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2017年4月29日 (土)

EGFR変異陽性肺がんに対する新規耐性克服療法を発見―今後予想されるオシメルチニブ耐性の克服へ―

2017年3月13日
公益財団法人がん研究会
国立研究開発法人日本医療研究開発機構
国立大学法人京都大学
国立研究開発法人理化学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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概要
 
 肺がんは我が国において現在がんによる
死因の1位であり、さらなる増加が予測
されています。
 
 EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異
は進行非小細胞肺がんの3~4割に見つかり
EGFR阻害薬が非常に高い効果を示しますが、
1年程度で耐性を生じて再増悪してしまい
ます。
 
 この耐性のおよそ半数を占めるのが
EGFR-T790M変異ですが、
その耐性変異にも有効なEGFR阻害薬である
オシメルチニブが、日本でも処方可能
となりました。
 
 しかしさらなる耐性の出現が確認されて
おり、その原因の1つがC797S変異の追加
(EGFR-T790M/C797S)であり、
臨床応用された全てのEGFR阻害薬の効果が
なくなることが報告されています。
 
 C797S変異はオシメルチニブ使用中の
患者さんのなかで約2割に出現することが
報告されており、今後相当数の患者さんで
認められることが予想されますが、
現在この変異によって再増悪した時の
治療法は明確ではありません。
 
 がん研究会の片山量平らの研究グループ
は、C797S遺伝子変異により
オシメルチニブに耐性となった
細胞に対して、現在ALK阻害薬として
開発が進んでいるブリガチニブが
有効であることを発見しました。
 
 さらに京都大学・理化学研究所との
共同研究により、スーパーコンピュータ
「京」による構造シミュレーションを行い、
ブリガチニブの変異EGFRタンパク質
に対する結合様式ならびに、
その結合に重要な化学構造の推定に
成功しました。
 
 ブリガチニブとEGFRに対する抗体薬
(セツキシマブ、又はパニツムマブ)を
併用することで効果が増強されることを
見出し、動物実験でも十分な治療効果を
確認しました。
 
 本研究の結果は、オシメルチニブの
普及により出現が推定される
C797S遺伝子変異に対する治療開発に
貢献しうる成果であると考えられます。
 
 本研究の成果は、英国の
Nature Publishing Group
オープンアクセス誌
Nature Communicationsに
(2017年3月13日 英国時間午前10時、
日本時間午後7時)に公開されました。
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 スーパーコンピュータ「京」による
構造シミュレーション成果、素晴らしい
ですね。
 
 
>オシメルチニブがT790M変異を有する
>EGFR変異陽性肺がん患者の治療薬として
>急速に広く日常診療に浸透している
>現状から、今後C797Sによる耐性が
>出現してくることが想定されています。
 
>しかし一方で、現在C797Sを克服する
>薬剤として臨床段階まで開発が進んで
>いる薬剤は存在しません。
 
>本研究で見出したブリガチニブと
>セツキシマブ、パニツムマブの
>併用療法については、
>ブリガチニブがALK陽性肺がんに対する
>治療薬として第3相臨床試験中であり、
>セツキシマブおよびパニツムマブは
>大腸がんや頭頚部がんですでに広く
>実臨床で使用されています。
 
>そのため、全くの新しい治療薬開発
>に比べ、より早く臨床的な効果や
>安全性を検証する臨床試験へと
>繋げられることが期待できます。
 
>さらに、本研究で示された
>ブリガチニブのC797S変異をもった
>EGFRへの結合部位に関する情報と
>ブリガチニブの誘導体展開可能と
>考えられる部位に関する情報は、
>今後、より強力で特異的な治療薬の
>開発へと展開するのに重要な情報
>となる可能性があります。
 
 
 進行非小細胞肺がん患者にとって
期待出来そうな成果ですね。
 
 今後の展開に大いに期待したい。

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