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2016年8月11日 (木)

化学反応ネットワークの新原理「限局則」を発見~酵素変化に対する応答の範囲は構造で決まる~

平成28年7月21日
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 理化学研究所(理研) 望月理論生物学
研究室の岡田 崇 特別研究員と
望月 敦史 主任研究員
(理論科学連携研究推進グループ
 階層縦断型基礎物理学研究チーム
 チームリーダー)の研究チームは、
生体内でみられる化学反応系の酵素変化に
対する応答の範囲がネットワークの局所的
な形だけから決まるという新原理
(以下、「限局則」)を理論的に証明
 しました。
 
 生体内で起こる化学反応は連鎖的に
つながり、ネットワークを形成して
います。
 
 このシステム全体のダイナミクスから
細胞の生理機能が生まれ、さらに反応を
つかさどる酵素の量や活性が変化すること
で、生理機能の調節が行われると
考えられています。
 
 これまで、化学反応系のダイナミクスや
調節機能を理解する目的で、各酵素の量や
活性に撹乱を与え、化学物質の濃度変化を
測定する摂動実験が行われてきました。
 
 しかし、ネットワークから化学反応系を
合理的に理解することはほとんどできて
いませんでした。
 
 研究チームは今回、
化学反応ネットワークの構造だけから、
酵素の量や活性が変化したときの
化学反応系の応答を定性的に予測する
数理理論を構築しました。
 
 その結果、酵素変化に対する
化学反応系の応答の範囲が、
ネットワークの局所的な形だけから
決まることを数学的に証明しました。
 
 ネットワーク中の部分構造に含まれる、
分子、反応、ループ構造の数が、
ある簡単な算術式を満たしていると、
その部分構造は「限局構造」となること、
つまり構造の内部に与えられた
摂動の影響は、その内部のみに留まり
外部には伝わらないことを発見し、
証明しました。
 
 ネットワークの部分構造だけで
化学反応系の振る舞いを決定できる
「限局則」は、生命システムを解明する上
で有力な手段になります。
 
 例えば、ネットワークの形さえ
分かっていれば、そのシステムが
酵素変化に対してどのような応答をするか、
すぐに予測できます。
 
 さらにデータベース上の
ネットワーク情報と摂動応答実験の結果を
比べて不整合を発見し、未知の反応の存在
を予測することも可能です。
 
 また、酵素の摂動をその内側で吸収して
外に伝えない限局構造は、生命システムに
頑健性注1)を与える構造として
進化してきた可能性があり、
複雑な生命システムの進化的起源を
理解する手掛かりになるかもしれません。
 
 本研究は科学技術振興機構(JST)
戦略的創造研究推進事業(CREST)
「生命動態の理解と制御のための基盤技術
 の創出」の一環として行われ、
成果は米国の科学雑誌
『Physical Review
 Letters』に掲載されるのに
先立ち、オンライン版
(7月20日付け:日本時間7月21日)
に掲載される予定です。
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 「限局則」ね~、面白いです。
 
 
>化学反応系の振る舞いについて、
>ネットワークの形、
>しかも局所的な形だけから決定できる
>この理論は、多様な生命現象への応用や
>さまざまな方向への発展の可能性が
>あります。
 
>第一に、さまざまな化学反応系の
>酵素変化に対する応答を、
>ネットワークの形を見ただけで
>すぐ予測できます。
 
>現在、さまざまな生命現象に対し、
>生体分子とそれらの関係性から
>ダイナミクスを理解しようとする研究が
>盛んに行われています。
 
>この理論は、そのような分野を
>進展させる基本指針となると
>考えられます。
 
>第二に、部分構造だけで条件が決まる
>限局則は、無数の化学反応が
>つながり未知の反応を含みうる、
>実際の生命システムを解明する上で
>強力なツールとなりえます。
 
>データベースの情報に基づく
>限局構造と、実際の摂動応答実験の結果
>とが一致しなければ、
>それは未知の反応や制御の存在を
>意味します。
 
>理論と実験との比較を繰り返すことで、
>真のネットワークを決めていくことが
>できます。
 
>第三に、限局構造とは、
>酵素の量や活性の変動の影響を
>その内部で吸収し、
>外に伝えない構造です。
 
>化学反応システムの頑健性の起源だと
>捉えることができます。
>例えばバクテリアの中心代謝系は、
>そのような防御構造を何重にも
>入れ子に備えた、大変に頑健性のある
>システムだといえるでしょう。
 
>限局構造を手掛かりに、
>生命の複雑なネットワークシステムの
>進化的起源を理解することが
>できるかもしれません。
 
 興味深い理論ですね。
 今後の発展に期待したい。

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