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2016年8月 6日 (土)

マイクロRNAによる脊髄小脳失調症の遺伝子治療

2016/08/04
東京大学医科学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
既に投稿済みの内容ですが、
東京大学医科学研究所から発表
されたようなので、再度投稿します。
 
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 東京大学医科学研究所
遺伝子・細胞治療センターの
村松慎一特任教授とシカゴ大学の
国際共同研究グループは、
運動機能が障害される遺伝性神経難病の
脊髄小脳失調症6型に対する
新しい遺伝子治療法をマウスにおいて
開発しました。
 
 この神経難病に特徴的なマイクロRNA
(miRNA、短いRNAの一種)により、
この病気の発症に関連するタンパク質の
産生のみを抑えます。
 
 脊髄小脳失調症は、小脳の神経細胞が
徐々に脱落し運動機能が障害される
神経難病です。
 
 この難病の原因遺伝子として
現在までに、40以上の遺伝子が同定されて
いますが、未だに根本的な治療法は
ありません。
 
 遺伝性の脊髄小脳失調症のうち、
日本で2番目に多い脊髄小脳失調症6型は、
神経細胞の活動に必要な
カルシウムチャネル(αA1)の遺伝子
(CACNA1A遺伝子)の塩基配列の一部が
異常に長くなることにより発症します。
 
 2013年にシカゴ大学の研究グループは、
「CACNA1A遺伝子からはαA1だけでなく、
α1ACTという別のタンパク質も
作られること」、
「このα1ACTこそが神経細胞に障害を
起こす原因であること」を報告しました。
 
 今回、研究グループは、有害なα1ACTが
作られないようにする新しい遺伝子治療法
を開発しました。
 
 最初に、研究グループはCACNA1A遺伝子
のメッセンジャーRNAから
α1ACT タンパク質への翻訳のみを抑える
働きがあるmiRNA配列を見出しました。
 
 神経細胞に効率よく遺伝子を運ぶことの
できる改良型アデノ随伴ウイルスベクター
にこのmiRNAを挿入し、脊髄小脳失調症6型
の症状を示すマウスに投与すると、
神経細胞の脱落が抑制され運動機能が
改善されることを示しました。
 
 「最近、癌、代謝性疾患、炎症性疾患
において、さまざまなmiRNAの治療可能性
が示されています。
 
 私たちは以前に、球脊髄性筋萎縮症
という別の神経難病のモデルマウス
に対しても、
改良型アデノ随伴ウイルスベクターを
使用してmiRNAを神経細胞に届ける治療法
が有効であることを報告しています」
と村松特任教授は説明します。
 
 「私たちの開発した
改良型アデノ随伴ウイルスベクターは
脊髄腔内に投与することにより、
サルやブタでも脳と脊髄における
広範な領域の神経細胞に遺伝子を
届けることができます。
 
 今後、臨床応用を目指して研究を
続けます」と展望を話します。
 
 なお、本成果はシカゴ大学神経内科学の
宮崎雄医師、クリストファー・ゴメス
(Christopher M. Gomez)教授らとの
共同研究によって得られたものです。
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 素晴らしい。
 miRNAを介した治療法有効そうです。
 
 なかなか有効な治療法が出てこない
中で、嬉しいニュースです。
 
 
>私たちの開発した
>改良型アデノ随伴ウイルスベクターは
>脊髄腔内に投与することにより、
>サルやブタでも脳と脊髄における
>広範な領域の神経細胞に遺伝子を
>届けることができます。
>今後、臨床応用を目指して研究を
>続けます
 
 早く人への治験まで進むと良いですね。
 大いに期待したい。
 
>最近、癌、代謝性疾患、炎症性疾患
>において、さまざまなmiRNAの
>治療可能性が示されています。
 と言っています。
 
 最近のいろいろな研究でも、出てきて
います。

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コメント

メタホルミンは小脳変性症にこうかがあるのでしょうか?

投稿: 町田博 | 2016年9月 6日 (火) 17時26分

町田さん、コメントありがとうございます。

残念ながら良い回答が出来ません。
いろいろ調べてはいるのですが、脊髄小脳変性症の有効な薬は存在しないようです。
現在、脊髄小脳変性症適用として認可されている薬は対処療法薬しか存在しません。

メタホルミン → メトホルミンのことでしょうか?
メトホルミンは糖尿病に対する薬です。(ご存知だと思いますが)
なので小脳変性症に対する効果はありません。

私が根治治療法として期待しているものは、遺伝子治療です。
いつ頃、どの型が治験対象になるのかわからないのが実態です。

投稿: haredasu | 2016年9月 7日 (水) 14時45分

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