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2017年1月15日 (日)

iPS細胞を用いて「内耳変性」という難聴の新たな原因と、その治療薬候補物質を発見-さまざまな難聴の原因解明と治療法開発につながる成果-

2017/01/11
慶應義塾大学医学部
国立研究開発法人
日本医療研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 慶應義塾大学医学部生理学教室の
岡野栄之教授、耳鼻咽喉科学教室の
小川郁教授らは、
NHO東京医療センターの松永達雄部長と
共同で、患者のiPS細胞を用いて
遺伝性難聴の
Pendred(ペンドレッド)症候群の原因を
明らかにし、新規治療法を発見しました。
 
 Pendred症候群は進行性の難聴や
めまい、甲状腺腫を引き起こす病気
ですが、遺伝子改変マウスでは
ヒトのような進行性の難聴にならず、
治療法の開発が進展しませんでした。
 
 本研究チームでは、患者の血液から
iPS細胞を作り、内耳の細胞に誘導し、
難聴を引き起こすメカニズムを
探りました。
 
 その結果、患者からの内耳の細胞内
においてのみ異常なペンドリン(PENDRIN)
タンパクが蓄積し、アルツハイマー病
などの神経変性疾患と同様の凝集体が
作られていました。
 
 この内耳細胞は細胞ストレスに
脆弱であり、内耳の細胞死によって、
難聴が徐々に進行していくことが
示されました(「内耳変性」仮説)。
 
 さらに、本研究チームではこの細胞死を
防ぐ治療薬候補を探し、
すでに免疫抑制剤として用いられている
シロリムス
(Sirolimus,別名ラパマイシン)に
治療効果がある可能性を、世界で初めて
発見しました。
 
 内耳は骨の内部にあるリンパ液に
満たされた臓器で、検査のために
細胞を採取することはできず、
難聴が進行していく過程を
観察できません。
 
 患者iPS細胞を活用した本研究成果
によって、アルツハイマー病などと同様の
現象が内耳でも生じるという
予想外の結果が導き出され、
今後、老人性難聴を含めた難聴研究に
大きなパラダイムシフトをもたらす
可能性があります。
 
 また、本研究を通して開発した、
ヒトiPS細胞から内耳細胞を効率的に
安定して作成する方法は、
これまでに効果的な治療法のなかった
様々な遺伝性難聴の治療法開発や、
原因不明の難聴の創薬研究に
大きく寄与するものと期待されます。
 
 本研究成果は2017年1月3日に
「Cell Reports」に掲載されました。
 
プレスリリース全文は、こちら
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 iPS細胞の存在心強いですね。
 iPS細胞がなければ解明出来ない疾患
になります。
 
 
>本研究を通して開発した、
>ヒトiPS細胞から内耳細胞を効率的に
>安定して作成する方法は、
>これまでに効果的な治療法のなかった
>様々な遺伝性難聴の治療法開発や、
>原因不明の難聴の創薬研究に
>大きく寄与するものと期待されます。
 
 良いですね。大いに期待したい。

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