急性リンパ性白血病におけるL-アスパラギナーゼ投与時のオートファジー作用の解明 ― オートファジーを標的とした急性リンパ性白血病に対する新規治療法への期待 ―
平成29年3月23日
国立大学法人 東京医科歯科大学
国立大学法人 浜松医科大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
・急性リンパ性白血病に対して、
L-アスパラギナーゼを用いた治療に
オートファジー阻害薬のクロロキンを
併用することで、その治療効果が増強
された。
・その併用効果は、がん抑制蛋白 p53 を
介したアポトーシス細胞死によるもので
あった。
・今後、急性リンパ性白血病における
オートファジーを標的とした
新たな治療戦略の開発が期待されます。
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東京医科歯科大学・難治疾患研究所
・分子細胞遺伝分野の井上純講師、
稲澤譲治教授ならびに
同・疾患バイオリソースセンターの
髙橋寛吉特任助教
(現・浜松医大診療助教)らの
研究グループは、急性リンパ性白血病
においてオートファジーを阻害することで
既存の抗がん薬 L-アスパラギナーゼの
効果が増強することを同定しました。
この研究成果は、文部科学省科学研究費
補助金、文部科学省新学術領域研究
「がんシステムの新次元俯瞰と攻略」、
基盤研究(C)「オートファジー活性を
基盤とした新たな癌治療戦略の確立」の
支援のもと遂行され国際科学雑誌
Oncogene (オンコジーン)に、
2017 年 3 月 27 日午後 4 時
(英国時間)にオンライン版で
発表されます。
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オートファジー(自食作用)は生命を
維持するために必要なものなのですが、
急性リンパ性白血病
(acute lymphoblastic leukemia; ALL)
などでは、阻害することが治療に有利に
働く場合があるということですね。
>本研究では、L-asp 投与時の
>オートファジーが ALL 細胞において
>細胞保護的な役割を担い
>L-asp の感受性低下に寄与している
>こと、ならびに L-asp と
>オートファジー阻害薬の併用療法
>においてがん抑制蛋白 p53 が
>非常に重要な役割を果たしていることを
>明らかにしました。
>小児 ALL における TP53 遺伝子変異は
>6-8%と報告されており、
>大部分の患者さんで
>L-asp+オートファジー阻害薬の
>併用効果が期待できると考えられます。
>またTP53 の遺伝子解析は本併用療法を
>行うべき患者さんを層別化する際の
>コンパニオン診断としても有用である
>ことが期待され、その活用は小児 ALL
>におけるプレシジョン医療の発展に
>寄与するものと考えます。
「オートファジーを標的とした
新たな治療戦略の開発」及び
プレシジョン医療の発展にも
大いに期待したい。
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