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2016年12月 5日 (月)

T細胞の運命を制御する分子機構を解明-白血病発症メカニズムの解明に期待-

2016年12月2日
理化学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 理化学研究所統合生命医科学
研究センター 融合領域リーダー育成
(YCI)プログラム[1]の
伊川友活上級研究員、
免疫器官形成研究グループの
古関明彦グループディレクター、
京都大学再生医科学研究所再生免疫学分野
の河本宏教授らの共同研究チーム※は、
マウスを用いて免疫細胞の1種である
T細胞が作られるときの運命維持に
「ポリコーム複合体[2]」が重要である
ことを明らかにしました。
 
 T細胞は他の免疫細胞と同様、
血液のもととなる造血幹細胞[3]から
作られます。
 
 造血幹細胞は骨髄中でT細胞へある程度
運命付けられた後、胸腺[4]に移動し
分化・成熟します。
 
 2010年に伊川友活上級研究員らは、
T細胞系列への運命決定に転写因子[5]
「Bcl11b[6]」が必要であることを
明らかにしましたが、運命決定された後の
T前駆細胞を維持するメカニズムは
分かっていませんでした。
 
 そこで共同研究チームは、さまざまな
細胞の運命制御に関わるポリコーム複合体
に注目しました。
 
 まず、T細胞特異的にポリコーム複合体
遺伝子「Ring1A/B [7]」を欠損させた
マウスを作製し、T細胞分化における役割
を解析しました。
 
 その結果、Ring1A/B欠損マウスの胸腺
ではT細胞が全く作られず、未分化な
前駆細胞段階で分化が停滞しました。
 
 このRing1A/Bを欠損したT前駆細胞を
調べたところ、同じリンパ球である
B細胞の特徴を示す遺伝子の発現が
上昇していました。
 
 そこでB細胞への分化能を調べるために、
Ring1A/Bを欠損したT前駆細胞
を放射線照射した免疫不全マウスに
移植したところ、T細胞は
全く生成されない代わりに、
骨髄および脾臓[8]において抗体産生能を
持つB細胞が生成されました。
 
 次に、B細胞分化に重要な遺伝子
「Pax5[9]」を欠損させたところ、
Ring1A/Bを欠損させてもT細胞は正常分化
し、B細胞へ運命転換しなくなりました。
 
 このことからRing1A/Bは胸腺において、
主にPax5の発現を抑制することにより
T細胞の運命を維持していると
考えられます。
 
 ポリコーム複合体はこれまで、
個体発生時の形態形成において重要である
ことは知られていましたが、
今回、免疫細胞の生成・維持にも不可欠
であることが示されました。
 
 ポリコーム複合体はT細胞急性リンパ性
白血病[10]や急性骨髄性白血病[11]など、
さまざまな白血病細胞で変異がみられる
ため、T細胞などの免疫細胞が作られる
ときのポリコーム複合体の機能をさらに
解明することにより、白血病の発症機構の
解明や新しい治療法の開発に繋がると
期待できます。
 
 成果は、米国の科学雑誌
『Genes & Development』オンライン版
(12月2日付け)に掲載されます。
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 「ポリコーム複合体」ね~
免疫系は複雑です。
 
 T前駆細胞が胸腺で教育されて
成熟したT細胞として末梢組織へ
移出されるんですね。
 
 大きく二つのことがわかったと、
言うことですね。
 
まず一つ
>細胞の系列は、一般的には転写因子が
>まず方向性を決めて、
>エピジェネティック制御がその状態を
>維持すると考えられています。
 
>本研究成果は、T細胞とB細胞とでは
>そのメカニズムが大きく異なることを
>示しています。
 
>すなわち、T細胞系列の分化・成熟には
>B細胞系列の転写因子を
>エピジェネティックに抑制することが
>不可欠であり、
>「B細胞系列への分化は初期設定で
>決められているが、T細胞系列への分化
>にはB細胞への分化能を強力に阻止する
>必要がある」と考えられます。
 
 T細胞とB細胞ずいぶん違うようです。
 
もう一つは、
>一方、ポリコーム複合体による
>遺伝子発現制御メカニズムが破綻する
>ことにより、細胞のがん化を引き起こす
>と考えられています。
 
>例えば、T細胞急性リンパ性白血病や
>急性骨髄性白血病など、
>さまざまな白血病において
>ポリコーム複合体の変異が報告されて
>います。
 
>しかし、その詳細は明らかでは
>ありません。
 
>今後、ポリコーム複合体による
>免疫細胞の分化制御の詳細な仕組みを
>明らかにすることにより、
>白血病の発症機構や治療法の開発への
>応用が可能になると期待できます。
 
 研究の進展期待しています。
 白血病発症メカニズムの解明に繋がると
良いですね。

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