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2016年11月30日 (水)

ゼオライトを秒速で合成 ~ゼオライトの合成時間を1/1000以下に短縮

016年11月29日
国立大学法人 東京大学
公益財団法人 高輝度光科学研究センター
プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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発表のポイント
 
◆石油化学触媒として広く用いられる
 ゼオライトの超高速合成技術
 (二液混合型流通合成システム)の
 開発に成功した。
 
◆これにより、今まで数時間~数日
 要していたゼオライトの合成を
 数秒で達成した。
 
◆ゼオライトを低コストおよび高効率で
 合成することができるようになり、
 化学工業プロセスの変革に
 貢献されることが期待される。
 
 
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 石油の接触分解やイオン交換材、
吸着材、水エタノール分離膜などに
用いられるゼオライト(注1)は、
化学工業プロセスでは重要な役割を
担っている。
 
 このゼオライトを工業的に利用する
ためには水熱合成(注2)が必要で、
一般的に数時間~数日かかる。
 
 これが量産の際の大きな壁となっている
ため、合成時間の短縮化に関する技術開発
は重要である。
 
 東京大学大学院工学系研究科の
脇原徹准教授・大久保達也教授らは
これまでの一連の研究において、
ゼオライトの結晶化操作を適切に行うこと
で、ゼオライトの高速合成が可能である
ことを示してきた(図1)。
 
 しかし、これまでの研究では最速でも
数分~10分程度の水熱合成時間が必要で
あり(これでも十分インパクトのある成果
であった)、さらなる短縮化が望まれて
いた。
 
 そこで、今回ゼオライトの一般的な
結晶化操作法であるバッチ式水熱合成法
(注3)ではなく、二液混合型流通合成
システムを開発した。
 
 具体的には、ゼオライト合成混合液と
熱水を直接接触、瞬時に合成に適した温度
(~300℃)に昇温させることにより、
ゼオライトを数秒~10秒で合成させる
革新的ゼオライト製造プロセスである
(図2)。
 
 この技術により、工業的に利用価値の
極めて高いMFI型ゼオライトをわずか6秒で
合成することに成功した。
 
 なお、結晶性の高いゼオライトが
得られたことを確認するため
生成物の原子間距離を正確に確認する
必要があり、SPring-8(注4)の
ビームラインBL04B2にて精密に解析
(二体分布解析)を行った。
 
 ゼオライトは、今日では年間100万トン
以上製造されている。
 
 原油中の重質成分をガソリンや
ナフサに転換し、今日のエネルギー供給、
化成品製造を可能にしている触媒の
主要成分である。
 
 また、近年は自動車のNOx排出規制に
対応する触媒として実用化された。
 
 すなわち、ゼオライトは持続的社会の
形成のために大きく貢献する
キーマテリアルである。
 
 本研究成果が、ゼオライトの
高効率・低コストでの生産を可能とした
ことで、化学工業プロセスに大きな変革を
もたらす可能性がある。
 
 さらにエネルギー関連分野
(石油やバイオマス)、
環境関連分野(自動車関連分野、発電分野)
などへの波及も容易になるものと思われる。
 
 なお研究成果の一部は
NEDO委託事業「エネルギー・環境
新技術先導プログラム/超精密原子配列
制御型排ガス触媒の研究開発」に
よるものです。
 
 また、SPring-8の長期課題2015A0115の
成果の一部です。
 
 本研究成果は、
「PNAS(Proceedings of the National
  Academy of Sciences of the United
  States of America
:米国科学アカデミー紀要)」に
日本時間2016年11月28日の週に
掲載されました。
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>ゼオライトは、今日では年間100万トン
>以上製造されている。
>原油中の重質成分をガソリンやナフサに
>転換し、今日のエネルギー供給、
>化成品製造を可能にしている触媒の
>主要成分である。
 
 そんなに製造されているとは
知りませんでした。
 
 知ったのは、例の福島原発事故で
放射性物質を吸着出来る物質の一つ
として初めて知りました。
 
 こんなに生産されているのなら
今回の成果は素晴らしいということ
になりますね。
 
 
>近年のゼオライト合成分野に対する
>要求は高く、
>とりわけ高結晶性ゼオライトを
>短時間で製造するプロセスの確立が
>強く求められている。
 
>今後は、さらなる高速化、
>他のゼオライトへの展開を考えている。
 
>特に本実験の成功の要因の一つとして
>結晶化開始直前まで反応混合物を
>熟成させる必要があった。
 
>このような前処理を必要とせず、
>ダイレクトに本装置に
>原料を投入・ゼオライト合成が
>できれば、極めて簡易にゼオライトを
>生産できることが期待される。
 
 今後に大いに期待しましょう。

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2016年11月29日 (火)

抗がん剤をがん細胞だけに送り届ける小分子を開発~抗がん剤の副作用の軽減に期待~

平成28年11月25日
京都府立医科大学
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○多くのがん細胞に高発現する
 リシン特異的脱メチル化酵素1
 (LSD1)の阻害を引き金に、
 がん細胞選択的に薬物を放出する
 分子技術を開発しました。
 
○この分子技術は多くの抗がん剤の
 デリバリーに応用することが可能です。
 
○従来の高分子型ドラッグデリバリーで
 問題になっている、体内動態が
 良くない点や高コスト、抗がん剤に由来
 する副作用が、本分子技術により
 改善できると期待されます。
 
 
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 京都府立医科大学 大学院医学研究科
医薬品化学 教授 鈴木 孝禎、
大学院生 太田 庸介らは、
がん細胞の中でのみ抗がん剤を放出する
ことで、抗がん剤に由来する副作用を
軽減する分子技術を開発しました。
 
 本研究に関する論文が
2016年11月24日(木)に
独科学雑誌
「Angewandte Chemie
 International
 Edition」に掲載されました。
 
 抗がん剤を用いた化学療法は
がんの有効な治療法の一つでありますが、
がん細胞以外の正常な細胞にも作用し、
重篤な副作用を伴うことも知られています。
 
 近年、副作用の強い抗がん剤を
がん細胞に選択的に輸送する
ドラッグデリバリーシステム(DDS)の
開発が行われています。
 
 しかし、これまでのDDSはがん選択性
を示す一方で、その多くに、
大きな分子サイズのため、がん細胞に
うまく行き渡らないことや
生産コストが高いことなどの課題が
残されていました。
 
 今回、鈴木教授、太田大学院生らは、
小分子を利用して、がん細胞のうち
リシン特異的脱メチル化酵素1
(LSD1)を高発現する細胞の中で
選択的に第2の抗がん活性を有する薬物を
放出する分子技術を開発しました。
 
 この分子技術の一例として、細胞膜を
透過しやすい小分子「LSD1阻害薬
フェニルシクロプロピルアミン
(PCPA)」と乳がん治療薬
「タモキシフェン」を含む
「PCPA-タモキシフェン複合体」を
作成しました。
 
 この複合体は、乳がん細胞のLSD1を
強く阻害した後、タモキシフェンを
放出することで、その増殖を強く抑制
しました。
 
 一方で、この複合体はLSD1の
発現量が少ない正常細胞には毒性を
示しませんでした。
 
 本研究成果は、これまでのDDSが
抱える体内動態が良くない点や
高コストなどの問題を解決しうる
小分子型DDSの開発を成功させた例です。
 
 この分子技術は抗乳がん剤以外の
抗がん剤にも適用可能であり、
新たなDDSとして期待されます。
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 良いですね。小分子を利用したDDS。
 
 関連投稿です。
岡山大と岡山理科大の共同研究グループ
 
 これはマイクロカプセルの中に
抗がん剤を入れて送達するタイプ
です。
 
 良さそうですが、DDS全体を見た
時、どんな位置づけに存在する
ものなのでしょうか?
 
 
 今回の研究の今後の展開
>今回の研究でLSD1を高発現する
>がん細胞で選択的に薬物を放出する
>分子技術が開発されました。
 
>すでに、動物実験での有効性や安全性が
>確認されています。
 
>今後、臨床への応用を進めていくこと
>により、副作用の少ない抗乳がん剤の
>開発が期待されます。
 
>また、この分子技術は
>PCPA-タモキシフェン複合体
>だけでなく、他の多くの抗がん剤に
>適応することが可能であり、
>新たな抗がん剤デリバリー分子の開発に
>活用されることが期待されます。
 
 マイクロカプセルタイプでは
ないようですが、
より良いDDSシステム開発に向けての
一歩として大いに期待しています。

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2016年11月28日 (月)

生体内ゲノム編集の新技術を開発-非分裂細胞に有効な遺伝子ノックイン法『HITI』-

2016年11月17日
理化学研究所
ソーク生物学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 1970年代から“生命の設計図”
と呼ばれるゲノム配列を操作すること
により、遺伝子機能を解析する試みが
行われてきました。
 
 近年では、ゲノム配列を
デザイン・改変する操作を
「ゲノム編集」技術と呼び、
基礎生物学に必須な技術として
用いられています。
 
 ゲノム編集技術がさらに発展すると、
医療・食品・エネルギーなどの分野に
多大な利益をもたらすため、
“次世代のバイオテクノロジー”
として大きな関心を集めています。
 
 ところが従来法は、細胞が活発に
分裂する最中に起こる相同組換え修復
(傷ついたDNAを修復する機構の一種)
の仕組みを利用してゲノム上の
任意の場所に目的の遺伝子を挿入して
いました。
 
 そのため、皮膚の表皮細胞や
腸の上皮細胞などを除くほとんどの
生体内の細胞、特に神経細胞や心筋細胞
などの細胞分裂をしていない細胞には、
この技術を適用することはできません
でした。
 
 そこで、理研を含む
国際共同研究グループは、非分裂細胞内
でも活性を持つ別のDNA修復機構を
利用したゲノム改変技術を開発し、
「HITI(ヒティ)」と名付けました。
 
 まず、ヒトの培養分裂細胞で
HITI技術を試してみると、従来法より
約10倍高い効率で遺伝子挿入が
できました。
 
 続いて、マウス胎児由来の培養神経細胞
(非分裂細胞)でHITI技術を用いると、
高効率(遺伝子導入された細胞当たり
最大60%)で目的部位に遺伝子が挿入され、
生きたマウスの胎児脳でも同様に
成功しました。
 
 さらに、生体内での遺伝子導入に優れた
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
を用いて、HITIシステムを細胞内に
直接導入する「HITI-AAV」を
作製しました。
 
 これを生きたマウスへ局所注射すること
で、脳の一部など組織・器官の目的部位
のみに遺伝子挿入することができました
(図参照)。
 
 また、HITI-AAVを静脈注射で投与する
ことにより、心臓、肝臓、筋肉など
全身の組織・器官で標的配列を3~10%の
細胞で改変できることを確認しました。
 
 さらに、生後3週齢の
網膜色素変性症ラットの網膜下に
HITI-AAVを直接投与したところ、
視覚障害を一部回復することに
成功しました。
 
 網膜色素変性症とは、網膜の視細胞の
変性により徐々に視野が狭くなり、
視力を失うこともある進行性の遺伝病です。
 
 今後、HITI技術は成人の神経、筋肉、
網膜などの終末分化細胞に異常のある
さまざま難治性遺伝病に対し、
その原因となる異常遺伝子を病変部位で
直接修復する医療への応用が期待できます。 
 
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 いろいろ遺伝子操作技術、出てきて
いますが、今回の「HITI(ヒティ)」
素晴らしいと思います。
 
 HITI-AAVも期待できそうです。
 
 
>今後、HITI技術は成人の神経、筋肉、
>網膜などの終末分化細胞に
>異常のあるさまざま難治性遺伝病に
>対し、その原因となる異常遺伝子を
>病変部位で直接修復する医療への
>応用が期待できます。
 
 遺伝性の脊髄小脳変性症などにも
従来より高確率で遺伝子治療効果が
期待出来そうな気がします。
 
 大いに期待したい。

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2016年11月27日 (日)

廃棄物と水から“水素”を生成する触媒技術を開発

2016年11月24日 大阪大学研究情報
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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本研究成果のポイント
 
・次世代エネルギーである水素を、
 シリコーン工業等で発生する廃棄物
 (ヒドロシラン※1)と水から、
 金ナノ粒子触媒※2によって
 室温・大気中で発生させ、更に発生の
 オン・オフ制御も可能な世界初の技術を
 開発した
 
・水素は常温・常圧で気体であり、
 尚且つ爆発の危険があるため、
 エネルギー活用時の貯蔵と運搬に
 課題があり、近年は金属に水素を
 吸着させるなどの水素貯蔵物質※3の
 開発が進められている。
 
 本技術はその中でも効率的に水素を
 生成可能
 
・今後、水素エネルギー社会の
 実現に向け、ポータブル水素発生装置
 への応用に期待
 
 
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リリース概要
 
 大阪大学太陽エネルギー化学
研究センター金田清臣特任教授と
大学院基礎工学研究科満留敬人准教授らの
研究グループは、工業廃棄物である
ヒドロシラン類と水から次世代エネルギー
である水素を効率的に発生させる
金ナノ粒子触媒を開発することに
成功しました。
 
 水素は、燃やしても二酸化炭素が
発生しないため最も有望な
次世代エネルギーの一つです。
 
 水素を安全に運搬する手法として
金属に吸着させるなどの水素貯蔵物質が
研究されていますが、これまで工業廃棄物
のヒドロシラン類は水素貯蔵物質として
注目されていませんでした。
 
 今回、本研究グループは、
ヒドロシラン類が安価かつ安全な
水素貯蔵物質としての可能性をもつこと
に着目し、ナノ単位で構造を制御した
高機能な金ナノ粒子触媒(図1)を
開発することで工業廃棄物の
ヒドロシラン類であるTMDS※1や
PMHS※1と水から高効率に水素を取り出す
ことに成功しました。
 
 さらに、反応液からの分離が簡単である
という固体触媒※4の利点を生かし、
触媒を反応液に出し入れすることで
水素発生のオン・オフの制御ができること
を世界で初めて提案しました(図2)。
 
 この触媒系は熱などの外部エネルギーを
一切必要とせず、室温・大気中で簡便に
多量の水素を生成できます。
 
 またこの水素生成系は、ヒドロシラン、
水、触媒から構成されているため、
従来の加圧により水素を貯蔵するボンベ
などと比べて非常に小型かつ軽量で
簡単に持ち運びができるという利点が
あります。
 
 これらのことから、今後、必要な場所で
必要なときに、必要な分だけ簡単に
水素エネルギーを取り出すことのできる
次世代型水素キャリアシステム
(ポータブル水素発生装置)としての
応用・実用化が期待されます。
 
 本研究成果は、英科学誌Natureの姉妹誌
「Scientific Reports」に、
11月24日(木)19時(日本時間)に
公開されました。
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>次世代型水素キャリアシステム
>(ポータブル水素発生装置)
>としての応用・実用化が期待されます。
 とのこと。
 
>シリコーン工業等で発生する廃棄物
>(ヒドロシラン※1)と水から、
>金ナノ粒子触媒※2によって
>室温・大気中で発生させる
 ものです。
 
 水の電気分解からのように、ある意味
無限に水素を製造出来るものでは無いと
いうことです。
 
 ただ、
>非常に小型かつ軽量という
>利点を生かし、スマートフォンの
>充電等の用途に使用される
>ポケットサイズ燃料電池の水素生成部に
>組み込むことができます。
 
>また、安定な化合物で構成されている
>ため、これまでの電池やバッテリーと
>比べて経年劣化の心配がなく、
>災害時などの非常用電源として
>避難所などに常備・長期保管しておく
>こともできると思われます。
 
 なるほど、そういう使い方になる
と言うことですね。
 
 水素を大量に使用する
燃料電池自動車用の水素の作成用途
には使えなさそうですが、これは
これで、有用そうです。
 
 水素社会の実現の一歩として
期待しましょう。

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2016年11月26日 (土)

生きた細胞内のグルタチオンを可視化し、定量する~がん治療研究や創薬研究への応用に期待~

平成28年11月8日
東京大学
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○グルタチオン(GSH)に対して
 可逆的に応答する蛍光色素を開発し、
 生きた細胞内のグルタチオン濃度の定量
 や、秒単位での可逆的な
 グルタチオン濃度変化の可視化を
 達成しました。
 
○従来の細胞内グルタチオンの定量法は、
 細胞を破砕する必要があり、
 生きた状態での定量が不可能でした。
 
 本研究では、生きた細胞内の
 グルタチオンの濃度情報を得ることに
 成功し、さらにその時間変化の観察を
 可能としました。
 
○グルタチオンは細胞の恒常性を保つ
 重要な因子であり、がん細胞の
 酸化ストレス耐性や
 薬剤耐性・放射線治療耐性などと
 大きく関連しています。
 
 本研究はがん治療研究や創薬研究
 といった医薬研究に対して多大な貢献を
 もたらすと期待されます。
 
 
-----
 グルタチオン注1)は、主に
活性酸素・酸化ストレス注2)の除去や
異物(薬剤など)の排出を担う、
いわば“細胞が生き延びるための防御物質”
として働きます。
 
 がん細胞はグルタチオン濃度を
高く保っているといわれており、
そのため放射線治療や抗がん剤に対して
高い耐性をもち、治療効果が弱まって
しまうことが示唆されています。
 
 従って、細胞内のグルタチオン濃度や
その増減を“生きたまま”測ることは、
がんの治療研究や創薬研究に不可欠です。
 
 しかし従来法では、細胞を破砕しないと
測れないなどの制約があり、
実現が困難でした。
 
 東京大学 大学院薬学系研究科
/医学系研究科 (兼担)の
浦野 泰照 教授、同医学系研究科の
神谷 真子 講師らの研究グループは、
グルタチオンに対して可逆的に反応し、
グルタチオン濃度に応じて
蛍光強度や蛍光波長が変化する
新しい蛍光プローブ注3)の開発に
成功しました。
 
 これを生きた細胞に適応することで、
生きた細胞(正常細胞やがん細胞)内の
グルタチオン濃度の定量、
正常細胞とがん細胞のグルタチオン濃度の
違いや酸化ストレス耐性の違いを
初めて可視化しました。
 
 この結果より、本蛍光色素は、
がん研究や酸化ストレス分野における
基幹的研究から、がん治療や創薬といった
医薬研究への貢献が期待されます。
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 Good News!
 グルタチオンを生きた状態で定量可能
に出来たことは素晴らしいと思います。
 
 
>グルタチオンは細胞の恒常性を保つ
>重要な因子であり、がん細胞の
>酸化ストレス耐性や
>薬剤耐性・放射線治療耐性などと
>大きく関連しています。
 
>本研究はがん治療研究や創薬研究
>といった医薬研究に対して
>多大な貢献をもたらすと期待されます。
 
 大いに期待したい。

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2016年11月25日 (金)

「オートファジーによる中心体数制御」【清水重臣 教授】

2016.11.18
東京医科歯科大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 東京医科歯科大学・難治疾患研究所の
渡辺雄一郎大学院生、本田真也助教、
清水重臣教授らの研究グループは、
中心体数の制御にオートファジーが
関与していることをつきとめ、
その分子機構を明らかにしました。
 
 この研究は文部科学省科学研究費補助金、
AMEDなどの支援のもとでおこなわれた
もので、その研究成果は、
国際科学誌Nature Communicationに、
2016年11月21日午前10時(英国時間)に
オンライン版で発表されました。
 
 
 プレス資料(PDF)
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 オートファジーの異常から
がんが発生することは
よく知られていると、
 
 今回の研究から、
>発がんの原因の1つとして
>中心体数の制御異常が関与している
>ものと考えられました。
 
 
 中心体数の制御異常があると
がんが発生すると、
 
 オートファジーの異常ががんの
発生にからんでいる具体例が
発見されたと言うことですね。
 
 
 今後は、このメカニズムによる
がんの発生を防ぐ医薬品の開発に
期待します。

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2016年11月24日 (木)

肝臓を再構築する肝前駆細胞へのリプログラミングにラット、マウスで成功 再生医療やがん治療への応用に期待

2016年11月11日
国立がん研究センター
日本医療研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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本研究成果のポイント
 
1.成熟肝細胞から、肝臓を再構築する
 肝前駆細胞へのリプログラミング
 および安定培養に成功。
 
2.培養に成功した肝前駆細胞を、
 肝障害をもつ動物の肝臓に移植すると
 高い再生能力を示し、75-90%という
 極めて高い効率でホスト肝臓を
 再構築した。
 
 
-----
 国立がん研究センター研究所分子細胞
治療研究分野落谷孝広分野長、
勝田毅研究員の研究チームは、
低分子化合物を用いることで
遺伝子組み換えを行うことなく、
ラットおよびマウスの成熟肝細胞から、
生体外で増殖可能で、かつ生体内で
高い再生能を示し肝臓を再構築する
肝前駆細胞(Chemically-induced
Liver Progenitors:CLiPと命名)への
リプログラミングに成功しました。
 
 これまで、重篤肝疾患に対する治療は
肝移植しかありませんでしたが、
再生能を有する移植可能な成熟肝細胞を
生体外で安定かつ安全に供給する方法は
これまで開発されていません。
 
 今後、ヒトの肝細胞を利用した
CLiPを開発することにより、
患者自身の検体をソースとした
新たな細胞治療や、肝がんの発生機序の
解明への応用が期待されます。
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 低分子化合物を添加することで
肝前駆細胞へリプログラミング出来た
と言うこと。素晴らしいです。
 
 
>今回の報告では、これまで精力的に
>取り組まれてきた、多能性幹細胞から
>肝(前駆)細胞へと分化誘導する
>アプローチとは反対の、
>成熟細胞から前駆細胞へと部分的に
>リプログラミングするという
>新たなアプローチを提案できました。
 
>このような部分的リプログラミング
>というアプローチは、肝臓だけでなく
>様々な臓器を対象として展開できる
>可能性が十分にあり、再生医療分野
>における新たな方向性を示すことに
>なります。
 
>研究チームは、このアプローチを
>ベースに、凍結保存されている
>ヒト肝細胞、あるいは生検サンプルから
>採取したヒト肝細胞をソースに、
>移植治療に使えるヒトCLiPの誘導を
>目指して研究を続けています。
 
 リプログラミングの可能性大ですね。
 再生医療に大いに貢献出来ると思います。
 大いに期待したい。

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2016年11月23日 (水)

ヒトiPS細胞からがん細胞を殺傷できる強力なキラーT細胞を再生 -再生T細胞療法の臨床応用に向けて一歩前進-

2016年11月22日 京都大学研究成果
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 河本宏 ウイルス・再生医科学研究所
教授、前田卓也 同特定研究員らは、
ヒトiPS細胞からがん細胞を殺傷する
能力をもつキラーT細胞
(ウイルスに感染した細胞やがん細胞を
殺すことのできるT細胞)を作製すること
に成功しました。
 
 本研究成果は2016年11月22日午前2時に
米国の科学雑誌「Cancer Research」の
オンライン版に掲載されました。
 
 
-----
研究者からのコメント
 
 がん患者の体の中には、がん細胞を
殺傷することができるキラーT細胞が
存在します。
 
  私達は、iPS細胞技術を利用して
そのようなキラーT細胞を再生するという
研究を世界にさきがけて進めてきました。
 
 しかし、従来の培養法では、生体中の
キラーT細胞に比べると、
品質が大幅に劣るものしかつくることが
できせんでした。
 
 今回開発した方法によって、
生体中のキラーT細胞にほぼ匹敵する
高品質なキラーT細胞を再生することに
成功しました。
 
 再生T細胞を用いたがんの免疫細胞療法
の実現化にむけて一歩前進したと
考えています。
 
 
詳しい研究内容について
 
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 素晴らしい。
 
 
>再生T細胞を用いたがんの免疫細胞療法
>の実現化にむけて一歩前進したと
>考えています。
 
 有効ながんの免疫細胞療法開発に
結びつくと良いですね。
 期待したい。

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2016年11月22日 (火)

南アフリカ共和国で省エネ型海水淡水化技術の実証事業を開始へ―アフリカ初のNEDO実証事業で水不足解決を目指す―

2016年11月18日
国立研究開発法人
新エネルギー・産業技術総合開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 NEDOは、南アフリカ共和国のダーバン市
と共同で、省エネルギー型の
海水淡水化技術の実証事業を開始すること
に合意し、基本協定書(MOU)を締結
しました。
 
 これはNEDOにとってアフリカ初の
実証事業となります。
 
 NEDOの国内事業で確立した
海水淡水化・水再利用統合システムを
基に、海水と再生水から日量6,250トンの
飲料水を生産可能な実証設備を構築し、
従来法に比べ30%以上の省エネルギー化と
周辺海洋環境への負荷低減を実現します。
 
 将来的には設備を拡大しダーバン市への
飲料水供給事業へと繋げ、
深刻な水不足に直面している
南アフリカ共和国全土、
さらにはアフリカ地域への普及展開を
目指します。
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 積極的に進めたい事業です。
 
 
 
>今後3年間でダーバン市中部下水処理場
>に日量6,250トンの飲料水を周辺地域の
>海水と再生水から生産可能な設備を構築
>します。
 
>そして、従来法に比べ30%以上の
>省エネルギー化と周辺海洋環境への
>負荷低減を実証します。
 
>アフリカで初のNEDOの実証事業である
>本事業を足掛かりに、南アフリカ共和国
>をはじめアフリカ地域に広く日本の技術
>を普及し、同地域の水インフラ整備や
>産業発展に貢献することを目指します。
 
 上手く貢献出来ると良いですね。

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2016年11月21日 (月)

新たなC型肝炎ウイルス感染予防ワクチンの開発

2016年11月04日 京都大学研究成果
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 明里宏文 霊長類研究所教授、
加藤孝宣 国立感染症研究所室長らの
研究グループは、有望なHCVワクチンの
開発に成功しました。
 
 本研究では、不活化HCV粒子を
ワクチンの細胞の免疫反応を高める
補強剤(以下、アジュバント)である
K3-SPGとともに小型霊長類モデルである
コモンマーモセットに接種したところ、
感染・発症予防に有効な中和抗体と
細胞性免疫の両方を効率良く誘導できる
ことを初めて明らかにしました。
 
 本研究成果は、2016年10月27日に
英国の医学誌「Gut」に掲載されました。
 
 
-----
研究者からのコメント
 
 本研究成果により、培養細胞で
作製された不活化HCV粒子は、
強力な新規アジュバントである
K3-SPGとともに接種することで
有効かつ安全なHCVワクチンとして
使用できる可能性が示されました。
 
 今後、不活化HCV粒子の大量合成技術や
ワクチン接種プロトコルの最適化を通じて、
早期のHCVワクチン実用化を目指したいと
考えています。
 
 
詳しい研究内容について
 
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 Good Newsです。
 
 
>今後、不活化HCV粒子の大量合成技術や
>ワクチン接種プロトコルの
>最適化を通じて、早期のHCVワクチン
>実用化を目指したいと考えています。
 
 現在存在するC型肝炎ワクチン、
まだいろいろ問題が残っている
ようです。
 
 早期のHCVワクチン実用化に期待
したい。

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2016年11月20日 (日)

染色体DNAの断裂が自然発生する分子機構と断裂を修復する分子機構の解明 -細胞で染色体DNAの断裂は大量に自然発生する-

2016年11月04日 京都大学研究成果
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 武田俊一 医学研究科教授、
笹沼博之 同准教授らは、身体のなかの
神経細胞を含む多くの細胞で
日常的にDNA2重鎖切断が発生している
ことを証明しました。
 
 これは発がんの原因になる病的な
DNA2重鎖切断が、放射線被曝して
いなくてもすべての細胞で毎日複数個
起こっていることを意味します。
 
 本研究成果は2016年11月4日午前1時に、
Cell社の学術誌 「Molecular Cell」に
掲載されました。
 
 
-----
研究者からのコメント
 
 iPS細胞を治療に応用するときに、
iPS細胞を培養中に変異が蓄積する
という問題がありました。
 
 私たちの研究から発がん効果の強い変異
の発生原因、すなわち2重鎖DNA切断の
自然発生の原因(トポイソメラーゼ2の
触媒反応中の間違い)と、その変異蓄積を
抑制している分子機構、すなわち
Mre11酵素の機能が解明できました。
 
 Mre11酵素が関与するDNA2重鎖切断修復
経路の機能が不十分だと、切断が正確かつ
すぐに修復できず、染色体転座や
長い染色体DNA領域の欠損、
染色体ロスの原因になります。
 
 iPS細胞を培養中に変異を蓄積する
主要な分子機構も、そのかなりの部分を
上記のメカニズムで説明できると
考えています。
 
 今後、私たちの研究によって
少しでも病気で苦しむ人が減ることを
切に願っています。
 
 
詳しい研究内容について
 
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>細胞で染色体DNAの断裂は大量に
>自然発生する
 そうです。以外でしたね。
 
>染色体DNAが一見非常に安定に見えた
>のは、大量の損傷がたくさんの種類の
>酵素によって正確に修復されている
>からでした。
 
 
-----
>iPS細胞を培養中に変異を蓄積する
>主要な分子機構も、そのかなりの部分を
>上記のメカニズムで説明できると
>考えています。
 
>今後、私たちの研究によって
>少しでも病気で苦しむ人が減ることを
>切に願っています。
 
 上記の研究によって「iPS細胞培養中」
の変異を劇的に減らすことが出来れば
素晴らしいですね。

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2016年11月19日 (土)

オートファジーの活性を簡便かつ定量的に測定できる新規プローブの開発―生体内のオートファジーの活性も測定可能に―

2016/11/04
東京大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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発表のポイント
 
◆主要な細胞内分解システムである
 「オートファジー、注1」の活性を
 簡便かつ定量的に測定できる
 新規プローブを開発しました。
 
◆本プローブを用いることで、培養細胞
 だけではなく、マウスや
 ゼブラフィッシュの受精卵や組織での
 オートファジー活性を測定することに
 成功しました。
 
◆本法は多検体解析にも適しており、
 既承認薬ライブラリーから
 新規オートファジー誘導薬・阻害薬を
 同定しました。
 今後、本プローブの利用によって
 さらにオートファジーの基礎的および
 臨床的研究が進展することが
 期待されます。
 
 
----
発表概要
 
 オートファジーは細胞内の代表的な
分解システムです。
 
 オートファジーの分子機構、生理機能、
疾患との関連については近年急速に研究が
進んでいます。
 
 しかし一方で、オートファジーの活性を
定量的に評価することは容易ではなく、
未だに十分確立された方法がありません。
 
 このたび、東京大学大学院医学系研究科
の貝塚剛志特任研究員、森下英晃助教、
水島昇教授らの研究グループは、
オートファジーの活性を簡便かつ定量的に
測定できる新規プローブを開発しました。
 
 このプローブは培養細胞だけでなく
マウスやゼブラフィッシュなどの
動物個体内でも利用可能なことが特徴です。
 
 本プローブを用いることで、受精卵や
特定の筋肉細胞では高い
オートファジー活性を認めることが
分かりました。
 
 さらに本法を用いて、
株式会社 LTT バイオファーマとの共同で、
同社が独自に構築した
既承認薬ライブラリー
(日本とアメリカで市販されている
 医薬品だけを集めた化合物ライブラリー)
を用いてスクリーニングを行い、
新規オートファジー誘導薬・阻害薬を
同定しました。
 
 今後、本プローブの利用によって
オートファジーの基礎的研究や疾患研究が
進展することが期待されます。
 
 本研究は日本学術振興会
新学術領域研究
「オートファジーの集学的研究」
(領域代表:水島昇)などの一環で
行われました。
 
 本研究成果は、2016 年 11 月 4 日に
国際科学誌「Molecular Cell」の
オンライン版で公開されました。
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 素晴らしいです。
 オートファジーは多くの疾患に関与
していると思われますので、この研究
成果の今後に期待したい。
 
 
>オートファジーは神経変性疾患、腫瘍、
>感染などさまざまな疾患と関連すること
>が強く示唆されています。
 
>また、米国ではオートファジー阻害効果
>を持つ薬剤の抗がん剤としての
>臨床試験も行われています。
 
>今後、これらのオートファジーと疾患
>との関連に関する研究や基礎的研究
>において本研究によって開発された
>プローブが用いられることで、
>オートファジーが関連する生命現象や
>病態の理解に役立つことが期待されます。 
 
 大いに期待しています。

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2016年11月18日 (金)

砂や灰などからケイ素化学の基幹原料を高効率に直接合成

2016/10/25 産業技術総合研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
・ケイ素化学の基幹原料である
 テトラアルコキシシランを短時間に
 高収率で合成
 
・無機脱水剤を使うことで
 分離・回収・再利用が容易となり、
 コスト面でも優位に
 
・砂、灰、産業副産物など、安価で豊富に
 あるさまざまなケイ素源が利用可能
 
 
-----
概要
 
 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
(以下「産総研」という)触媒化学融合
研究センター 触媒固定化設計チーム
深谷 訓久 主任研究員、
崔 準哲 研究チーム長、
佐藤 一彦 研究センター長、
化学プロセス研究部門 化学システム
グループ 片岡 祥 主任研究員、
Nguyen Thuy研究員らは、
コルコート株式会社
(以下「コルコート社」という)と
共同で、ケイ素化学の基幹原料である
テトラアルコキシシランを、
砂や植物燃焼灰、産業副産物などから、
従来よりも短時間に高効率で直接合成する
技術を開発した。
 
 テトラアルコキシシランは、
現状ではケイ石を金属ケイ素に還元する
プロセスを経由して工業的に製造されて
おり、製造プロセスのエネルギー消費の
多さと高いコストが課題となっている。
 
 今回、シリカを多く含み、安価で豊富に
存在する砂、植物燃焼灰、産業副産物など
をケイ素源としてアルコールと反応させて、
テトラアルコキシシランを一段階で
高効率に直接合成できる技術を開発した。
 
 この技術では、汎用されている
無機脱水剤のモレキュラーシーブで、
反応によって副生する水を吸着除去する
ことで、以前に産総研が報告した
有機脱水剤を用いる従来の技術よりも
反応の効率を大幅に向上させるとともに、
砂や灰など、適用できるケイ素源の範囲を
拡大した。
 
 この技術は、安価で豊富に存在する
さまざまなケイ素源を有効活用し、
有機ケイ素原料の
省エネルギー・低コスト製造に新たな道を
拓くものである。
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 良さそうです。
 
 
>今後は、反応条件や触媒の改良
>とともに、より低コストな製造方法を
>目指し、化学工学的な視点から
>反応プロセス全体を最適化する。
 
>さらにスケールアップなどの
>事業化に必要な技術課題の解決を
>コルコート社と共同で取り組み、
>数年後の実用化を目指す。
 
 早期の実用化に期待したい。

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2016年11月17日 (木)

医療大麻の有効性について

2016年11月16日 jijico
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 大麻は日本では依存性のある麻薬の一つ
として、大麻取締法によって
所持や栽培、医療使用までが禁じられて
います。
 
 先進国にあっては日本だけが医療大麻の
理解に乏しく、その利用については
大きく立ち遅れていると言っても
過言ではないでしょう。
 
 日本における緩和ケアでは、
オピオイドといわれる鎮痛、鎮静効果が
強い医療用麻薬が痛みの緩和の目的で
用いられます。
 
 オピオイドはモルヒネといわれる麻薬が
元になって合成されている化合物です。
 
 周知のとおり、モルヒネは大麻よりも
依存性が遥かに強い麻薬であり、
オピオイドもそれに近い性質を持って
います。
 
 ただ、依存が形成されないように、
必要最低限の量から適切に用いられること
で、癌による激しい痛みを和らげるために
有益な薬となっているのです。
 
 さらに、オピオイドは副作用として
初期に強い眠気をもたらすことがあり、
その効果は個人差があります。
 
 様々な薬効をもつ医療大麻は、
痛みや吐き気を和らげ、食欲増進作用が
強いことから、海外の多くの国では
緩和ケアに重要な薬と考えられるように
なっています。
 
 モルヒネより依存性や毒性が少なく、
貴重な薬効に富む医療大麻の緩和ケアでの
使用を検討することは、
日本では癌の患者さんが100万人に迫ると
推測される現今にあっては、
喫緊の課題ともいえるでしょう。
 
 我々に求められていることは、
様々な病に苦しむ患者さんの側に立った、
医療大麻の使用の是非についての
真摯な議論であり、
癌によって、余命わずかと診断されている
人々が、少しでも安らかな日々を送る
ためにしてあげられることは何か、
偏見にとらわれずに考え直すことでは
ないでしょうか。
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 同感です。
 ドラッグラグの国、日本。
 
 日本のがん治療の目的は、
1日でも長く生きさせる(延命)という
ことにあり、患者のQOLは二の次
という傾向があります。
 
 私はなによりQOLをこそ大切に
したい。
 
 QOLを大切にせずして、何の為の
延命かとすら思う。
 
 緩和ケアに用いることの出来る
良い薬の研究は重要なもの。
 
 その意味で大麻の使用は真摯に
議論すべき項目ではないでしょうか?
 
 
 関連リンクです。
 
>データベースで「大麻」で検索すると
>「大麻の毒性」や
>「大麻類似の脱法ドラッグ」の研究
>がほとんどで、医療利用については
>この報告書以外にはない。
 寂しい限り。
 
 緩和ケアを必要としている人達に
寄り添う医療はどうなっているのか
と思う。

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2016年11月16日 (水)

東芝、重希土類フリーで高い磁力と優れた減磁耐性を持つモータ用磁石を開発

2016/11/10 マイナビニュース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 東芝と東芝マテリアルは11月10日、
レアアースの中でも特に希少な重希土類を
一切使用せずに高い磁力と優れた減磁耐性
をあわせ持つモータ用の
高鉄濃度サマリウムコバルト磁石を
開発したと発表した。
---------------------------------------
 
 良いですね。
 
>高耐熱モータの実使用温度域
>(140℃以上)において、現在一般的に
>採用されている耐熱型ネオジム磁石を
>上回る磁力を持つとともに、
>180℃でも優れた減磁耐性を示す
>とのこと。
 
 レアアースフリーなモーターの
研究は時々発表されていましたが、
ついに製品として出だしましたね。
 
 順次、この種のモーターに
置き換わって行くと思われます。

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2016年11月15日 (火)

電源なしで数年間駆動する、IoT向け超低電力トランジスタ - ケンブリッジ大

2016/10/28 マイナビニュース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 ケンブリッジ大学の研究チームは、
半導体-金属界面のショットキー障壁を
利用した新原理の
超低電力薄膜トランジスタを開発した。
 
 電池・電源を用意しなくても、
環境中の熱や振動などを変換して得られる
ごくわずかな電力によって、
トランジスタを数カ月から数年といった
長期間駆動できるようになるという。
 
 IoTやウェアラブルデバイスなどの
用途に広く利用できる可能性がある。
 
 研究成果は科学誌「Science」に
掲載された。
---------------------------------------
 
 素晴らしい。
 
 
 モノや人にとりつけて長期にわたって
無電源環境下で自律して信号を出し続ける
ことが重視される用途で有望な技術になる
と思います。期待したい。

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島津製作所、13種のウイルスを2時間で同時に検出できる研究用試薬を発売

2016/10/26 マイナビニュース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 島津製作所は10月26日、
臓器移植や造血幹細胞移植時に
問題となる日和見感染症の原因ウイルスを
検出する研究用試薬
「日和見感染症ウイルス検出キット」を
発売した。
---------------------------------------
 
 Good Newsです。
 
 
>同製品は、PCR法による遺伝子検出
>により、1回の測定で下記13種の
>ウイルスをサンプルの入手から
>2時間程度で検出するというもの。
 
 日和見感染症を防ぐ為に有効と
思います。
 
 これで助かる人が一人でも多く
なれば良いですね。

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2016年11月14日 (月)

人工的に歯のエナメル質を形成することに成功 ~次世代のむし歯の治療や歯の再生への応用が期待~

2016年11月 7日
東北大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 国立大学法人東北大学は、歯の発生や
かたちの制御に関わる分子の役割を
解明する過程で、エナメル質の形成の
マスター遺伝子の同定と機能解析に
成功し、どのように歯のエナメルが
作られ、また、歯のかたちを制御して
いるのかを明らかにしました。
 
 本研究は東北大学歯学研究科歯科薬理学
分野の中村卓史准教授、
小児発達歯科学分野の福本敏教授らと、
米国国立衛生研究所との共同研究による
成果です。
 
 私たちの歯の最外層はエナメル質という
構造で守られており、体の中で最も硬い
組織です。
 
 骨や軟骨などの硬組織と異なり、
歯のエナメル質は皮膚の上皮細胞や
毛や爪と同じ歯原性上皮細胞とよばれる
上皮細胞によって形成されます。
 
 また、歯の生える場所に応じて変化する
歯の歯冠や歯根のかたちは、
この歯原性上皮細胞が制御しています。
 
 本研究では、転写因子の1つである
エピプロフィンをマウスの全身の上皮細胞
に発現するような遺伝子操作したマウス
(K5-Epfnマウス)を作製し解析しました。
 
 そのマウスの歯を解析してみると、
野生型(通常のマウス)では
エナメル質を形成しない場所に
エナメル質を形成していることが
明らかとなりました。
 
 また、K5-Epfnマウスの臼歯は、
歯のかみ合わせの咬頭や歯根などの
歯のかたちにも異常が認められました。
 
 この原因は、エピプロフィンが
歯の発生過程において上皮間葉組織間で
組織間で展開される相互作用に、
増殖因子FGF9やSHHの発現を誘導すること
により介入し、歯の象牙質形成に関与する
歯原性間葉細胞の増殖を促進させる事
であることが明らかとなりました。
 
 本研究成果は、米国の科学雑誌
「Journal of Bone and Mineral Research」
電子版に掲載されました。
 
 
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 Good Newsです。
 
 
>皮膚や毛根の上皮細胞と歯原性上皮細胞
>の違いを明らかにすることは、
>人工的にエナメル芽細胞を作製する
>ための重要なポイントとなると
>考えられます。
 
>将来歯の再生を考えた場合、
>本研究をさらに発展させ、
>皮膚から得られた上皮細胞を
>歯原性上皮細胞に人工的に誘導し、
>その細胞にエピプロフィンを発現させる
>ことで、齲蝕などで失ったエナメル質の
>再生や歯冠や歯根のかたちまでも
>制御できる技術開発に応用する研究を
>行っていきたいと考えております。
 
 是非、そこまで到達して頂きたい
と思います。期待しています。

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2016年11月13日 (日)

難治性の肉腫、新薬が効く可能性 -血管肉腫ではPD-1/PD-L1の発現と予後が相関する-

2016年11月11日 京都大学研究成果
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 大塚篤司 医学研究科助教、
本田由貴 同博士課程学生、
椛島健治 同教授らは、
難治性の肉腫である皮膚血管肉腫において、
がん細胞ががん免疫の一つである
PD-L1分子を発現しており、
かつ多くの免疫細胞がPD-1分子を
発現している患者の予後が比較的良い
ということを確認しました。
 
 本研究成果は2016年11月10日に
国際科学誌「Oncoimmunology」誌に
掲載されました。
 
 
-----
研究者からのコメント
 
 本研究の発見より、血管肉腫において
抗PD-1抗体を投与することによって、
腫瘍周囲にあるPD-1を発現した
免疫細胞に作用し、抗腫瘍効果を示す
可能性が示唆されました。 
 
 今後、血管肉腫に対して抗PD-1抗体
が効果を示すか確認するための
医師主導型治験を予定しています。
 
 
詳しい研究内容について
 
---------------------------------------
 
 「オプジーボ」が効果を発揮できそうな
疾患が増えそうです。
 
 
 今後の治験結果に期待したい。

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<社説>センダン効果解明 沖縄発がん治療薬に期待

2016年11月12日 琉球新報
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
>まさに命を救う樹になるかもしれない。
 
>県内に自生するセンダンの葉から
>抽出した成分に、がん細胞の
>オートファジー(自食作用)を促し、
>最終的に殺す効果があることが
>分かった。
 
>従来の抗がん剤などと比べ副作用が
>少ないという。
 
>今後、複数の段階を踏むので
>実用化までにはまだ時間が掛かる
>だろうが、沖縄発の医薬品化に
>大いに期待したい。
 
 
 マウスに投与したところ、
大腸がん、肺がん、胃がんの細胞を
殺したそうです。
 
 新薬として世に出る所まで
行ければ素晴らしいですね。

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2016年11月12日 (土)

スーパーエンジニアリングプラスチック「PEEK/SGCNT複合材料」を開発

2016/11/07 産業技術総合研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 NEDOプロジェクトにおいて、
単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)
と産業技術総合研究所は、
スーパーエンジニアリングプラスチックの
一種であるポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)にスーパーグロース法で作製した
単層カーボンナノチューブ(SGCNT)を
加えることで、世界最高水準の耐熱性
(450℃)と機械強度(曲げ強度1.8倍)を
同時に達成し、かつ射出成形可能な
新しいスーパーエンジニアリング
プラスチック「PEEK/SGCNT複合材料」を
開発しました。
 
 今後、耐熱性の観点から
スーパーエンジニアリングプラスチックが、
軽金属材料などに代わり、自動車部材、
航空・宇宙産業用部材などの
軽量・易成形PEEK材料として飛躍的に
適用範囲を拡大することが期待されます。
---------------------------------------
 
 良さそうですね。
 
 
>今後、耐熱性の観点から
>スーパーエンジニアリングプラスチック
>が、軽金属材料などに代わり、
>自動車部材、航空・宇宙産業用部材
>などの軽量・易成形PEEK材料として
>飛躍的に適用範囲を拡大することが
>期待されます。
 
 大いに期待したい。
 
 これでどの程度適用範囲が拡大
出来るのかな?

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ミトコンドリア病と特定できる画期的な診断方法を発見・開発―不要な検査なくなり早期治療に道―

2016年10月20日
日本医療研究開発機構プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 久留米大学医学部小児科学講座と
東京都健康長寿医療センターの
共同研究グループは、
早期にミトコンドリア病と特定できる
画期的な診断バイオマーカー「GDF15」を
発見・開発しました。
 
 これにより、不要な検査を繰り返す
必要がなくなるため、早期治療に道が
開かれることになります。
 
 その研究成果は専門誌の
Nature Reviews Disease Primers
(オンライン版)に掲載される予定です。
 
 ミトコンドリア病は、ヒトが生きる
ために必須のATP合成が十分できないこと
で、種々の臓器の症状(精神・運動発達
遅滞や知的退行、心不全や腎不全、
難聴や糖尿病)を引き起こす病気です。
 
 対象患者数は国内で約2000人、
世界で約50万人とされます。
 
 臨床的には、発症年齢や症状、
重症度もさまざまで、決定的な検査方法が
なく、患者は不要な検査を繰り返すことに
なります。
 
 診断するまでに長い時間を要し、
結果的に有効な治療法のタイミングも
遅れ、病気が進行するという深刻な問題
がありました。
 
 「GDF15」は、病気を特定できる感度
・特異度が98%とほぼ100%に近く、
従来型よりも20ポイントも高い世界で
最も有用なミトコンドリア病の
診断バイオマーカーです。
 
 病気の重症度、ひいては薬効評価にも
有用であることが示され、本症診断の
世界的な標準検査法となります。
 
 ミトコンドリア病と特定するための
有用な診断バイオマーカーの開発は、
世界のミトコンドリア病の臨床研究者の
悲願であり、今後、世界中の
ミトコンドリア病の早期診断・早期治療が
期待されます。
 
 本件は、国立研究開発法人日本医療研究
開発機構(AMED)難治性疾患実用化
研究事業で採択されている研究により
得られた成果です。
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>早期にミトコンドリア病と特定できる
>画期的な診断バイオマーカー「GDF15」
>を発見・開発しました。
 素晴らしい成果です。
 
 
>病気を特定できる感度・特異度が
>98%とほぼ100%に近く、
>従来型よりも20ポイントも高い
>世界で最も有用なミトコンドリア病の
>診断バイオマーカーです。
 
>今後、世界中のミトコンドリア病の
>早期診断・早期治療が期待されます。
 
 大いに期待したい。
 バイオマーカー大事ですね。

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2016年11月11日 (金)

水素の大量製造を可能にする酸化物ナノ複合化陽極材料を開発

2016/11/09 産業技術総合研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○二種類の10 nmレベルの酸化物ナノ
 微粒子を均質に複合化した二次粒子
 からなる陽極材料を開発
 
○二次粒子内にイオンの伝導経路を構築
 し、電極反応点数を飛躍的に増加
 
○既存の水の電気分解技術を超える
 電解電流密度を酸化物形で実証し、
 水素社会の実現を促進
 
 
-----
概要
 
 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
(以下「産総研」という)無機機能材料
研究部門 機能集積化技術グループ
島田 寛之 主任研究員と
山口 十志明 主任研究員は、
固体酸化物形電解セル(SOEC)に用いる
酸化物ナノ複合化陽極材料を開発した。
 
 この材料は、高温電解電流密度を
飛躍的に向上させ、水素を大量に合成
できる。
 
 水素社会の実現に向け、水を電気分解
(電解)して水素を合成する技術の開発が
進められている。
 
 中でもSOECによる水電解は、水素製造に
必要なエネルギーを従来の水電解技術
よりも20~30 %削減できる点や、
白金などの貴金属電極が不要などの利点を
持つが、セル面積あたりの水素製造量
(合成速度)が少なかった。
 
 今回、サマリウムストロンチウム
コバルタイト(SSC)とサマリウム添加
セリア(SDC)の一次粒子をナノレベルで
均質化させたナノ複合構造の二次粒子を
設計し、噴霧熱分解法による製造プロセス
で合成した。
 
 二次粒子である酸化物ナノ複合粒子内
には電子とイオンそれぞれの伝導経路が
構成されており、広い反応場と
高い電気伝導性を示す。
 
 この材料を用いたSOECで高温水蒸気電解
を行ったところ、電解電流密度は
2.3 A/cm2(750 ℃、電解電圧1.3 V)
であった。
 
 また、セル面積あたりの電解水素の
合成速度も、高分子形の水電解での
合成速度の2倍以上を達成し、
電解セルのコンパクト化に貢献できる
可能性がある。
 
 この技術の詳細は、2016年11月17日に
TKP 東京駅日本橋カンファレンスセンター
(東京都中央区)で開催される
固体酸化物エネルギー変換先端技術
コンソーシアム公開シンポジウムで
発表される。
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 「既存の水の電気分解技術を超える
  電解電流密度を酸化物形で実証」
 とのことで、頑張っているようです。
 
>今後は、開発したナノ複合化陽極を、
>実用サイズ・形状のSOECに適用して
>実証試験を行うなど実用化に向けた
>研究開発を行い、水素社会の実現に
>貢献する電力貯蔵技術として、
>高効率・低コストの高温水電解システム
>の実現を目指す。
 
 関連リンク
東北大学プレスリリース
 
 この投稿でも申し上げましたが、
水素社会ってまず目指すべき社会
なのかな?
 
 再生可能エネルギーの比率を上げる
のが先なのではないのかな?
 
 水素社会実現に向けての研究も
必要とは思いますが、再生可能エネルギー
の導入比率を上げる為の研究は
必要ないのかな?
 
 原子力発電が安価な電源とは思え
ません。
 
・最終廃棄物の処理場を作成する予算も
 場所も未定。
・廃炉にかかる費用も不透明。
・原発関連で分からない所で
 いろいろ取られている。
 等々、

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2016年11月10日 (木)

常圧下で金属伝導性を示す単一の純有機分子の創製に成功

2016.10.12
物質・材料研究機構プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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概要
 
1.国立研究開発法人物質・材料研究機構
  機能性材料研究拠点の小林由佳
 主幹研究員らの研究チームは、
 金属元素を一切含まない単一成分の
 有機分子を新規に設計することにより、
 常圧条件下で、金属伝導性を発現する
 ことに世界で初めて成功しました。
 
 不純物を含まないため、従来の
 有機伝導材料で課題だった耐久性や
 安定性が向上し、太陽電池用電極や
 タッチパネルなどへ応用されることが
 期待されます。
 
2.軽元素のみから構成される有機分子
 そのものは、本来、電気を流すための
 キャリアを持たないため、金属のような
 良導体ではありません。
 
 そこで、これまで50年以上もの間、
 性質の異なる複数の分子を混合して
 個々の分子の性質を変化させ、
 キャリアを発生させる方法を用いて
 純有機金属が合成されてきました。
 
 そのうちの1つに伝導性高分子があり、
 発見した白川英樹博士がノーベル賞を
 受賞したことでも有名です。
 
 しかし複数の分子を混合することから、
 安定性や耐久性に課題が残っています。
 
 一方、単一成分からなる純有機物で
 金属伝導性を発現するためには、
 最低でも1ギガパスカル以上もの
 高圧を印加する必要がありました。
 
 そのため、純有機物から構成される
 単一成分分子を常圧下で金属のような
 伝導性を発現させることは、
 極めて難しいと長年考えられて
 きました。
 
3.今回、本研究チームでは、
 キャリアとなり得るホールを分子自身の
 中に自発的に発生する独自の設計を施し、
 常圧条件下で、幅広い温度範囲で
 金属伝導性を発現する純有機分子の
 創製を実現しました。
 
 この分子 (略称TED) のみからできた
 膜の室温における電気伝導度は
 530 S/cm (S:ジーメンス=抵抗の逆数) 、
 50 Kでは1000 S/cmを示し、有機金属の
 中でもトップクラスに位置します。
 
 さらに、分子軌道計算により、
 TED上のスピン密度には他の
 ラジカル分子に見られない顕著な勾配が
 存在し、この電子状態が単一成分分子で
 金属性を発現する機構に関係する
 可能性を見出しました。
 
4.本発見は、今後、高伝導性有機材料の
 設計において大きく2つの指針を
 提供するものと考えられます。
 
 1つ目は、伝導性を発現させるために
 不純物を添加するポストドープが
 必要なくなり、有機伝導性材料の
 耐久性や化学的安定性を飛躍的に
 向上させる分子設計が可能となること、
 
 2つ目は、印刷技術を転用した方法
  (プリンタブル法) により、簡便に
 高伝導性有機材料を合成できる
 実用的な方向性です。
 
5.本研究は、JSPS最先端次世代研究
 開発プログラム[NEXT]
(研究代表者 : 小林由佳) の一環として
行われた研究をさらに発展させた
ものです。
 
6.本研究成果は、Nature Materials 誌
オンライン版に2016年10月10日
(現地時間) に掲載されます。
---------------------------------------
 
 素晴らしい成果です。
 
 
>本発見は、今後、高伝導性有機材料の
>設計において大きく2つの指針を
>提供するものと考えられます。
 
>1つ目は、伝導性を発現させるために
>不純物を添加するポストドープが
>必要なくなり、有機伝導性材料の
>耐久性や化学的安定性を飛躍的に
>向上させる分子設計が可能となること、
 
>2つ目は、印刷技術を転用した方法
> (プリンタブル法) により、
>簡便に高伝導性有機材料を合成できる
>実用的な方向性です。
 
 大いに期待したい。

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2016年11月 9日 (水)

多孔質グラフェン電極の量産化が視野に-金属を使用しない水素発生装置への展開に期待

2016年10月11日
東北大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 東北大学原子分子材料科学高等研究
機構(WPI-AIMR)の伊藤良一准教授、
陳 明偉教授と阿尻雅文教授らは、
ワンステップで大量作製が可能な
3次元構造をもつ多孔質グラフェン
作製手法を開発し、またその
多孔質グラフェンから水素発生電極を
作製することに成功しました。
 
 現在水素は二酸化炭素を排出しない
クリーンエネルギーとして
注目されており、
さらに再生可能エネルギー電力を
貯蔵・運搬するエネルギーキャリアの
有力候補として期待されています。
 
 しかし、水素を発生させるために
必要な水の電気分解装置は高価で
希少な白金を水素発生電極として使用して
おり、より安価な代替電極の開発が
望まれています。
 
 本研究グループは、ニッケルナノ粒子を
加熱することで多孔質化しそのまま
連続してグラフェンを蒸着させるという
新たな多孔質グラフェンの作製法を
開発することで、作製工程とコストを
削減することに成功しました。
 
 また曲率半径50ナノメートルで
曲がったグラフェンの格子が
化学ドーパントを吸収しやすい特性を
利用して従来の2~3倍以上の
化学元素種をドープする手法を開発し、
従来のグラフェンでネックだった
触媒特性の改善を行いました。
 
 この新たな多孔質グラフェンを
用いることで効率よく水素を発生させる
電極を開発しました。
 
 本グラフェン電極は、白金を使用しない
ことから安くて環境負荷が少なく、
また大量生産への移行が視野に入るため、
低コストな水の電気分解装置用電極への
展開が期待されます。
 
 本研究成果は、2016年10月10日
(ドイツ時間)発行のドイツ科学誌
「Advanced Materials」
オンライン速報版で公開されました。
 
 
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>低コストな水の電気分解装置用電極への
>展開が期待されます。
 とのこと。
 
 水素社会の実現にはGood Newsですが、
効率の面を考えると疑問が残ります。
 
 誰か明快に答えて貰えないかな?
 
 余った電力があれば、良いので
しょうが、存在しないと思う。
 再生可能エネルギーは決して
余っている電力ではない。
 
 
>本作製方法は、
>1ステップ多孔質グラフェンの
>作製手法であり、
>大量生産に向いているプロセス
>であるといえます。
 
>ニッケルだけではなく、鉄や銅などの
>ナノ粒子を用いることで
>原理的に様々な多孔質化が可能となる
>ため、水素発生電極のみならず、
>燃料電池用電極、スーパーキャパシタや
>蓄電池などといったエネルギー関連材料
>を可能にする先端材料として
>幅広い用途・応用展開が期待できます。
 
>今後は多孔質グラフェンの製品化を
>目指し企業と連携を進めていく
>予定です。
 
 いろいろ応用が効きそうなので
期待しています。
 企業連携よろしくお願いします。

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2016年11月 8日 (火)

(医学系研究科) 新規治療法につながる脊髄小脳失調症1型(SCA1)の運動失調メカニズムの解明 ― 既承認薬バクロフェンがSCA1モデルマウスの運動機能を改善 ―

(医学系研究科) 新規治療法につながる
脊髄小脳失調症1型(SCA1)の
運動失調メカニズムの解明
― 既承認薬バクロフェンがSCA1
 モデルマウスの運動機能を改善 ―
2016/11/07
群馬大学プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 このたび、本学大学院医学系研究科
脳神経再生医学分野の平井宏和教授、
細井延武講師、
アントン シュワエフ研究員
(現在、ロシア クラスノヤルスク
 医科大学 分子医学病態生化学研究所
 所属)の研究グループは、
東京大学大学院総合文化研究科生命環境
科学系 柳原大准教授らとの共同研究
により、脊髄小脳失調症1型(SCA1)の
モデルマウスにおいて、
小脳の代謝型グルタミン酸受容体タイプ1
(mGluR1)の働きが減弱することによって
運動失調が生じること、
さらに、この弱まったmGluR1の働きを
バクロフェンという薬剤で増強すると、
運動失調を生じているSCA1モデルマウス
の運動機能が改善されることを
発見しましたので、お知らせします。
 
 詳しくはこちらをご覧ください。
 
 本研究は、最先端・次世代研究開発支援
プログラム、厚生労働省・日本医療研究
開発機構 難治性疾患克服研究事業
運動失調症の分子病態解明・治療法開発に
関する研究班、文部科学省科学研究費
補助金「基盤研究C」の補助を受けて
行われました。
---------------------------------------
 
 既承認薬バクロフェンがSCA1
モデルマウスの運動機能を改善した
そうです。
 
 
>本研究は、SCA1 への治療法開発
>に対して、mGluR1 を創薬ターゲット
>とする新しい方向性を提供し、
>バクロフェンだけでなく、
>それ以外のmGluR1に作用する薬剤を
>含めた新規治療薬の開発に
>つながることが期待されます。
 
 
>本研究は、マウスモデルでの成果
>であるため、バクロフェンが
>実際のヒトの SCA1 の患者さんたちの
>運動機能を改善させる効果があるのか
>どうか、また、他の種類の
>脊髄小脳変性症に対しても同じような
>効果があるのかどうかなど、
>今後検討すべき課題は
>たくさんあります。
 
>しかしながら、バクロフェンは
>筋弛緩薬としてすでに臨床で
>使われている既承認薬であるので、
>本研究で明らかにされた
>バクロフェンの運動機能改善効果を
>ヒトに適用する治療法の開発は、
>SCA1 を含めた脊髄小脳変性症の
>治療薬を一から開発することに比べれば
>格段にハードルは低く、
>臨床試験で効果が確認できれば
>比較的早期に臨床応用できる可能性が
>高いと考えられます。
 
 
 比較的早期に臨床応用出来る可能性が
あるとのこと。大いに期待したい。

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中性子によるコンクリート内損傷の透視~非破壊検査法でインフラ利用者の安全を守る~

平成28年11月1日
理化学研究所
土木研究所
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 理化学研究所(理研) 光量子工学研究
領域 中性子ビーム技術開発チームの
大竹 淑恵 チームリーダー、
土木研究所 構造物メンテナンス
研究センターの石田 雅博 上席研究員ら
の共同研究チーム※は
「理研小型中性子源システムRANS
(ランズ)注1」を用いて、
コンクリート内の空隙(くうげき)
および水に対する反射中性子注2)
(後方散乱中性子注2))を利用する
非破壊検査法を開発しました。
 
 コンクリートの劣化には水が
影響します。
 
 例えば、自動車や人などの荷重を
受け止める橋の床版(しょうばん)注3)
では、雨水や荷重の影響により、
アスファルト舗装の下のコンクリート上面
でひび割れや土砂化が発生し、
コンクリート塊の抜け落ちに至った
ケースも報告されています注A)。
 
 床版などは利用者を直接支える部材
であることから、第三者の被害を防ぐ
ためには、予防保全的なメンテナンスが
必要です。
 
 理研では、インフラ構造物の非破壊検査
にも利用できる小型中性子源システム
RANSを開発しています。
 
 しかし、従来想定していた透過中性子
による測定では、レントゲン撮影のように
中性子源と検出器で測定対象を挟み込む
必要があり、測定可能な状況が限られて
いました。
 
 そこで共同研究チームは、
後方散乱中性子を用いる手法を
開発しました。
 
 この手法では検出器を中性子源と
測定対象の間に設置し、入射した中性子が
検出器に戻ってくるまでの時間と量の変化
を計測することで、コンクリート内の
水分や空洞の分布を観察します。
 
 したがって中性子源と検出器で
挟み込めない道路橋の床版や、
空港の滑走路、トンネル壁の非破壊検査に
適用できます。
 
 実証実験では厚さ方向に中性子を入射し
内部構造を計測ました。
 
 その結果最大で30cm奥にある水に
見立てたアクリルブロックや空洞の位置を
二次元分布で特定しインフラ構造物の
非破壊検査法として適用できることを
実証しました。
 
 今後、インフラ構造物付近へ持ち込み
可能な「可搬型加速器中性子源」の開発と
ともに、測定時間短縮のための検出器改良
や計測の最適化を行いコンクリート内劣化
損傷の検出能力の向上を目指します。
 
 本研究成果は、土木学会鋼構造委員会の
第9回道路橋床版シンポジウム
(11月1~2日)にて発表され、
同シンポジウム発行の論文報告集に
掲載されます。
 
 本研究の一部は、内閣府総合科学技術
・イノベーション会議の戦略的
イノベーション創造プログラム
(SIP)「インフラ維持管理・更新
・マネジメント技術(藤野 陽三
 プログラムディレクター)」
(管理法人:科学技術振興機構)、
文部科学省「光・量子融合連携研究開発
プログラム」の支援を受けて
実施しました。
---------------------------------------
 
 レントゲン撮影のように中性子源と
検出器で測定対象を挟み込む必要が
いらないというのが素晴らしいですね。
 
 
>本手法が舗装面下のコンクリートの
>損傷を検知する非破壊検査法の一つ
>となる可能性が示されました。
 
>この手法は、中性子源と検出器で
>挟み込めない道路橋の床版や、
>空港の滑走路、トンネル壁の
>非破壊検査に適用できます。
 
>今後、中性子源を実際の
>インフラ構造物付近へ持ち込むための
>「可搬型加速器中性子源」の開発
>とともに、測定時間短縮のための
>検出器改良や計測の最適化を行い、
>コンクリート内劣化損傷の
>検出能力の向上を目指します。
 
>続いて、社会実装開発へ向けた
>実証機開発フェーズへと進む計画です。
 
 インフラは必ず劣化します。
 しっかり実態を把握する意味でも
いち早く、実証機開発フェーズへ
進んで欲しいと思います。

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2016年11月 7日 (月)

キイトルーダ、PD-L1高発現の非小細胞肺がんへのファーストライン治療でFDA承認取得-米Merck

2016年11月04日 qlifepro
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
---------------------------------------
 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J.,
U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は
10月24日、抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」
(一般名:ペムブロリズマブ)が、
PD-L1高発現(TPS≧50%)でEGFRまたは
ALK遺伝子変異陰性の
転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の
ファーストライン治療薬として、
米国食品医薬品局(FDA)の承認を
取得したと発表した。
---------------------------------------
 
 小野薬品工業の「オプジーボ」と同類の
薬が開発されました。
 
 関連情報として、
 
「Wmの憂鬱」から、
>常々不思議だと思っていた肺癌の
>ファーストラインの米Merck社は
>なぜ抗PD1抗体のファーストライン治療
>で統計的有効性を示し、
>米Bristol-Meyers Squibb(BMS)社
>・小野薬品工業はそれを示すことに
>失敗したのか?
 
 について少し情報を、
 
 主な違いは2つのようです。
1つ目
>有効性を示せなかったBMS社・小野薬品の
>CheckMate-026試験も概ね対象患者は
>同じですが、癌組織にPDL1が1%以上発現
>している患者を対象としたことが
>最大の違いです。
 
>米Merck社は、PD1が結合するPDL1が
>癌組織の50%以上で発現していることを
>確認した患者に限定しています。
 
 もう一つは、
>キイトルーダは患者の体重にかかわらず
>200mgの固定投与量であったことも
>違いです。
 
>固定投与量の方が臨床現場での
>使い勝手がよいと指摘、
>マーケティング戦略の柱と
>なりそうです。
>Merck社は老練な戦略を練っています。
 
>オプジーボは患者の体重見合いです。
 
 
 これからについては、
>現在、5つのビッグファーマグループを
>中心に免疫チェックポイント阻害剤の
>併用療法の治験が進んでいますが、
>そんなに楽観的に考えることが
>できないのです。
 
>やはり、奏功する患者の選別こそが
>重要になるだろうと考えます。
 
 さらに、
>抗PD1抗体の最大の副作用である
>医療経済に対する影響を、
>科学的に透明なプロセスで議論する
>必要があると考えます。
 
 そう思います。
 出来るだけ経済的に、救える患者が
最大化出来るように検討して行く
必要がありそうです。
 
 「Wmの憂鬱」は有料登録が必要ですが、
見ることの出来る人は是非直接
見てください。

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2016年11月 6日 (日)

がんゲノムビッグデータから喫煙による遺伝子異常を同定―1年間毎日1箱の喫煙によって肺では150個の突然変異が蓄積―

2016年11月4日
国立研究開発法人
日本医療研究開発機構プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
---------------------------------------
本研究成果のポイント
 
1.国際共同研究により、喫煙との関連が
 報告されている17種類のがん5,243症例
 のがんゲノムデータを元に喫煙と
 突然変異との関連について検討を
 行った。
 
2.生涯喫煙量と突然変異数には正の相関が
 見られ、喫煙が複数の分子機構を介して
 DNAに突然変異を誘発していることを
 明らかにした。
 特に、肺がんでの突然変異数が
 最も多く、1年間毎日1箱のたばこを
 吸うことで、150個の突然変異が
 肺に蓄積していると推計された。
 
3.喫煙による突然変異には少なくとも
 3パターンがあり、臓器により異なる
 ことが明らかになった。
 
 
-----
 国立がん研究センター研究所がん
ゲノミクス研究分野 柴田龍弘分野長、
十時泰ユニット長、
理化学研究所(理研)統合生命医科学
研究センターゲノムシーケンス解析
研究チームの中川英刀チームリーダー、
藤本明洋客員研究員、
米国ロスアラモス国立研究所
Ludmil B. Alexandrov博士、
英国サンガー研究所
Michael Stratton所長らの
日英米韓国際共同研究グループは、
様々な臓器がんにおける
DNA(遺伝子)異常に喫煙がどの程度
影響を及ぼしているのかについて、
喫煙との関連が報告されている
17種類のがんについて合計5,243例の
がんゲノムデータを元に検討を
行いました。
 
 その結果、生涯喫煙量とその患者さんの
がん細胞に見られる突然変異数には
統計的に有意な正の相関が見られ、
喫煙が複数の分子機構を介してDNA変異を
誘発していることを明らかにしました。
 
 また、1年間毎日1箱のたばこを吸うこと
で、肺がんでは最多の150個、
喉頭では97個、咽頭では39個、
口腔では23個、膀胱では18個、
肝臓では6個の突然変異が蓄積していると
推計されました。
 
 また変異パターン*1の解析から、
喫煙によって発がんリスクが上昇するがん
には少なくとも3つのタイプが存在する
ことが明らかになりました。
 
 タイプ1はたばこ由来発がん物質暴露が
直接的に突然変異を誘発しているがん
(例:肺がん、喉頭がん、肝臓がん)、
 
 タイプ2はたばこ由来発がん物質暴露が
間接的に突然変異を誘発しているがん
(例:膀胱がん、腎臓がん)、
 
 タイプ3は今回の解析で明らかな
変異パターンの増加が認められなかった
がん(例:子宮頸がん、膵がん)です。
 
 本研究成果によって、がんの発症
において喫煙が全ゲノム解読レベルで
突然変異を誘発していることが
再確認され、がんの予防における
禁煙の重要性が強調されます。
 
 さらに、今回たばこ由来発がん物質暴露
が間接的に突然変異を誘発するタイプの
がんが認められたことで、今後喫煙が
どのように間接的な突然変異誘発機構を
活性化するのかに関する詳細な分子機構の
解明によって、喫煙関連がんの予防や治療
が進むことが期待されます。
 
 また本研究で用いられた解析手法
によって、他の発がんリスク要因
(肥満、食事等の生活習慣)についても、
その背景になる分子実体の解明から
がん予防戦略を加速する鍵の解明が
期待されます。
 
 本研究は、国立研究開発法人
日本医療研究開発機構(AMED)
革新的がん医療実用化研究事業
「国際連携を基盤とした日本人難治
 固形がんゲノム統合解析による
 新たな治療標的の同定と予防戦略への
 展開研究」
および国立研究開発法人
国立がん研究センターがん研究開発費の
支援を受け、
国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)*2
のプロジェクトの一環として行われました。
 
 研究成果は、国際科学雑誌『Science』
(11月3日付け:日本時間11月4日)に
掲載されました。
---------------------------------------
 
 やはり喫煙は、がんの発生に直接、
間接的に影響を与えているようです。
 
 
>大規模ながんゲノムデータを用いた解析
>によって、喫煙と関連するがんでは、
>①喫煙歴と相関して明らかに突然変異数
  の増加が認められること、
>②その原因として、たばこに含まれる
  発がん物質の直接暴露によって
  突然変異が誘発される場合から、
  より一般的な突然変異誘発プロセスの
  活性化まで、臓器によって複雑で
  特徴的な分子機構が存在すること、
>が明らかとなりました。
 
>本研究によって、がんの発症において
>喫煙が全ゲノムレベルで突然変異を
>誘発していることが再確認され、
>がんの予防における禁煙の重要性が
>強調されるとともに、
>今後喫煙がどのように間接的な
>突然変異誘発機構を活性化するのかに
>関する分子機構の詳細な解明によって、
>喫煙関連がんの予防や治療が進むことが
>期待されます。
 
>また本研究で用いられた解析手法
>によって、他の発がんリスク要因
>(肥満、食事等の生活習慣)についても、
>その背景にある分子実体の解明から
>がん予防戦略を加速する鍵の解明が
>期待されます。
 
 今後の研究により、がん予防戦略の
加速が期待できそうです。
 
 発生してしまったがんの治療法
開発も、もちろん重要ですが、
「がん予防」は、なにより重要です。
 
 この種の研究はもっと積極的に
実施して貰いたい。

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ウイルスワクチンの新戦術-インフルエンザの感染を防ぐ新しい機構を発見-

2016年11月1日
理化学研究所
東京理科大学
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 インフルエンザウイルスは鼻や喉から
体内に侵入し、気道や肺で爆発的に増殖
することで重篤な肺炎を引き起こします。
 
 また、鳥インフルエンザウイルスなどの
病原性の高いウイルスが、突然変異を
繰り返してヒトに感染できるように
なると、ヒトの間で「パンデミック
(世界的大流行)」が引き起こされ
多くのヒトが死亡すると懸念されるため、
その動向が注視されています。
 
 ワクチンを接種すると、体内で抗体が
作られウイルスの侵入を防ぐことが
できます。
 
 ウイルスに対して高い結合能(親和性)
を持つ抗体は、T細胞とB細胞が協調的に
働く“抗体産生の場”である
「胚中心」で、「リンパ濾胞型ヘルパー
T細胞(TFH細胞)」に助けられて
作られます。
 
 そのため、抗体誘導には胚中心と
TFH細胞の両方が必要であり、効果の高い
ワクチンの開発にはTFH細胞を効率よく
活性化することが重要だと考えられて
きました。
 
 しかし今回、理研を中心とする
共同研究グループは、胚中心やTFH細胞を
持たないマウスに季節性インフルエンザ
ウイルスや高病原性鳥インフルエンザ
ウイルスのワクチンを接種すると、
「免疫グロブリンG2抗体(IgG2抗体)」が
誘導されることを発見しました。
 
 IgG2抗体はインフルエンザウイルス
に対して低親和性ですが、感染を阻止する
作用(中和活性)が高いため
十分な予防効果が期待できます。
 
 また、IgG2抗体はTFH細胞に代わって、
情報伝達物質のインター-フェロンガンマ
(INF-γ)とインターロイキン21(IL-21)
を産生する「Ⅰ型ヘルパーT細胞
(TH1細胞)」によって誘導されることも
分かりました。
 
 すなわち従来の考え方とは異なり、
TH1細胞を活性化することで、
低親和性にも関わらず中和活性の高い
抗体の産生が可能であることが
明らかになりました。
 
 本成果により、毎年のように
新しく出現するインフルエンザウイルス
に対抗するための新しいワクチン戦術
として、TH1細胞を効率よく活性化できる
ワクチンの開発が有効だと考えられます。
 
 
---------------------------------------
 
 免疫の働きについては、まだまだ
未解明な部分がありますね。
 
 
>本成果から、IFN-γとIL-21を産生する
>TH1細胞の助けによって、B細胞から
>産生されるIgG2抗体のウイルス感染防御
>における役割が明らかとなりました。
 
>IgG2抗体は、ウイルスに対する抵抗性が
>高いことが示されています。
 
>そのため、IgG2抗体が有意に産生される
>状況は、ウイルスに対する生体防御に
>有効であると考えられます。
 
>胚中心依存的に起こる抗体産生は、
>親和性を上げるために時間を要し、
>高親和性の抗体ばかりが選択されて
>しまうため、抗体の特異性が限定される
>可能性があります。
 
>一方、TH1細胞は親和性が低い反面、
>広範なウイルスに対応できる抗体を
>敏速に生産できます。
 
>そのため、効率よくTH1細胞を
>活性化できるワクチンの開発は、
>毎年のように新しく出現する
>インフルエンザウイルスに対抗する上で
>新しいワクチン戦術として期待できます。
 
 今回の戦略も良いかもしれませんね。
 今後の展開に期待します。

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2016年11月 4日 (金)

念じると動く義手で幻肢痛のコントロールに成功

2016年10月27日 大坂大学研究情報
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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本研究成果のポイント
 
・ブレイン・マシン・インターフェイス
 (BMI)技術を用いた義手を開発し、
 患者さんがBMI義手を操作する訓練
 によって、痛みを減弱することに
 成功した。
 
・これまで、幻肢痛は、失った手の機能を
 再建することで痛みが減弱すると
 考えられてきたが、これに基づいて
 脳活動を訓練する治療を行っても、
 全ての患者さんの痛みが減弱する
 わけではなかった。
 
・幻肢痛の新たな治療法開発につながる
 成果であり、また、脳活動を変えること
 で様々な精神疾患などの病態解明と
 新しい治療法への応用が期待される。
 
 
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概要
 
 栁澤琢史寄附研究部門講師
(大阪大学国際医工情報センター)、
齋藤洋一特任教授(常勤)
(大阪大学大学院医学系研究科脳神経機能
再生学(帝人ファーマ)共同研究講座)、
神谷之康室長
((株)国際電気通信基礎技術研究所)、
Ben Seymour教授
(ケンブリッジ大学、脳情報通信融合
研究センター(CiNet)、
大阪大学免疫学フロンティア研究センター
(iFReC))らの研究グループは、
ブレイン・マシン・インターフェイス※1
技術を活用した義手
(BMI義手;脳活動をセンサーで測り、
この信号をコンピューターのプログラムで
解読することで、患者さんが念じたように
動く義手)を使った新たな訓練方法を
開発し、幻肢痛※2 患者さんがBMI義手を
使うことで、痛みをコントロールできる
ことを世界に先駆けて発見しました。
 
 研究では、患者さんが幻肢を動かす
つもりでBMI義手を操作する訓練を
行うことで、幻肢を動かすための脳活動を
操作することに成功しました(図1) 。
 
 また、訓練に伴って、痛みも変化する
ことを明らかにしました。
 
 失った手に対応する脳部位の活動と
幻肢運動の関連(情報量)を高める訓練を
行うと痛みが増え、逆に、この関連を
弱める訓練を行うことで痛みを減らすこと
ができたと考えられます。
 
 この成果は幻肢痛の新しい治療法に
つながる画期的な成果です。
 
 また、これまで明らかでなかった幻肢を
動かすための脳活動と痛みとの関係を探る
重要な手がかりが得られました。
 
 本研究成果は、英国科学誌
「Nature Communications」に、
10月27日(木)18時(日本時間)に
公開されました。
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 Good Newsです。
 
 
>幻肢痛患者さんの痛みは長く続き、
>有効な治療法がないために、痛みによる
>社会生活への支障や、慢性的な投薬など
>が大きな問題となっています。
 
>本研究は、画期的なBMI技術を応用する
>ことで、幻肢痛患者さんの痛みを減らす
>訓練ができることを明らかにしました。
 
>また、これまで考えられていた
>仮説に反して、幻肢運動の脳情報を
>減らす訓練をすることで、痛みが低下
>することを明らかにしました。
 
>この成果は、幻肢痛を減らすための
>新しい治療法の開発につながる
>画期的な成果です。
>今後、この成果を応用した治療法が
>開発され、幻肢痛に苦しむ患者さん
>にとって朗報となることが期待されます。
 
 大いに期待したい研究です。

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2016年11月 2日 (水)

患者由来iPS細胞による脊髄小脳変性症の病態再現-小脳プルキンエ細胞変性から病態を理解し、創薬への道を開く-

2016年11月2日
理化学研究所
日本医療研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 脊髄小脳変性症は、主に小脳や脳幹の
神経細胞が選択的に変性、脱落した結果、
歩行時にふらついたり、手が震えたり、
ろれつが回らないなどの症状を呈する
病気です。
 
 日本には約3万人の患者がいると
推定されています。
 
 遺伝性が約1/3を占め、
多くの原因遺伝子が明らかになって
いますが、その病態や発症のメカニズムは
ほとんど分かっていません。
 
 そのため、根本治療につながる治療法の
開発が待たれています。
 
 遺伝性のうち日本で最も多いタイプの
一つは、脊髄小脳変性症6型(SCA6)です。
 
 SCA6では、小脳皮質での情報処理を
中心的に担う、小脳プルキンエ細胞
(以下、プルキンエ細胞)特異的に
神経変性がみられます。
 
 原因遺伝子の「CACNA1A」は、
神経細胞にあるP/Q型カルシウムイオン
(Ca2+)チャネルの
α1サブユニットCav2.1をコードして
います。
 
 この遺伝子内のCAGリピート配列
(シトシン・アデニン・グアニン配列)が
異常に長くなることは分かっていますが、
神経変性に至る機構は明らかでは
ありませんでした。
 
 今回、理研を中心とする
共同研究グループは、SCA6患者の
皮膚・血液細胞からiPS細胞を樹立し、
プルキンエ細胞を分化誘導させ、
病態の一部を再現しました。
 
 患者由来のプルキンエ細胞を観察した
ところ、健常人のプルキンエ細胞に
比べて、神経細胞の興奮・抑制などを
つかさどる役割を担うP/Q型Ca2+チャネル
のα1サブユニットのCav2.1が異常に
蓄積していました。
 
 また、患者由来のプルキンエ細胞では
CACNA1A遺伝子のC末端断片がコードする
転写因子(α1ACT)、
およびその標的分子の発現が低下して
いました。
 
 さらに、患者由来のプルキンエ細胞に
ストレス(プルキンエ細胞の維持・成熟に
重要な甲状腺ホルモンT3を除く)を与える
特殊な条件下で培養すると、
高い“脆弱性”を示して、樹状突起が
太くなったり枝分かれが減少するなど
異常な形態が現れました(図参照)。
 
 この形態変化を指標に化合物評価を
行ったところ、SCA治療薬の
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)や
筋委縮性側索硬化症治療薬のリルゾールに
その脆弱性を抑える効果があることが
分かりました。
 
 本成果によって、これまで不明だった
SCA6の病態の理解が進み、創薬研究への
道が開かれると期待できます。
 
 
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 この研究は役立ちそうですね。
 今まで使われていたヒルトニンとか
リルゾールに効果を期待して良い根拠
を与えられそうです。
 
 関連投稿です。
 
 これらの裏取りになりそうです。
 
 
>今回、開発した疾患特異的な細胞の
>脆弱性の再現や、それらを緩和する薬剤
>について評価する系を構築しました。
 
>これにより、これまで不明だった
>SCA6の病態解明と創薬研究への道が
>開かれると期待できます。
 
>また、本研究の手法はSCA6以外の
>さまざまな神経変性疾患にも
>応用が可能であると考えられ、
>今後の創薬研究の進展に貢献すると
>期待できます。
 
 大いに期待したいと思います。

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2016年11月 1日 (火)

敗血症ショックを増悪させる分子を発見

2016年9月29日 大坂大学研究情報
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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リリース概要
 
 大阪大学免疫学フロンティア研究センター
免疫機能統御学の岸本忠三特任教授らの
研究グループは、敗血症ショック※1 を
増悪させるメカニズムを
明らかにしました。
 
 
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研究の内容と本研究成果が社会に与える
影響
 
 今回同研究グループは、Arid5a※2
というタンパク質がγ-インターフェロン※3
を産生するヘルパーTリンパ球(Th1)※4
に必須の分子T-bet※5 をコードする
遺伝子転写産物Tbx21mRNAに結合して
γ-インターフェロンの産生を亢進させ、
敗血症ショックを増強することを
新たに見出しました(図1、図2)。
 
 こうした結果からArid5a分子の発現を
抑制する分子を開発すれば、敗血症ショック
の治療につながると期待されます。
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 Good !
 
 
>こうした結果からArid5a分子の発現を
>抑制する分子を開発すれば、
>敗血症ショックの治療につながると
>期待されます。
 
 
 約3割の患者は致死的であり有効な
治療法は存在しません。
 
 と言うのが現状ですから、
大いに期待したい。

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