走査型蛍光X線顕微鏡を用いた細胞内脂質イメージング - 脂肪酸の細胞内局在を可視化し、脂質代謝変動を明らかに -
2016年9月15日
国立国際医療研究センター
大阪大学
理化学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
---------------------------------------
研究成果のポイント
・脂肪酸※1 (小分子)に、一元素ラベル
および蛍光X線※2顕微鏡を用いることで、
世界で初の細胞内脂質の
高分解イメージングに成功した。
・細胞内脂質をオルガネラ※3レベルの
分解能で観察することが可能。
・本法により、多様な生命現象や疾患に
関わる研究が展開する可能性が
期待される。
-----
脂肪酸代謝異常は多くの疾病と関連が
深く、多くの生化学的研究報告が
行われています。
一方、脂肪酸という小分子の標識は
難しく、非標識では細胞レベルの観察は
困難という理由から、
細胞内脂質イメージングは実現できて
いませんでした。
国立国際医療研究センターの志村、進藤
らのグループは、脂肪酸に一元素
(物質の最小単位、臭素原子)ラベルを
行い、これを取り込ませた細胞を
走査型蛍光X線顕微鏡※4システム
(SXFM、大型放射光施設SPring-8※5の
X線を使用)によって可視化する方法を
開発しました。
これは、細胞内脂質の
高分解イメージングを実現する初の方法
です。
本研究で用いたマウス由来
CHO-K1細胞※6では、ラベル元素シグナル
は細胞核周囲に認められ、
小胞体やゴルジ体と類似した分布を
示しました。
生化学的な検討から、細胞内に
取り込まれた元素ラベル脂肪酸は
概ね細胞内でリン脂質※7に代謝されて
いることが明らかになりました。
これらから、得られた元素分布像は、
細胞内ラベルリン脂質を主に観察している
と考えています。
SXFMは直径1ミクロン以下の
細胞内ラベル脂質構造体
(ミトコンドリアなどと同等の大きさ)
を可視化しており、オルガネラレベルの
分解能を提供しています。
今後、様々な脂肪酸に一元素ラベルを
行い、細胞内局在を可視化することで、
オルガネラレベルでの脂質代謝による
変動が明らかにできます。
また、本システムより、多様な生命現象
や、炎症、血管障害、神経疾患を
始めとする多くの疾患に関わる研究が
展開することを期待しています。
---------------------------------------
イメージング技術進んできましたね。
>本研究で開発した世界初の細胞脂質
>高分解イメージングの技術を用いること
>で、今後、様々な脂肪酸に一元素ラベル
>を行い、細胞内局在を可視化することで、
>オルガネラレベルでの脂質分布や変動を
>明らかにできます。
>また、本システムより、多様な生命現象
>や、炎症、血管障害、神経疾患を
>始めとする多くの疾患に関わる研究が
>展開することを期待しています。
期待したい。
| 固定リンク
「医療関連ニュース」カテゴリの記事
- iPS細胞由来の免疫キラーT細胞を用いることで悪性リンパ腫の治癒に成功〜難治性NK細胞リンパ腫に対する新規細胞治療法へ期待〜 (2019.10.14)
- 炎症反応を強力に抑える活性イオウ誘導体の開発に成功(2019.04.16)
- 皆保険制度の国で在住外国人に健康格差の懸念 ~ 富裕層対象の医療政策導入で悪化の恐れ日本人医師グループが英医学誌で注意を促す ~(2019.03.13)
- 脳腫瘍に対するウイルス療法の医師主導治験で高い治療効果を確認―日本初のがん治療ウイルス薬の製造販売承認申請へ―(2019.02.18)
- 国内初の医師向けオンライン診療手引書が完成 -安全で質の高い遠隔医療の普及に向けて-(2019.01.13)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント