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2016年6月15日 (水)

がん細胞を狙い撃ちするα線放出核種を標識した新しい治療薬剤を開発―アスタチン-211がん治療薬剤による褐色細胞腫の大幅な縮小に成功―

2016/06/13
国立研究開発法人
量子科学技術研究開発機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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発表のポイント
 
・加速器によるα線放出核種
 アスタチン-211(211At)1)の
 効率的な製造に成功
 
・これにより悪性褐色細胞腫2)の
 がん治療薬剤候補211At-MABG
 (メタアスタトベンジルグアニジン)3)
 の製造に成功し、有効性を確認
 
・異なる専門性を持つ機関統合によって
 実現した量研機構ならではの研究成果
 
 
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 国立研究開発法人量子科学技術研究開発
機構(以下「量研機構」という。)
量子ビーム科学研究部門高崎量子応用
研究所の石岡典子上席研究員
・大島康宏主任研究員
・渡辺茂樹主幹研究員、
量研機構放射線医学総合研究所の
東達也部長・脇厚生室長
・吉永恵一郎チームリーダー
・辻厚至チームリーダー
・永津弘太郎サブチームリーダーらは
共同で、悪性褐色細胞腫を標的とした
治療薬剤211At-MABG
(メタアスタトベンジルグアニジン)の
製造に成功し、これがマウスに移植した
褐色細胞腫に対して高集積し、
さらに腫瘍を大幅に縮小できることを
世界で初めて明らかにしました。
 
 褐色細胞腫は主に副腎に発生する
腫瘍で、悪性の場合、遠隔転移4)が
認められるため外科手術による根治は
難しく、従来β線5)を放出するヨウ素-131
(131I)6)を使用した131I-MIBG
(メタヨードベンジルグアニジン)7)
による治療が行われていますが、
その治療効果は限定的です。
 
 β線よりも、飛程8)が短く生物効果が
高いα線5)が利用できるようになれば、
強力に細胞内のDNA9)を破壊し、
正常組織に対する放射線の影響も
最小限に抑えられることから、
現在よりも腫瘍だけを集中的に攻撃する
効果の高い治療が期待できます。
 
 そこで、本研究チームは、α線を
放出し、ヨウ素と似た化学特性を有する
211At(半減期:7.2時間)に着目して
α線がん治療薬剤を作り出す研究を進め、
今回、211At-MABGの製造に成功しました。
 
 この211At-MABGを、褐色細胞腫を
移植したマウスに1回投与した結果、
腫瘍に集積してその増殖を抑制する
だけでなく、投与7日後までに腫瘍を
約半分に縮小することができました。
 
 一方、副作用の指標である体重に
影響は認められませんでした。
 
 これらの研究成果から211At-MABGが
悪性褐色細胞腫の効果的な治療薬と
なることが大いに期待されます。
 
 本研究成果は、これまで別々の
研究機関
(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
と国立研究開発法人放射線医学総合研究所)
に属していた研究チームが、機関統合を
契機に、基礎から臨床研究までを
切れ目なく見据えた効率的な研究体制を
構築し、それぞれが有していた
放射性同位体製造技術と薬剤合成技術を
融合させることにより、初めて実現した
ものです。
 
 今後は安全性について、さらに詳細な
検討を進めます。
 
 本研究成果は2016年6月15日
(日本時間6:45)に開催される
米国核医学会において口頭発表されます。
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 素晴らしい成果です。
 
 
>α線がん治療薬剤211At-MABGの製造
>に成功しました。
 
 マウスでは十分な効果が見られた
ようです。
 
 人への応用までにはまだまだ時間が
かかりそうですが、大いに期待したい
薬剤です。

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