フラーレンC70に水分子を閉じ込めることに成功 ~水分子の挙動観測に成功し、新機能物質の開発に期待~
平成28年3月8日
科学技術振興機構(JST)
京都大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
○炭素原子70個が球状に結合している
フラーレンC70の内部に水分子を
閉じ込める手法を開発した。
○水の基礎的物性の解明や
フラーレンC70物性制御に道筋を
付けることが可能となった。
○有機薄膜太陽電池の性能向上や
生理活性素材の開発などの多彩な
応用開発が期待できる。
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JST戦略的創造研究推進事業において、
京都大学 化学研究所の村田 靖次郎 教授
らは、炭素原子が球状に結合している
フラーレンの一種であるC70注1)の
内部に水分子を閉じ込めることに
成功しました。
水は生命にとって最も身近かつ重要な
物質であり、水分子(H2O)から
構成されています。
しかし、1個、あるいは2個の水分子を
取り出して、その基礎的物性を明らかに
する研究はほとんどありませんでした。
今回、京都大学の研究グループでは、
フラーレンC70に開口部を構築し、
そこから1個、あるいは2個の水分子を
内部に挿入し、その後、開口部を元通りに
修復することによって、水分子を内包した
フラーレンC70を合成しました。
さらに、水分子を内包したC70の
構造を解析して1個の水分子が単独で
動いている様子を明らかにし、
また、世界で初めて2個の水分子だけを
他の水分子から孤立させ、その挙動観測に
成功しました。
今後、この技術を利用して、
水の単分子や2個の分子の物性研究を
詳細に行うことが可能になり、
生命に最も関係の深い水の挙動解明を
進める事が可能となります。
また、内部の空間に金属イオンや分子を
持つ内包フラーレン注2)は、
さまざまな新しい機能を発揮する
機能性分子として大きな注目を集めて
います。
今回開発した技術を用い、
有機薄膜太陽電池注3)の性能向上、
生理活性素材の開発、生命現象を解明する
ためのプローブ分子への応用などが
期待されます。
研究成果は、2016年3月7日
(米国時間)の週に科学誌
「Nature Chemistry」の
オンライン速報版で公開されます。
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面白そうです。
いろいろ展開が期待できそう。
直近では有機薄膜太陽電池の性能向上
に寄与ということになるのかな?
今後に期待します。
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