることが期待されます。
 
 
 大いに期待したい。

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2017年5月10日 (水)

急性リンパ性白血病におけるL-アスパラギナーゼ投与時のオートファジー作用の解明 ― オートファジーを標的とした急性リンパ性白血病に対する新規治療法への期待 ―

平成29年3月23日
国立大学法人 東京医科歯科大学
国立大学法人 浜松医科大学
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
・急性リンパ性白血病に対して、
 L-アスパラギナーゼを用いた治療に
 オートファジー阻害薬のクロロキンを
 併用することで、その治療効果が増強
 された。
 
・その併用効果は、がん抑制蛋白 p53 を
 介したアポトーシス細胞死によるもので
 あった。
 
・今後、急性リンパ性白血病における
 オートファジーを標的とした
 新たな治療戦略の開発が期待されます。
 
 
-----
 東京医科歯科大学・難治疾患研究所
・分子細胞遺伝分野の井上純講師、
稲澤譲治教授ならびに
同・疾患バイオリソースセンターの
髙橋寛吉特任助教
(現・浜松医大診療助教)らの
研究グループは、急性リンパ性白血病
においてオートファジーを阻害することで
既存の抗がん薬 L-アスパラギナーゼの
効果が増強することを同定しました。
 
 この研究成果は、文部科学省科学研究費
補助金、文部科学省新学術領域研究
「がんシステムの新次元俯瞰と攻略」、
基盤研究(C)「オートファジー活性を
基盤とした新たな癌治療戦略の確立」の
支援のもと遂行され国際科学雑誌
Oncogene (オンコジーン)に、
2017 年 3 月 27 日午後 4 時
(英国時間)にオンライン版で
発表されます。
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 オートファジー(自食作用)は生命を
維持するために必要なものなのですが、
急性リンパ性白血病
(acute lymphoblastic leukemia; ALL)
などでは、阻害することが治療に有利に
働く場合があるということですね。
 
 
 
>本研究では、L-asp 投与時の
>オートファジーが ALL 細胞において
>細胞保護的な役割を担い
>L-asp の感受性低下に寄与している
>こと、ならびに L-asp と
>オートファジー阻害薬の併用療法
>においてがん抑制蛋白 p53 が
>非常に重要な役割を果たしていることを
>明らかにしました。
 
>小児 ALL における TP53 遺伝子変異は
>6-8%と報告されており、
>大部分の患者さんで
>L-asp+オートファジー阻害薬の
>併用効果が期待できると考えられます。
 
>またTP53 の遺伝子解析は本併用療法を
>行うべき患者さんを層別化する際の
>コンパニオン診断としても有用である
>ことが期待され、その活用は小児 ALL
>におけるプレシジョン医療の発展に
>寄与するものと考えます。
 
 
 「オートファジーを標的とした
新たな治療戦略の開発」及び
プレシジョン医療の発展にも
大いに期待したい。

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2017年5月 8日 (月)

既存の薬剤が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に有効であることをマウスにおいて確認

平成29年3月16日
国立大学法人 東京医科歯科大学
国立大学法人 九州大学
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
・特発性肺線維症の治療薬である
 ピルフェニドンが、NASHモデルマウス
 の肝臓の炎症所見と線維化を著しく
 抑制することを明らかにしました。
 
・ピルフェニドンは肝細胞死を抑制する
 ことによりNASHを予防する可能性が
 考えられました。
 
・この成果は、肝細胞死がNASHの進展
 において重要であり、既に臨床応用
 されているピルフェニドンがNASHの
 治療薬となる可能性を示すものです。
 
 
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 東京医科歯科大学大学院医歯学
総合研究科分子内分泌代謝学分野
および九州大学大学院医学研究院
病態制御内科学分野(第三内科)の
小川佳宏教授、
東京医科歯科大学医学部附属病院の
土屋恭一郎助教らの研究グループは、
名古屋大学、国立成育医療研究センター
との共同研究により、既存の薬剤が
マウスの非アルコール性脂肪肝炎
(NASH)を著しく抑制することを
見出しました(図 1)。
 
 本研究は、国立研究開発法人
日本医療研究開発機構
革新的先端研究開発支援事業
(AMED-CREST)の研究開発領域
「生体恒常性維持・変容・破綻機構の
 ネットワーク的理解に基づく
 最適医療実現のための技術創出」
(研究開発総括:永井 良三)※
における研究開発課題
「細胞間相互作用と臓器代謝
 ネットワークの破綻による組織線維化の
 制御機構の解明と医学応用」
(研究開発代表者:小川 佳宏)
の一環で行われました。
 
 また、文部科学省科学研究費補助金
ならびに上原生命科学財団、
MSD生命科学財団、日本応用酵素協会、
日本糖尿病協会、日本糖尿病学会の支援も
受けており、その研究成果は、
国際科学誌 Scientific Reports
(サイエンティフィック リポーツ)に、
2017年3月17日午前10時(英国時間)
にオンライン版で発表されます。
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 既存の薬剤が非アルコール性脂肪肝炎
(NASH)にも有効ということが確認された
ことは素晴らしいですね。
 
 
>本研究により、既に臨床応用されている
>ピルフェニドンの、NASH の
>予防薬・治療薬として適応拡大
>(ドラッグ・リポジョショニング)の
>可能性を明らかにしました。
 
>過剰な肝細胞死を抑制することが
>NASH の予防・治療につながる可能性
>があり、NASHの病態解明と
>新しい治療法の開発のためにも
>重要な知見と考えられます。
 
 更なる研究に期待します。

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2017年5月 7日 (日)

世界初の「全身用320列面検出器型の立位・座位CT」を産学連携により開発

2017/05/02
慶應義塾大学医学部
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 このたび、慶應義塾大学医学部放射線
科学教室の陣崎雅弘教授らは、
医学部の名倉武雄特任准教授、
理工学部機械工学科の荻原直道教授と
共同し、
東芝メディカルシステムズ株式会社
(以下東芝メディカル)をパートナー
として世界初の全身用320列面検出器型
立位・座位CT(以下立位・座位CT)の
開発に成功し、臨床研究を行います。
 
 CT(X-ray Computed Tomography)は
1970年初頭に登場して以来、多くの疾患の
診断に活用されています。
 
 人は基本的に立位や座位で活動しますが、
従来のCTは横たわっている姿勢のみ
でしか撮影できないため、起き上がると
増悪する病態や立位・座位でしか行えない
機能の評価はできませんでした。
 
 研究グループは、東芝メディカルと
産学連携し、構想から基本設計、開発を
主導し、世界初の全身撮影が可能な
面検出器型の立位・座位CTを
開発しました。
 
 このCTは、慶應義塾大学病院に
第1号機として2017年4月に導入され、
5月以降臨床研究が開始される予定です。
 
 今後、荷重がかかることにより
明らかになるような四肢・脊椎の
運動器疾患、ヘルニア・臓器脱、
立位・座位でしか評価できない
呼吸機能・循環動態、形成再建術の
術前評価、更には歩行機能など
様々な病態を評価していきます。
 
プレスリリース全文は こちら
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 今までできなかった診断が出来るように
なるというのは素晴らしいこと。
 
 産学連携上手く行ったようです。
 
 今後、このCTがどの位活躍出来るのか?
見守って行きましょう。

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