中枢神経の再生を阻害するグリア瘢痕の形成を抑えることに成功~脳や脊髄の再生医療における画期的な成果~
2017.06.20
九州大学研究成果
詳細は、リンクを参照して下さい。
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九州大学大学院医学研究院の
岡田誠司准教授と医学系学府博士4年
・九州大学病院整形外科の原正光医師らの
研究グループは、哺乳類の脳や脊髄で
傷ついた神経が再生しない主要な原因
であるグリア瘢痕の形成メカニズムを
解明し、このグリア瘢痕の形成を抑える
ことが脊髄損傷の新しい治療法に
繋がることを、マウスを使った実験で
明らかにしました。
手足などの末梢神経は傷ついても
少しずつ再生しますが、脳や脊髄などの
中枢神経はほとんど再生しないので、
脳梗塞や脊髄損傷後には麻痺などの
重い後遺症が残ります。
その大きな原因として、哺乳類の
中枢神経では損傷部の周りで
アストロサイトという細胞が反応して
グリア瘢痕と呼ばれるかさぶたのような
組織を形成し、神経の再生を妨げることが
挙げられます。
これまで、このグリア瘢痕が形成される
反応は一方通行であり、非可逆的なものと
考えられてきましたが、そのメカニズムや
瘢痕形成を抑える方法は不明でした。
本研究グループはセルソーターという
装置を用いて損傷を加えた脊髄から
アストロサイトを選択的に回収し、
再度正常な脊髄に移植することで、
グリア瘢痕が形成される反応は
一方通行ではなく、アストロサイトが
置かれた環境によって変化するもので
あることを証明しました。
特に、アストロサイトが
1型コラーゲンと反応して
カドヘリンという細胞接着因子を
発現させることでグリア瘢痕が形成される
ことを明らかにしました。
さらに、この反応を阻害して
脊髄損傷後のグリア瘢痕の形成を抑えると、
損傷部を越えた神経再生が起こり、
麻痺の回復が促進されることを
発見しました。
本成果により、今後、グリア瘢痕形成を
ターゲットとした新しい中枢神経損傷の
治療開発が期待されます。
本研究成果は、2017年6月19日(月)
午後4時(英国夏時間)に
英国科学雑誌『Nature Medicine』
オンライン版で発表されました。
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研究者からひとこと
近年iPS細胞や神経幹細胞が
中枢神経再生の新しい治療として
期待されていますが、すでにグリア瘢痕が
形成された慢性期の患者さんに
細胞を移植しても瘢痕が再生を阻害して
しまいます。
本成果によってグリア瘢痕形成が
抑えられるようになると、
このような患者さんにも幹細胞移植との
相乗的な治療効果が期待できるように
なるのではないかと考えられます。
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グリア瘢痕ね~
グリア瘢痕形成を押さえることが重要
なようです。
>グリア瘢痕形成が抑えられるように
>なると、このような患者さんにも
>幹細胞移植との相乗的な治療効果が
>期待できるようになるのではないか
>と考えられます。
脊髄損傷などへの幹細胞移植の
効果がより期待出来るように
なりそうですね。
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