本物の薬をバーチャルで開発
2016-07-21
沖縄科学技術大学院大学(OIST)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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体内では、ひとつの薬が複数の分子と
相互作用をすることが可能です。
この現象は「多重薬理学」と呼ばれて
おり、その薬の相互作用の仕方によって、
病気を治癒したり、副作用を
引き起こしたりします。
このため、好ましくない分子相互作用の
リスクを減らしながら、標的となる分子に
作用する薬を開発することが重要です。
通常、研究室での膨大な実験により
このような選択的相互作用をもつ薬剤を
見つけます。
新薬候補の化合物は、効果や特異性を
確認するため、長期にわたる様々な検査を
経なければならず、このプロセスには
多くの時間と費用がかかります。
この度、日本国内の複数の研究機関に
所属する研究者たちが、こうした状況に
革命をもたらすオンラインシステムを
開発しました。
沖縄科学大学院大学(OIST)、
システムバイオロジー研究機構、
東京大学、
理化学研究所総合生命医科学研究センター
が共同開発した、新薬候補の化合物の効果
と特異性を仮想空間内で確認するための
systemsDockです。
このシステムはインターネット上で
誰でも無料で利用することができます。
本プロジェクトにおいて、
OISTのITセクションは基盤となる
技術サポートを行いました。
その成果はNucleic Acids Researchに
掲載されています。
論文筆頭著者であり、OISTの
統合オープンシステムユニットの
スタッフサイエンティストである
クンイー・シーン博士は以下のように
説明します。
「新たな薬を産み出すプロセスは、
すべてがスムーズに進んだとしても
軽く10年はかかります。
有望な化合物を見つけたとしても、
その化合物は複数の生体分子と相互作用
してしまいます。
結果として副作用を起こすことがあり、
患者はその副作用で命を落としたり、
副作用をおそれてそもそも薬を使うことが
できない場合もあるのです。
典型的な副作用として心毒性が
挙げられます。」
systemsDockは、将来薬となる可能性を
持つ化合物と生体内のターゲット分子
の間での相互作用を、効果的かつ実践的に、
バーチャルにスクリーニングする目的で
作られました。
このオンラインシステムを使用すると、
その新薬候補の化合物が体内の分子と
どのように「ドッキング」するか、
すなわち、どのように結合するかを
予測することができます。
systemsDockを開発するにあたり、
研究者はこのドッキング予測の精度を
大幅に改良しました。
このドッキング予測技術こそ、
薬剤と生物分子の間の相互作用を予測する
ために必要不可欠な技術なのです。
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素晴らしい。
しかも、誰でもインタネット上で
利用することが出来る。
>シーン博士は強調します。
>「systemsDockは、 薬剤を開発する
>ためにかかる時間やリソースを
>削減しつつ、新薬として有望な化合物を
>発見することができます。
>また、エラーが生じる確率を低減でき、
>薬剤開発プロセス全体にとっての利益
>となるのです。」
薬剤開発にとって有用なツールと
なると素晴らしいですね。
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