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2016年9月22日 (木)

新たなリチウムイオン伝導性液体の発見 -水を用いた安全・安価・高性能な超3 V動作リチウムイオン電池へ-

2016.08.29
東京大学工学部プレスリリース
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 現在、リチウムイオン電池を上回る
高エネルギー密度化を指向して、
空気電池、硫黄電池、多価イオン電池、
全固体電池などの次世代蓄電池の研究が
活発に行われている。
 
 これらの蓄電池概念は40年以上もの
長い研究開発の歴史があるものの、
本質的な問題解決に向けての糸口は
得られておらず、実用化されていない。
 
 一方で、自動車や家電などさまざまな
モノがクラウド上に置かれ
インターネットを介したスマートな
社会制御が行われる
「モノのインターネット(IoT)」時代の
蓄電池においては、高エネルギー密度化
よりもむしろ価格破壊や超生産性に加え、
資源・環境・毒性・火災の4大リスクの
絶対回避が現実的に必要とされており、
それに資する新材料の開発が
望まれている。
 
 東京大学大学院工学系研究科の
山田裕貴助教と山田淳夫教授らの
研究グループは、国立研究開発法人
科学技術振興機構の袖山慶太郎さきがけ
研究員、国立研究開発法人物質・材料研究
機構の館山佳尚グループリーダーらとの
共同研究により、“水”をベースとした
新たなカテゴリーのリチウムイオン伝導性
液体「常温溶融水和物
(ハイドレートメルト、hydrate melt)」
を発見した。
 
 水と特定のリチウム塩2種を一定の割合
で混合することで、一般的には固体となる
リチウム塩二水和物が常温で安定な液体、
つまりハイドレートメルトとして存在する
ことを見出した。
 
 発見したハイドレートメルトは、
通常1.2 Vの電圧で水素と酸素に分解する
水を使っているにも関わらず、
3 V以上の高い電圧をかけても分解しない
ことが分かった。
 
 ハイドレートメルトを電解液として
応用することで、これまで特殊な
有機溶媒を用いた電解液でしか
成し得なかった超3 V級リチウムイオン
電池の可逆作動に、“水”を用いた
電解液で初めて成功した。
 
 リチウムイオン電池の電解液が、
可燃・有毒な有機溶媒から、
不燃・無毒な水に置き換わることで、
火災・爆発事故等のリスクを極限まで
低下させることができる。
 
 更に、自然界に存在する水が電解液原料
になることに加え、電池生産工程における
厳密な禁水環境(ドライルーム)を
撤廃することができるため、
リチウムイオン電池の圧倒的な低価格化を
もたらす。
 
 水を使った安全かつ安価な高性能蓄電池
デバイス設計と生産プロセス設計の双方が
可能になることで、高度な安全性と
低価格の両立が要求される電気自動車や
家庭用の大型蓄電池開発の加速が
期待される。
 
 本研究成果は、2016年8月26日付の
Nature Energy電子版に掲載される。
 
 なお、本研究は日本学術振興会
科学研究費補助金特別推進研究
(No. 15H05701)による支援を受けて
行われた。
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>リチウムイオン電池の圧倒的な
>低価格化をもたらす。
 
 素晴らしい。
 まだまだ高価ですから、
 
>可燃・有毒・高価な有機溶媒に
>替わって、自然界に豊富に存在し
>不燃・無毒・安価な“水”を使った
>高い電圧耐性を有する電解液系が
>完成することで、リチウムイオン電池
>をはじめとする蓄電池及び
>その生産プロセスの双方に
>大きな変革をもたらす。
 
>今後は、本研究で見出した新たな
>カテゴリーの電解液
>「ハイドレートメルト」が示す
>異常物性の起源解明と更なる新機能の
>開拓を行い、新たな学術領域としての
>確立を目指す。
 
>また、ハイドレートメルト電解液が
>可能にする新規蓄電池デバイスの
>実用化に向けた問題抽出を行い、
>開発を加速させていくとともに、
>より高機能なハイドレートメルト材料の
>探索を引き続き行っていく予定である。
 
 まだ製品化までには時間がかかりそう
ですが、大いに期待したい研究成果です。

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