混ぜるだけで迅速に水溶液中のたんぱく質凝縮に成功~新たな高濃度たんぱく質材料で医薬品開発に期待~
平成28年12月26日
科学技術振興機構(JST)
東京工業大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
○産業や医薬品に重要なたんぱく質を
水溶液から濃縮するには、時間と費用が
かかる上、たんぱく質が変性してしまう
問題があった。
○2種類の界面活性剤を加えることで
水溶液中のたんぱく質が構造と機能を
保ったまま集合する現象を発見し、
たんぱく質を多く含む液状物質
(凝縮体)の開発に成功した。
○触媒や抗体機能を持つたんぱく質の
凝縮体を簡便な操作で得られ、
ゲル状態にもできるので、
触媒材料や医薬品の開発など、
幅広い応用展開が期待される。
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JST 戦略的創造研究推進事業
において、東京工業大学 科学技術創成
研究院の野島 達也 特任助教と
彌田 智一 教授らの研究グループは、
界面活性剤注1)を加えると、
水溶液中のたんぱく質が構造と機能を
保ったまま集合する現象
(分子集合現象注2))を発見し、
この新たな現象を利用して、
たんぱく質を多く含む液状物質である
「たんぱく質凝縮体」の開発に
成功しました。
生体高分子であるたんぱく質は、
化学反応を触媒する酵素や特定の分子を
認識する抗体などさまざまな機能を持つ
重要な物質です。
産業や医薬に利用するには、高濃度で、
かつ変性していないたんぱく質が必要です。
しかし、水溶液中に分散している
たんぱく質の濃縮には時間と費用が
かかる上、濃縮過程でたんぱく質が
変性や凝集してしまい、触媒や抗体機能が
失われる問題があります。
本研究グループは、2種類の
イオン性界面活性剤を一定の比率で
組み合わせてたんぱく質水溶液に加える
という簡便な操作で、たんぱく質が
構造と機能を保ったまま集合するという
新たな現象とともに、高いたんぱく質
含有量の液状物質(たんぱく質凝縮体)が
生じることを見いだしました。
本技術は構造や機能が異なる
さまざまなたんぱく質に利用できます。
扱いやすいゲル状態にもできるので、
新しいたんぱく質材料として、
たんぱく質試薬や医薬品の開発など
幅広い応用が期待されます。
本研究成果は、ドイツ化学誌
「Angewandte Chemie
International
Edition」のオンライン版で
近日中に掲載されます。
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興味深いやり方ですね。
>従来、水溶液中のたんぱく質を
>濃縮するには時間と費用がかかって
>いました。
>今回開発した手法は簡便で実用性の高い
>たんぱく質の高濃度化技術として、
>また新しいたんぱく質材料の作成技術
>として、たんぱく質を変性させない
>安定な保存方法や医薬品開発への応用が
>期待されます。
>またゲル化した状態のたんぱく質凝縮体
>は触媒反応後、簡単に取り出して
>再利用できることから、生体触媒の
>用途拡大につながる可能性があります。
>また、今回発見した水溶液中の
>たんぱく質が界面活性剤により
>集合する現象は、新たな分子集合現象
>として分子科学や材料科学の発展に
>寄与することが期待されます。
以外ですね。今後の発展に期待したい。
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