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2017年5月18日 (木)

壊れた「DNAのファスナー」を修理するには?~細胞がDNAをコピーする際のバックアップシステムを発見~

2017/05/10
国立遺伝学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所の夏目豊彰助教と
鐘巻将人教授らのグループは、
コペンハーゲン大学のIan D. Hickson
らのグループと共同で、
DNA をコピーする際の失敗に対処する
新たなしくみを発見しました。
 
 この成果は米国科学雑誌
Genes & Developmentオンライン版に
掲載されました。
 
 1つの細胞が2つに増える際、
DNAは正確に2倍にコピーされ
(DNA複製)、2つの細胞に均等に
分配されます。
 
 DNAをコピーするには二本鎖DNAを
開く必要があり、この過程は服の
ファスナーを開ける動きに似ています
(図1A)。
 
 ファスナーを開けるためには
「スライダー」を引くことが必要ですが、
細胞内でこの「スライダー」の役割を
しているタンパク質がMCM2-7
複製ヘリカーゼです。
 
 しかし、DNAはとても長いので
(ヒトで約2m)、すべての二本鎖DNAを
開くのは大変です。
 
 時として複製ヘリカーゼが外れてしまう
事があり、これが一旦外れてしまうと、
二度と元に戻すことはできません。
 
 このままでは遺伝情報は複製されない
ままになり、子孫の細胞から
失われてしまいます。
 
 本研究では複製ヘリカーゼを、
独自に開発したオーキシンデグロン技術を
駆使して人為的に壊して外した際に、
細胞がどのように対処するのか
観察しました(オーキシンデグロン技術
に関してはこちらでご覧になれます)。
 
 その結果、MCM2-7複製ヘリカーゼに
よく似たMCM8-9ヘリカーゼが
DNA複製の再開に働く
新たなバックアップシステムを
発見しました(図1B)。
 
 抗がん剤にはDNAに傷をつけることで
MCM2-7複製ヘリカーゼの脱落を促進して
作用するものがあります。
 
 MCM8-9ヘリカーゼの阻害薬は
バックアップを断つため、従来の抗がん剤
作用を増強する新薬になるかも
しれません(図2)。
 
 この研究は、情報・システム研究機構 
国立遺伝学研究所の鐘巻研究室
(夏目豊彰、西村浩平、鐘巻将人)と
コペンハーゲン大学のIan D. Hickson
研究室(Sheroy Minocherhomji,
Rahul Bhowmick, Ian D. Hickson)との
共同研究として行われました。
 
 本研究は、文部科学省の科学研究費
補助金(25891026, 15K18482, 17K15068,
25131722, 16K15095)、
科学技術研究機構(JST)の戦略的創造
研究推進事業(さきがけ)(JPMJPR13A5)、
持田記念医学薬学振興財団、SGH財団、
住友財団の助成を受けて行われました。
 
 
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 DNA複製時の複製エラーを修正する
仕組みは複雑です。
 今回、今までとは違う新たな仕組み
を発見したようです。
 
 
>抗がん剤にはDNAに傷をつけることで
>MCM2-7複製ヘリカーゼの脱落を促進して
>作用するものがあります。
 
>MCM8-9ヘリカーゼの阻害薬は
>バックアップを断つため、
>従来の抗がん剤作用を増強する
>新薬になるかもしれません(図2)。
 
 新薬になると良いですね。
 期待したい。

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