「 アルツハイマー病の新たな抗体治療に道をひらく 」― アミロイド凝集前の病態シグナルを治療の分子標的に ―
平成28年8月22日
東京医科歯科大学
日本医療研究開発機構(AMED)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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【ポイント】
○アミロイド凝集前に起きる
リン酸化シグナルの病態意義を
明らかにしました。
○リン酸化シグナルを惹起する
細胞外分子を同定しました。
○本細胞外分子に対する抗体治療が
アルツハイマー病モデルマウスの
病態抑制と症状改善につながる
ことを示しました。
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東京医科歯科大学・難治疾患研究所
/脳統合機能研究センター
・神経病理学分野の岡澤 均教授の
研究グループは、アミロイド凝集前に
リン酸化の異常変動を示すタンパク質
MARCKS を先行研究で同定しましたが、
今回の研究で、MARCKS の上下の
シグナル経路と病態意義を明らかにし、
さらに MARCKS のリン酸化を誘導する
細胞外分子 HMGB1 を標的とする
抗体治療法を開発しました。
この研究は、理化学研究所・宮脇敦史
・副センター長、
同・西道隆臣チームリーダー、
名古屋大学・祖父江元特任教授、
創価大学・中嶋一行教授、
MBL・梶川益紀博士らとの共同研究として
行われ、平成26年度から始まった
文部科学省『革新的技術による脳機能
ネットワークの全容解明プロジェクト』
(平成27年度から日本医療研究開発機構
:AMED へ移管)の支援のもとで
実施されたもので、その研究成果は、
国際科学誌 Scientific Reports
(サイエンティフィック レポーツ)に、
2016 年8月 25 日午前10時
(英国時間)にオンライン版で
発表されます。
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アルツハイマー病治療の新たな希望
ですね。
>これまで数々の治療法が試みられて
>きましたが、十分な有効性を示すものは
>得られていません。
>特に、約15年前からアミロイドベータ
>に対する抗体医薬品の臨床試験が
>国際的な規模で行われてきましたが、
>脳内のアミロイドベータ除去に成功した
>ものの、患者の症状は改善が見られない
>ことも予想外の知見として得られました。
これは大問題です。
>このため、脳内にアミロイドベータ凝集
>が起きた後から治療を開始するのでは
>既に遅く、アミロイドベータの
>脳内での溜まり始めに
>アミロイド抗体療法を開始する、
>あるいは、脳内にアミロイドベータ凝集
>が起きる以前の超早期(Phase 0)に
>生じる脳内分子変化を解明して、
>新たな分子標的に対する治療を開発する
>必要があると考えられるようになって
>きました。
そのようですね。
>本研究により、MARCKS, TLR4, HMGB1
>などの分子が担う、アルツハイマー病
>超早期病態の一端を明らかにし、
>さらに細胞外HMGB1 を標的とする
>新規抗体治療法を開発しました。
>本研究成果は、アルツハイマー病治療に
>直接役立つ可能性があり、
>今後は HMGB1 抗体の実用化に向けて
>ヒト患者に使用可能な製剤化を行い、
>さらに臨床試験を行うことを目指します。
>また、本研究成果を手掛かりに、
>さらに超早期病態の全容解明を
>進めることにより、新たな治療標的分子
>あるいは新たな治療標的メカニズムが
>得られることが期待されます。
大いに期待したい。
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