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2017年5月 1日 (月)

世界初・染色体の新しい構造ユニットの特殊な立体構造を解明 癌をターゲットとした創薬研究に重要な基盤情報を提供

Fri, 14 Apr 2017
早稲田大学トピック
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 早稲田大学理工学術院の胡桃坂仁志
(くるみざかひとし)教授の研究グループ
は、広島大学、横浜市立大学、九州大学、
量子科学技術研究開発機構、京都大学と
共同で、染色体の新規の構造ユニット
「オーバーラッピングダイヌクレオソーム」
の特殊な立体構造を世界で初めて
明らかにしました。
 
 オーバーラッピングダイヌクレオソーム
は、遺伝情報の読み取り時に形成されると
考えられます。
 
 ヒトの身体は、1つの受精卵が
様々な細胞に分化することで構成されます
(図1)。
 
 これらの細胞は、明らかな見た目の違い
があるにもかかわらず、同一の遺伝情報
(DNAの配列)を持っています。
 
 また、ヒトのDNAは2メートルもの長さが
ありますが、細胞核はわずか
数マイクロメートルしかありません。
 
 DNAを小さな細胞核内に収納するため、
生体内のDNAは幾重にも折りたたまれた
構造体(染色体)を形成しています(図2)。
 
 この「染色体の局所構造の違い」が、
読み取られる遺伝子の違いを規定し、
細胞の見た目の違いを生んでいます。
 
 染色体は、ヌクレオソームと呼ばれる
構造ユニットが連なることで構成されます
(図2)。
 
 遺伝子を読み取る際には、
読み取り開始位置付近のヌクレオソームの
位置を動かすことで、
染色体を読み取り可能な構造に変換する
という現象が起きています
(図3、2段目)。
 
 この現象が起こると、
ヌクレオソーム同士が衝突して
「オーバーラッピングダイヌクレオソーム」
と呼ばれる染色体構造ユニットが
形成されます(図3、3段目点線丸内)。
 
 本構造ユニットは、これまでも遺伝子の
読み取りを制御するために重要と
考えられていましたが、存在自体が
不確定で具体的な構造は不明なまま
でした。
 
 今回、
本研究グループは、試験管内でヒトの
オーバーラッピングダイヌクレオソームを
高純度かつ大量に精製し、結晶化する手法
を開発しました。
 
 さらにその結晶を用いて、
大型放射光施設であるスプリング8
におけるX線回折実験を行うことで、
立体構造を原子分解能で明らかに
しました。
 
 オーバーラッピングダイヌクレオソーム
の形成不全と細胞の癌化との関連を
示唆する先行研究もあり、
今回の研究成果は、癌をターゲットとした
創薬研究に対しても、重要な基盤情報を
提供しています。
 
 本研究成果は、米国科学誌『Science』に
2017年4月14日(現地時間)に
掲載されました。
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 エピジェネティクス重要ですね。
 
 もちろんDNAの解析は重要ですが、
その読み取り制御機構である
エピジェネティクスは、まだまだ
未解明部分が多のですね。
 
 どうしてこんなにも複雑な仕組み
ができあがったのか?
 
 神秘に近い。と思う。
 命の不思議だね。
 
 
>染色体の基盤であるヌクレオソームの
>立体構造は、20年前に原子分解能で
>行われましたが、それ以来、これまでに
>解析された100種類以上の
>ヌクレオソームの立体構造は、
>すべてヒストン8量体にDNAが2回転弱
>巻きついたほぼ同一の構造(通常型)
>でした。
 
>今回、本研究グループが明らかにした
>構造は、ヒストン14量体にDNAが
>約3回転巻きついた特殊な構造体で、
>通常型以外の染色体構造ユニットの存在
>を世界で初めて明らかにしたものです。
 
>さらに、実際のヒト細胞において、
>オーバーラッピングダイヌクレオソーム
>が遺伝子読み取り位置付近に
>形成されることが示唆されました。
 
>これらの発見によって、今後、
>オーバーラッピングダイヌクレオソーム
>と遺伝子発現制御との関連の研究が、
>急速に広がっていくと考えられます。
 
>また、
>オーバーラッピングダイヌクレオソーム
>を生成するヌクレオソームリモデリング
>因子の変異が、卵巣癌や膀胱癌などの
>様々な癌において見つかっています
>(参考文献1)。
 
>これらの事実は、
>オーバーラッピングダイヌクレオソーム
>の形成不全によって遺伝子の発現制御に
>異常が生じ、その結果として
>細胞のがん化が引き起こされていること
>を示唆しています。
 
>従って、
>オーバーラッピングダイヌクレオソーム
>の立体構造の解明は、
>これらの癌をターゲットとした
>創薬研究に対しても、重要な基盤情報を
>提供しています。
 
 
 素晴らしい成果ですね。
 今後の進展に大いに期待したい。

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