細胞内でRNAが分解されるメカニズムを解明~リソソームへのRNA取り込み分子SIDT2を発見~
2016年2月26日
国立精神・神経医療研究センター (NCNP)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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国立精神・神経医療研究センター
(NCNP) 神経研究所 疾病研究第四部
の株田智弘室長らの研究グループは、
遺伝情報の伝達など生物にとって必須の
役割を担う一方、蓄積すると病気の原因
ともなるRNAが、細胞の中で分解される
主な仕組みの1つを解明しました。
この研究成果は日本時間の
2016年2月19日に米国の科学誌
『Autophagy』オンライン版で
公開されました。
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■研究の背景・経緯
ALSや難病の治療法開発にRNautophagy
のメカニズム解明が重要
私達の体を構成している細胞の中では、
RNAやタンパク質が毎日作られる
とともに分解されています。
分解する機能が止まってしまうと、
細胞内に不要なRNAやタンパク質が
どんどん溜まり、病気になって
しまいます。
例えば細胞内のRNA分解酵素RNaseT2の
機能が欠損すると、神経疾患である
白質脳症の原因となることが
知られています。
また、筋力の低下を主症状とする
筋強直性ジストロフィー、
徐々に筋肉が動かなくなる難病、
筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの
疾患ではRNAの蓄積や異常が発症に
関与することが示唆されています。
リソソームは細胞内小器官の1つであり、
その中にはタンパク質やRNAなどを
分解するための酵素が多く含まれていて、
細胞内のゴミ処理場のような役割を
果たしています。
また、細胞内には、ゴミとなる物質など
をリソソームに運んで分解するシステムが
存在し、オートファジーと総称されて
います。
以前私達の研究グループは、
リソソームが直接RNAを内部に取り込み、
分解するという新しいシステムを
世界で初めて発見し、RNautophagy
(アールエヌオートファジー)と
名付けました。
ところが、RNAがどのように
リソソーム膜を通過するのかということ
についてはわかっていませんでした。
今回の研究では、RNAのリソソーム膜
通過を担う分子を同定することを
目的とした研究を進めました。
線虫のSID-1というタンパク質が
細胞膜においてRNAチャネル(輸送体)
として働くことが報告されていました。
そこで本研究では、哺乳類のなかで
SID-1に相当する分子(オルソログ)
の1つであるSIDT2に着目しました。
SIDT2の細胞内での存在場所を調べた
ところ、主にリソソーム膜に存在し、
SIDT2がリソソームによるRNA取り込みを
仲介することが明らかとなりました。
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RNautophagy
(アールエヌオートファジー)の仕組みの
中の、RNAのリソソーム膜通過を担う
分子の同定に成功したということの
ようです。
>今回、RNAのリソソーム膜通過を担う
>分子が発見されたことで、
>RNAを原因とする神経・筋疾患や
>感染症に対する治療法開発に
>貢献することが期待されます。
大いに期待したい。
オートファジーの仕組み解明は
色々な疾患の原因にからんで
いるので重要です。
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