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2016年10月 9日 (日)

iPS細胞由来網膜細胞の免疫拒絶反応モデルの開発-iPS細胞ストックを用いた網膜疾患の移植治療への一歩-

2016年9月16日
理化学研究所
日本医療研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 理化学研究所(理研)
多細胞システム形成研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクトの
杉田直 副プロジェクトリーダーらの
共同研究グループ※は、
人工多能性幹細胞(iPS細胞)[1]から
網膜色素上皮細胞(RPE細胞)[2]を
分化・誘導し、それらを用いて
サルとヒトの免疫拒絶反応モデルを
開発しました。
 
 2014年、
網膜再生医療研究開発プロジェクトは、
ヒトiPS細胞由来RPE細胞をシート状にし、
滲出型加齢性黄斑変性[3]患者に
世界で初めて移植しました
(自家移植[4])。
 
 自家移植では自分の細胞を移植するため、
術後に拒絶反応が起こる確率が極めて
低いという特徴があります。
 
 しかし、自家移植は細胞培養のために
膨大な時間と費用がかかるため、
次の臨床試験では経費削減とより効率的に
細胞の準備ができる「他家移植[4]」の
実現を目指しています。
 
 他家移植には京都大学iPS研究所の
再生医療用iPS細胞ストック[5]に
保存されているヒト白血球抗原(HLA)[6]
がホモ接合体[7]のドナーから作製した
iPS細胞を使用する予定です。
 
 これらの細胞を利用すると、原理的には
術後の拒絶反応は抑えられると
考えられますが、実際に検証した報告は
眼科領域ではありませんでした。
 
 そこで、共同研究グループはまず、
移植時の拒絶反応の要因となる
主要組織適合抗原(MHC[8]、
ヒトではHLA)がホモ接合体の
カニクイザルからiPS細胞を樹立しました。
 
 そして、そのiPS細胞から分化・誘導した
RPE細胞を他のカニクイザル
(RPE細胞のMHCの型と一致する型を持つ
個体と不一致の個体)の網膜に移植し、
それぞれの個体の拒絶反応の有無を
調べました。
 
 その結果、MHCの型が不一致の
カニクイザルでは網膜に拒絶反応が
起きました。
 
 一方、 MHCの型が一致の
カニクイザルでは6カ月経過後も
拒絶反応は起こりませんでした。
 
 次に、ヒトiPS細胞からRPE細胞
(少なくともHLA-A、HLA-B、HLA-DRB1の
3座がホモ接合体)を分化・誘導しました。
 
 そして、そのRPE細胞と、ヒト血液から
分離した末梢血単核球(PBMC)[9]および
CD4陽性T細胞[10]をそれぞれ共培養し、
試験管内で免疫応答を調べました。
 
 その結果、HLAの型が不一致のPBMCと
RPE細胞の組み合わせによる共培養では、
コントロールに比べて炎症細胞
(T細胞、B細胞など)が増加しました。
 
 一方、HLAの型が一致の組み合わせ
による共培養では増加しませんでした。
 
 このことから、炎症細胞はHLA不一致の
RPE細胞を認識し、HLA一致のRPE細胞を
認識しないことが分かりました。
 
 以上の結果は、再生医療用iPS細胞
ストック由来のドナーとレシピエント
(患者)のHLAを一致させることで、
RPE細胞移植術後の拒絶反応が
抑えられる可能性を示しています。
 
 本研究は、日本医療研究開発機構
(AMED)「再生医療実現拠点
ネットワークプログラム
疾患・組織別実用化研究拠点(拠点A)」
(平成27年度より科学技術振興機構から
 移管)、科学研究費補助金「基盤B」の
支援を受けて行われました。
 
 成果は、米国の科学雑誌
『Stem Cell Reports』に掲載される
のに先立ち、オンライン版
(9月15日付け)に掲載されました。
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 再生医療用iPS細胞ストック由来の他家
移植、進みそうですね。
 
 予想通りの結果が得られたということ
のようです。
 
 
>次のステップとして、網膜再生医療
>研究開発プロジェクトおよび関連機関
>(神戸市立医療センター中央市民病院、
>大阪大学、京都大学iPS細胞研究所)
>では、滲出型加齢性黄斑変性患者の
>移植治療の臨床研究に再生医療用
>iPS細胞ストックを利用した他家移植を
>行うことを計画しています注2)。
 
>もし、HLAが適合する患者の
>免疫炎症細胞がiPS-RPE細胞に反応せず
>(または反応低下)、実際に網膜内での
>拒絶反応が起きなければ、
>iPS細胞ストック由来の細胞移植が
>滲出型加齢性黄斑変性だけではなく、
>ほかの網膜移植医療への応用も
>期待できます。
 
 大いに期待したい。

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