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2016年11月29日 (火)

抗がん剤をがん細胞だけに送り届ける小分子を開発~抗がん剤の副作用の軽減に期待~

平成28年11月25日
京都府立医科大学
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○多くのがん細胞に高発現する
 リシン特異的脱メチル化酵素1
 (LSD1)の阻害を引き金に、
 がん細胞選択的に薬物を放出する
 分子技術を開発しました。
 
○この分子技術は多くの抗がん剤の
 デリバリーに応用することが可能です。
 
○従来の高分子型ドラッグデリバリーで
 問題になっている、体内動態が
 良くない点や高コスト、抗がん剤に由来
 する副作用が、本分子技術により
 改善できると期待されます。
 
 
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 京都府立医科大学 大学院医学研究科
医薬品化学 教授 鈴木 孝禎、
大学院生 太田 庸介らは、
がん細胞の中でのみ抗がん剤を放出する
ことで、抗がん剤に由来する副作用を
軽減する分子技術を開発しました。
 
 本研究に関する論文が
2016年11月24日(木)に
独科学雑誌
「Angewandte Chemie
 International
 Edition」に掲載されました。
 
 抗がん剤を用いた化学療法は
がんの有効な治療法の一つでありますが、
がん細胞以外の正常な細胞にも作用し、
重篤な副作用を伴うことも知られています。
 
 近年、副作用の強い抗がん剤を
がん細胞に選択的に輸送する
ドラッグデリバリーシステム(DDS)の
開発が行われています。
 
 しかし、これまでのDDSはがん選択性
を示す一方で、その多くに、
大きな分子サイズのため、がん細胞に
うまく行き渡らないことや
生産コストが高いことなどの課題が
残されていました。
 
 今回、鈴木教授、太田大学院生らは、
小分子を利用して、がん細胞のうち
リシン特異的脱メチル化酵素1
(LSD1)を高発現する細胞の中で
選択的に第2の抗がん活性を有する薬物を
放出する分子技術を開発しました。
 
 この分子技術の一例として、細胞膜を
透過しやすい小分子「LSD1阻害薬
フェニルシクロプロピルアミン
(PCPA)」と乳がん治療薬
「タモキシフェン」を含む
「PCPA-タモキシフェン複合体」を
作成しました。
 
 この複合体は、乳がん細胞のLSD1を
強く阻害した後、タモキシフェンを
放出することで、その増殖を強く抑制
しました。
 
 一方で、この複合体はLSD1の
発現量が少ない正常細胞には毒性を
示しませんでした。
 
 本研究成果は、これまでのDDSが
抱える体内動態が良くない点や
高コストなどの問題を解決しうる
小分子型DDSの開発を成功させた例です。
 
 この分子技術は抗乳がん剤以外の
抗がん剤にも適用可能であり、
新たなDDSとして期待されます。
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 良いですね。小分子を利用したDDS。
 
 関連投稿です。
岡山大と岡山理科大の共同研究グループ
 
 これはマイクロカプセルの中に
抗がん剤を入れて送達するタイプ
です。
 
 良さそうですが、DDS全体を見た
時、どんな位置づけに存在する
ものなのでしょうか?
 
 
 今回の研究の今後の展開
>今回の研究でLSD1を高発現する
>がん細胞で選択的に薬物を放出する
>分子技術が開発されました。
 
>すでに、動物実験での有効性や安全性が
>確認されています。
 
>今後、臨床への応用を進めていくこと
>により、副作用の少ない抗乳がん剤の
>開発が期待されます。
 
>また、この分子技術は
>PCPA-タモキシフェン複合体
>だけでなく、他の多くの抗がん剤に
>適応することが可能であり、
>新たな抗がん剤デリバリー分子の開発に
>活用されることが期待されます。
 
 マイクロカプセルタイプでは
ないようですが、
より良いDDSシステム開発に向けての
一歩として大いに期待しています。

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