「 RpA1を用いて小脳失調症モデルマウスの治療に成功」― 新しい小脳失調症の遺伝子治療開発に期待 ―
平成28年8月12日
国立大学法人 東京医科歯科大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
○病態関連分子 RpA1 を効率的に
小脳神経細胞に発現する遺伝子治療法を
開発しました。
○それを用いて脊髄小脳失調症の
モデルマウスの治療実験に
成功しました。
○脊髄小脳失調症の新規治療法開発への
応用が期待できます。
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東京医科歯科大学難治疾患研究所
および脳統合機能研究センター神経病理
分野の岡澤均教授の研究グループは、
自治医科大学との共同研究で、
脊髄小脳失調症の新しい遺伝子治療法の
開発への可能性を開きました。
この研究は文部科学省科学研究費補助金
(新学術領域研究・シナプスニューロ
サーキットパソロジーの創成)ならびに
日本医療研究開発機構(AMED)
難治性疾患実用化研究事業の支援のもとで
おこなわれたもので、その研究成果は、
国際科学誌Human Molecular Genetics
(ヒューマン・モレキュラー
・ジェネティクス)に、2016年8月11日
(英国時間)にオンライン版で
発表されました。
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今回の研究の対象は脊髄小脳失調症1型
(SCA1)のようですね。
最近いろいろな型の脊髄小脳失調症に
対する遺伝子治療法の研究報告が出て来て
います。
決定的な治療法が無いのが現状
ですので、大いに期待したいところ
です。
以下は「研究成果の意義」として
述べられている内容です。
>本研究成果は、難病の一つである
>SCA1 の治療に向けた新しい可能性を
>示しています。
>先に岡澤教授らは、HMGB1 という
>別分子を同様な AAV ベクターで
>発現しても、SCA1 モデルマウス
>(異常 Atxn 1-ノックインマウス)の
>症状と病理を改善することを
>報告しています
>(Ito et al, EMBO Mol Med 2015)。
>この HMGB1 を用いた研究は、
>ヒトに用いるための遺伝子治療製剤開発
>に進んでいますが、AAV ベクターの
>安全性などが確認できればヒト臨床試験
>に進むことができます。
>HMGB1 と RpA1 は修復過程に生じる
>DNA1本鎖の保護と修復進行に
>協調的な働きをすることが
>知られています。
>AAV-RpA1 でも同様に安全性が
>確認できれば、HMGB1と並んで
> RpA1 も治療用分子として用いることが
>可能であり、複合療法など
>効果的な治療法開発につながる可能性が
>あります。
大いに期待したい。
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