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2017年1月29日 (日)

記憶を関連づける神経細胞集団の仕組みを解明

平成29年1月27日
科学技術振興機構(JST)
富山大学
東京慈恵会医科大学
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○記憶同士が関連づけられる際に、
 それぞれの記憶を司る記憶痕跡細胞集団
 が重複するが、その役割は不明だった。
 
○重複した記憶痕跡細胞集団は記憶の
 関連づけ(連合)のみに関与し、
 それぞれの記憶を思い出すためには
 必要ではないことを明らかにした。
 
○個々の記憶に影響を与えることなく、
 記憶の不要な結びつきのみを
 切り離すことも可能になり、
 精神疾患の新たな治療法の創出にも
 つながると期待される。
 
 
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 JST 戦略的創造研究推進事業の一環
として、富山大学 大学院医学薬学研究部
(医学) 生化学講座の井ノ口 馨 教授
らは、マウスで、個別に形成された
記憶同士が繰り返し同時に思い出される
ような場合に、脳内のある特定の
神経細胞集団がそれぞれの記憶同士を
結びつけていることを初めて明らかに
しました。
 
 私たちは脳に蓄えられている
さまざまな記憶情報を関連づけることで、
知識や概念を形成していきます。
 
 それぞれの記憶は特定の神経細胞集団
(記憶痕跡細胞集団)によって脳内に
蓄えられており、記憶同士が
関連づけられるときには、
それぞれの記憶を司る細胞集団同士が
重複すると報告されていますが、
重複した細胞集団の役割は不明でした。
 
 本研究グループは、マウスを用いて
味覚嫌悪学習(CTA)注1)と
音恐怖条件付け(AFC)注2)という
2つの連合記憶を関連づける
高次連合実験系を確立しました。
 
 CTAはサッカリン水溶液と
塩化リチウムによる内臓倦怠感、
AFCはブザー音と電気ショック
(それに対するすくみ反応)が
それぞれ関連付けされる学習です。
 
 それぞれの条件刺激注3)
(CTAではサッカリン水溶液、
AFCではブザー音)を連続して同時に
思い出させると、本来別々に得られた
CTA記憶とAFC記憶が関連づけられ
ました。
 
 すなわち、サッカリン水溶液を飲むと、
ブザー音を聞いた時のように
フリージング(すくみ)反応を示すように
なりました。
 
 その時、CTA記憶とAFC記憶を司る
扁桃体では、各記憶に対応した
記憶痕跡細胞集団の重なりが増えました。
 
 逆に、記憶を思い出した時に、
重複した記憶痕跡細胞集団の活動のみを
実験的に抑制すると、
2つの連合記憶同士が連合する割合が
低減しました。
 
 一方で、CTAおよびAFCそれぞれの
記憶、すなわちオリジナルの記憶の想起は
正常のままでした。
 
 これにより、重複した記憶痕跡細胞集団
は記憶の連合のみに関与し、
それぞれの記憶の想起には必要ではない
ことが明らかになりました。
 
 記憶が関連づけられる仕組みに関する
今回の研究は、知識や概念の形成
といったヒトの高次脳機能の解明に
つながる成果です。
 
 また、関連性の弱い記憶同士の
不必要な結びつきは、PTSD
(心的外傷後ストレス障害)を始めとする
精神疾患に密接に関わっていることから、
今回の成果はこれらの疾患の治療法の創出
につながると期待されます。
 
 本研究は、富山大学 大学院医学薬学
研究部(医学)の横瀬 淳 特命助教、
東京慈恵会医科大学 痛み脳科学センター
の加藤 総夫 教授らと共同で
行ったものです。
 
 本研究成果は、2017年1月27日
(米国東部時間)に米国科学誌
「Science」のオンライン速報版で
公開されます。
本成果
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 高次脳機能については、まだまだ不明な
部分だらけですよね。
 
 関連リンクです。
NHK NEWS WEB
 こちらの方がわかりやすいです。
 
 
>ヒトの知識や概念の形成過程は、
>過去に経験した既存の記憶に対し、
>日々新たに経験する様々な情報
>(感覚・情動・記憶など)を適切に
>結びつけることにより体系化される
>高次脳機能の1つです。
 
>一方で、PTSDを始めとする
>精神疾患や記憶錯誤などの記憶障害
>においては、このような正常な関連づけ
>が行われず、関連性の弱い記憶同士を
>結びつけてしまうことで事態を
>悪化させることがあります。
 
>このように医学的な観点からも
>本研究成果は新たな知見を与えて
>くれます。
 
>例えば、フラッシュバックのように
>日常の出来事の記憶とトラウマ記憶の
>結びつきが問題となる場合、
>重複した記憶痕跡細胞集団の神経活動を
>抑制することで、それぞれの記憶には
>影響を与えず両者の記憶を切り離すこと
>も可能と思われ、将来的には
>PTSD治療への適用も視野に入って
>きます。
 
 良さそうですね。
 今後の研究に期待します。

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