「癌幹細胞が癌の根治から逃れる特殊能力について合成ポリマーを用いて解明」―自ら生存環境を創る癌幹細胞の利己的な仕組みに対する治療法開発に期待―
平成28年1月26日
国立大学法人 東京医科歯科大学
プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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【ポイント】
・癌幹細胞は癌の治療抵抗性と再発に
関わる細胞で、その生存を維持する
微小環境(ニッチ)の破壊は癌の根治
をもたらすと期待されていますが、
その実態は十分に解明されていません。
・数百種類の合成ポリマーの中から
癌幹細胞ニッチの機能を持つポリマー
を同定し、このポリマー結合分子の
解析から、脳腫瘍の癌幹細胞ニッチ
構成成分として細胞外基質と鉄を
特定しました。
・細胞外基質を分泌する血管内皮細胞に
癌幹細胞自身が分化し、鉄を細胞内に
蓄えるマクロファージを癌幹細胞が
誘導するという、癌幹細胞の利己的な
生存戦略の仕組みを明らかにしました。
・本研究により、世界で初めて
人工ポリマーを用いて新たに解明された
癌幹細胞の特性を標的とした
新規がん根治療法の開発が
期待されます。
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東京医科歯科大学難治疾患研究所
幹細胞制御分野の田賀哲也教授、
椨康一助教らの研究グループは、
エジンバラ大学、国立がん研究センター
研究所との共同研究で、脳腫瘍の癌幹細胞
ニッチを模倣してその生存を助ける
人工ポリマーを同定し、それを用いた解析
から、癌組織中に存在する癌幹細胞が
自らの生存に好適な環境(癌幹細胞ニッチ)
を構築する利己的な生存戦略を執って
癌の拡大に至る仕組みをつきとめ
ました(図1)。
この研究は文部科学省科学研究費
補助金新学術領域研究
「癌幹細胞を標的とする腫瘍根絶技術の
新構築」の支援のもとでおこなわれた
もので、その研究成果は、国際科学誌
Stem Cells(ステムセルズ)に、
2016 年1 月 29 日午前 1 時
(米国東部時間)にオンライン版で
発表されます。
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がん細胞もそうですが、癌幹細胞も癌の
根治から逃れる特殊能力を持っているん
ですね。
がんの退治は大変です。
>血管内皮の一部が癌幹細胞の分化した
>細胞で構成されていることや、
>骨髄単球の鉄貯蔵・腫瘍促進性
>マクロファージへの分化を
>癌幹細胞が誘導していることを発見し、
>癌幹細胞が細胞外マトリックスの
>自給システムや鉄の補給システムを
>完備していることが明らかと
>なりました。
スゴイ仕組みですね。
>本研究成果は、世界で初めて
>合成ポリマーを用いて
>癌幹細胞の特性を解明したもので、
>今後も更なるがん病態の解明が
>期待できます。
>また、癌幹細胞はニッチを
>自己構築する極めて利己的な
>生存戦略を有していました。
>この概念に基づけば、単純に
>ニッチを破壊するだけでは癌幹細胞
>による再構築が起こることから、
>本研究で唱されたニッチ自己構築の
>概念は、従来のニッチ
>(あるいはそれとの相互作用)を
>標的とした治療戦略に一石を投じる
>ものであり、癌根治療法の開発に
>向けて考慮すべき重要な発見です。
>今後この癌幹細胞の利己的な仕組みを
>標的とした新規がん根治療法の開発が
>期待できます(図1)。
大いに期待したい。
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