がん診断と治療の両方に適した放射性銅67の大量・高品質製造法の開発に成功―加速器で作る中性子が新たな診断・治療薬開発に道を拓く―
2016/12/28
国立研究開発法人
量子科学技術研究開発機構
詳細は、リンクを参照して下さい。
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発表のポイント
○30年以上にわたりがん診断・治療用薬剤
への応用が期待されてきた
にもかかわらず製造が困難であった
放射性銅67(Cu-67)について、
加速器で作るエネルギーの高い中性子を
利用した実用的製造法を世界で初めて
開発した。
○さらに、Cu-67そのものが大腸がんに
顕著に集積する性質も持つことを
マウス実験により発見した。
○開発した製造法はCu-67以外の
放射性核種の製造にも応用が可能であり、
がん診断・治療の将来を支える
基盤技術として大いに期待される。
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国立研究開発法人量子科学技術研究
開発機構(理事長 平野俊夫、
以下「量研機構」という。)
量子ビーム科学研究部門高崎量子応用
研究所東海量子ビーム応用研究センター
プロジェクト「加速器中性子利用RI
生成研究」の須郷由美上席研究員、
橋本和幸上席研究員、
永井泰樹研究員(大阪大学名誉教授
・東京工業大学名誉教授)、
および、株式会社千代田テクノル
(代表取締役社長:山口和彦)の
川端方子研究員、佐伯秀也技術員、
佐藤俊一技術員らは共同で、
がんの診断と治療の両方に役立つことが
長年期待されてきた放射性銅67(Cu-67)
を、加速器で作る中性子を利用すること
により大量かつ高品質で製造する技術を
世界に先駆け開発しました。
一般に、薬剤の患部への集積性には
個人差があるため、特にがん治療
においては、治療効果と信頼性・安全性を
高めるために、薬剤のがんへの集積量を
患者個々人について確認する技術が
望まれていました。
これに対し、がんへの薬剤集積の
度合いを身体の外から画像化することが
可能な放射線を出し、同時にがん細胞を
直接攻撃するための放射線も出す
Cu-67を含む化合物を薬剤として用いる
ことが、30年以上前から期待されて
きました。
しかし、これまで加速器で得られる
陽子や原子炉で得られる低エネルギーの
中性子を原料に照射する方法が
試みられてきましたが、医療用に適した
高品質のCu-67を大量に製造することが
できず、Cu-67の利用は実現しません
でした。
そこで、本研究グループは、
まず加速器を利用して原子炉よりも
格段に高いエネルギーの中性子を
生成させた上で、それを放射性核種の
製造に利用するという着想の下で
開発を進め、今回、大量かつ高品質の
Cu-67製造技術を初めて確立しました。
さらに本法で得られたCu-67塩化物を、
大腸がんを移植したマウスに注射した
ところ、Cu-67そのものが大腸がんに
顕著に集積する性質も持っていることを
発見しました。
この加速器を利用した製造法は
Cu-67以外の放射性核種の製造にも
応用が可能であるため、
将来のより正確ながん診断や外科的手術に
依らないがん治療を支える基盤技術として
大いに期待されます。
本研究成果は、日本物理学会欧文誌
において、2016年12月28日に
オンライン公開されます。
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>30年以上にわたりがん診断・治療用薬剤
>への応用が期待されてきたにもかかわらず
>製造が困難であった放射性銅67(Cu-67)
>について、加速器で作るエネルギーの
>高い中性子を利用した実用的製造法を
>世界で初めて開発した。
これまた素晴らしい成果ですね。
>今回の開発は加速器で作る中性子を
>用いて、医療応用が可能なCu-67の
>製造法を開発したもので、
>Cu-67による新たながん診断・治療薬
>開発に道を拓くものです。
>我々は、現在核医学診断に
>最も利用されているRIであるTc-99m 4)
>(我が国は全量を海外の原子炉を
>利用した製造に依存しています)
>の大量製造にも加速器中性子を用いる
>方法が有効であることをこれまでに
>見出しており、本法は将来の
>がん診断・治療を支える
>医療用RI製造基盤技術となることが
>大いに期待されます。
こんな大事なものが自国で製造
できなかったとは?
今回の成果、大いに期待したい。
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