核移植技術でアレルギーマウス誕生-アレルギー疾患の原因解明と治療に期待-
2017年5月12日
理化学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
---------------------------------------
理化学研究所(理研)
バイオリソースセンター遺伝工学
基盤技術室の小倉淳郎室長、
井上貴美子専任研究員、神沼修客員研究員、
佐伯真弓客員研究員、
塩野義製薬株式会社創薬疾患研究所
癌・免疫部門の
形山和史免疫・炎症グループ長らの
共同研究グループ※は、
核移植クローン技術を用いて
高感受性アレルギーモデルマウスを
作り出すことに成功しました。
花粉や食物など特定の抗原に対する
アレルギーは、多くの人の健康を脅かす
病気です。
生体に侵入したさまざまな抗原は、
CD4陽性T細胞[1]と呼ばれる
リンパ球の表面にある受容体
(T細胞受容体[2]、TCR)に結合して、
生体防御を目的としたさまざまな反応を
引き起こします。
アレルギー患者の体内では、
この抗原反応性CD4陽性T細胞が増殖し、
過剰な反応が起きるために
アレルギー症状が現れます。
アレルギーが起こる原因の解明と
予防・治療法の開発には、
実験動物モデルが大きな役割を
果たします。
今回、共同研究グループは、
アレルギー誘発抗原として知られる、
ダニ抗原や卵白抗原を注射したマウスから
取り出した抗原反応性CD4陽性T細胞を
用いて、核移植クローン[3]を行い、
クローンマウスを作出しました。
このCD4陽性T細胞のTCRは、
アレルギー誘発抗原に反応するように
遺伝子の再構成[4]を受けているため、
クローンマウスの体内では、
CD4陽性T細胞のほぼ全てが
同じ抗原反応性TCRを持っています。
つまり、クローンマウスの体内は
あたかもアレルギー患者のように、
抗原反応性CD4陽性T細胞が多く存在する
状態になっています。
共同研究グループが、
生まれたクローンマウスを正常なマウス
と交配すると、抗原反応性TCRの遺伝子が
子孫に遺伝し、クローンマウス由来の
マウス系統を樹立することができました。
これらのマウスにダニ抗原や卵白抗原を
投与したところ、1~2週間以内に、
しかもわずか数回の投与で、
気管支喘息やアレルギー性鼻炎に似た
重篤なアレルギー症状が起こることが
分かりました。
本研究で開発した
高感受性アレルギーモデルマウス系統は、
正常な繁殖能力を持ち、研究室で容易に
飼育・維持できます。
今後、アレルギーが起こる原因を
解明したり、予防・治療法を開発するのに
役立つと期待できます。
本研究成果は、欧州の科学雑誌
『EMBO Reports』(5月2日付け)に
掲載されました。
---------------------------------------
>核移植技術でアレルギーマウス誕生
だそうです。
>本研究で開発した
>高感受性アレルギーモデルマウス系統は、
>正常な繁殖能力を持ち、研究室で容易に
>飼育・維持できます。
>今後、アレルギーが起こる原因を
>解明したり、予防・治療法を開発する
>のに役立つと期待できます。
アレルギーを示す人は増加傾向です。
アレルギーマウス誕生が大きな貢献
となりますように、
今後の更なる研究に期待したい。
| 固定リンク
「医療関連ニュース」カテゴリの記事
- iPS細胞由来の免疫キラーT細胞を用いることで悪性リンパ腫の治癒に成功〜難治性NK細胞リンパ腫に対する新規細胞治療法へ期待〜 (2019.10.14)
- 炎症反応を強力に抑える活性イオウ誘導体の開発に成功(2019.04.16)
- 皆保険制度の国で在住外国人に健康格差の懸念 ~ 富裕層対象の医療政策導入で悪化の恐れ日本人医師グループが英医学誌で注意を促す ~(2019.03.13)
- 脳腫瘍に対するウイルス療法の医師主導治験で高い治療効果を確認―日本初のがん治療ウイルス薬の製造販売承認申請へ―(2019.02.18)
- 国内初の医師向けオンライン診療手引書が完成 -安全で質の高い遠隔医療の普及に向けて-(2019.01.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント