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2017年5月23日 (火)

固体中で熱を特定の方向に流し、一点に集めることに成功~熱制御に新しい選択肢~

平成29年5月18日
東京大学
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○方向性なく固体中を拡散すると
 考えられてきた熱に指向性を与えられる
 ことを実証しました。
 
○世界で初めて、固体中で熱流を一点に
 集中させる集熱に成功しました。
 
○発熱が大きな問題となる半導体チップ
 などの放熱問題解決に寄与する、
 新しい構造設計手法を提供し、
 より高度な熱制御が可能になることが
 期待できます。
 
 
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 東京大学 生産技術研究所附属
マイクロナノ学際研究センターの
野村 政宏 准教授、
Roman Anufriev氏
(ロマン・アヌフリエフ
 東京大学特別研究員・日本学術振興会
 外国人特別研究員)らは、
シリコン薄膜にナノ構造を形成することで
熱流に指向性を与え、集熱に
成功しました。
 
 熱は固体中を四方八方に拡散するため、
特定の方向に熱をより多く流すことは
できず、より高度な熱マネジメントを
必要とするデバイスなどで、
熱流制御への期待が高まっています。
 
 本研究では、シリコン薄膜に
規則正しくナノサイズの円孔を配列し、
熱の運び手であるフォノン注1)が
直線的に移動する構造を形成することで、
熱流に指向性を持たせることが
可能なことを実証しました。
 
 そして、フォノンの指向性を利用し、
フォノンが一点に集中するよう
放射状に空孔を配置してレンズのような
構造を形成した結果、
熱流を100nm程度のごく狭い領域に
集熱することに世界で初めて
成功しました。
 
 熱流方向制御技術と集熱技術は、
熱制御技術に新しい選択肢を与え、
激しい発熱を伴う半導体チップなど
において、高度な熱マネジメントに
つながることが期待されます。
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 熱の固体中の拡散に指向性を与えられる
ようになるとは思っても見ませんでした。
 
 
>本研究成果は、固体中での熱流制御に
>新しい選択肢をもたらし、
>フォノンエンジニアリング注4)分野の
>基礎研究を発展させ、高度な
>熱マネジメントが望まれる
>半導体分野への応用が期待できます。
 
>本研究によって、半導体などにおける
>放熱性能の向上や、これまでに
>意識されていなかった熱流の指向性を
>考慮して積極利用する構造設計、
>局所的な熱流や温度分布を必要とする
>系への利用が考えられます。
 
>高度な熱制御は、放熱問題の解決などを
>通じてエレクトロニクスや
>フォトニクスの更なる発展に寄与する
>ことも期待できます。
 
 
 今後の展開に大いに期待したい。

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