副生成物処理が不要なエステル化反応の触媒を開発-高効率なバイオディーゼル燃料合成への応用も可能-
2016年5月18日
理化学研究所
韓国漢陽大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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有機合成化学の分野においては
多種類の反応ありますが、その中でも
「エステル化反応」、
「トランスエステル化反応」は
非常に多く用いられる反応です。
前者は、各種カルボン酸(R1-COOH)と
アルコール(R2-OH)から対応する
エステル(R1-COOR2)と水(H2O)が
生成する反応です。
後者は、各種エステル(R3-COOR4)と
アルコール(R5-OH)から対応する
エステル(R3-COOR5)とアルコール
(R4-OH)が生成する反応です。
どちらの反応も、医薬品合成、
機能性材料合成、各種石油化学製品の
製造などで使われ、応用範囲が広いため
重要視されています。
ところが、現状では反応速度を速める
“触媒”として硫酸など危険性の高い
劇物が使用され、また副生成する水
もしくはアルコールの除去が
必要だったり、110℃以上の高温条件が
必須であるなどの問題がありました。
今回この問題を克服するため、
理研の研究者を中心とする
国際共同研究チームは
「フェノールスルホン酸樹脂(PAFR)触媒」
を開発しました。
PAFR触媒は水にも有機溶媒にも
溶けない、平均直径1~2μmの
多くの孔をもつ高分子酸触媒です
(図参照)。
1モル%未満で機能し、数十℃の
温和な条件下で、しかも90%以上の
高収率で各種エステルを得ることに
成功しました。
また、大きな利点として、副生成する
水もしくはアルコールを除去する必要が
ないことが分かりました。
次に、国際共同研究チームは、
PAFR触媒をディーゼル燃料と似た
燃料特性を持つ、“バイオディーゼル燃料
(脂肪酸メチルエステル)”の合成に
応用したところ、ほぼ100%に近い収率で
脂肪酸メチルエステルを得ることに
成功しました。
さらに、PAFR触媒をカートリッジカラム
に充填することにより、フロー(流通型)
合成に適用したところ、同様の高収率で
継続的に脂肪酸メチルエステルを
生成することができました。
このように、PAFR触媒は安全かつ
効率的な反応を目指す
“グリーンケミストリー”の考え方に
適合する触媒といえます。
今後、さらなる安定性、耐久性を高める
改良を行うことにより、
年間トンスケール以上の合成を可能とする
大規模処理装置、化学プラントの実現が
期待できます。
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良さそうです。
>PAFR触媒は安全かつ効率的な反応を
>目指す“グリーンケミストリー”の
>考え方に適合する触媒といえます。
>今後、さらなる安定性、耐久性を高める
>改良を行うことにより、
>年間トンスケール以上の合成を
>可能とする大規模処理装置、
>化学プラントの実現が期待できます。
大いに期待したい。
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