新たな鎮痛薬創薬シーズの発見 ~4-イソプロピルシクロヘキサノールは痛みに関わるイオンチャネルを阻害する~
2017年2月22日
NIPS 生理学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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我々が感じる痛みのほとんどは、
細胞の膜に存在する「イオンチャネル型の
痛みセンサー」が活性化することによって
起こります。
特にアノクタミン1やTRPV1、TRPA1など、
痛覚情報を伝える神経に発現する
痛みセンサーは、現在鎮痛薬の重要な
標的分子として注目されています。
今回、自然科学研究機構
岡崎統合バイオサイエンスセンター
(生理学研究所)の高山靖規特任助教と
富永真琴教授、生理学研究所の
古江秀昌准教授(現、兵庫医科大学教授)
との共同研究グループは、
メントールが痛みセンサーのひとつである
アノクタミン1を抑制することを
世界で初めて発見しました。
また、メントールの類似体で、
より簡単な構造をしている
「4-イソプロピルシクロヘキサノール」
という物質が、アノクタミン1、TRPV1、
TRPA1といったさまざまな痛みセンサーを
阻害することと、
特にアノクタミン1とTRPV1の相互作用
によってもたらされる痛みに対して
鎮痛効果を持つことを発見しました。
今回の発見は、今後新たな鎮痛薬を
開発する上で重要なシーズになると
期待されます。
本研究結果は、Scientific Reports
(2月22日電子版)に掲載されました。
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Good News !
>今回の研究成果で、メントールの持つ
>鎮痛作用が、カプサイシン受容体である
>アノクタミン1とTRPV1の機能を
>抑制することによってもたらされる
>ことがわかりました。
>また、メントールよりも簡単な構造
>である「4-イソプロピルシクロ
>ヘキサノール」が、メントールと同様
>痛みや痒みに関わるイオンチャネルの
>機能を抑制することが分かりました。
>この成果は、鎮痛薬(特に外用剤)
>開発を行う上で、新たな起点となること
>が期待されます。
選択肢が増えるのは良いことです。
大いに期待したいと思います。
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