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2016年2月18日 (木)

糖鎖の新しい代謝機構を解明-細胞質の脱糖鎖酵素ENGaseの新たな機能を発見-

2016年2月16日 理化学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 細胞の中にはさまざまな構造が
ありますが、不要になったものを分解する
役割をするのは、リソソームという
小器官です。
 
 例えば、仕事が終わった糖タンパク質は
リソソームに運ばれた後、
アミノ酸と糖まで分解されます。
 
 タンパク質の翻訳後修飾の1つに
「アスパラギン残基(N)に付加される
糖鎖(N型糖鎖)」があり、
タンパク質の安定性、輸送、機能などの
制御に重要な役割を果たしています。
 
 しかし、N型糖鎖の分解が正しく
行われないと、さまざまな病気が
引き起こされます。
 
 また、近年、糖鎖の分解が
リソソーム以外の場所でも起こる
「非リソソーム分解機構」の存在が
明らかになってきましたが、
その仕組みはまだよく分かっていません。
 
 N型糖鎖の前駆体は、
ドリコールピロリン酸と呼ばれる脂質に
結合した状態で存在しています。
 
 この「ドリコール結合型糖鎖」は、
未知の酵素によって分解されて
「リン酸化糖鎖」を生じます。
 
 しかし、リン酸化糖鎖の代謝機構には
未解明な点が多く残されています。
 
 理化学研究所を中心とする
共同研究グループはまず、
ドリコール結合型糖鎖の分解産物として
その存在が知られているリン酸化糖鎖を
単離精製し、質量分析をすることで、
ドリコール結合型糖鎖のリン酸基の数が
1個であることを実験的に証明しました。
 
 また、リン酸化糖鎖が
非リソソーム分解機構に関与する
細胞質「エンド-β-N-アセチル
グルコサミニダーゼ(ENGase)」の
ノックアウトマウス由来線維芽細胞
において蓄積することを発見しました。
 
 さらに、比較的大きなリン酸化糖鎖
(マンノースが4~7個)は
著しく蓄積するのに対し、
小さいリン酸化糖鎖
(マンノースが0~3個)は
ほとんど蓄積しないことがわかりました
(図参照)。
 
 ということは、ENGaseが比較的大きな
リン酸化糖鎖の分解酵素として働いている
と考えられます。
 
 この仮説を検証するため、生化学的に
ENGaseがリン酸化糖鎖を
分解できるかどうかを調べました。
 
 その結果、ENGaseがリン酸化糖鎖を
分解できること、
およびその“基質特異性
(酵素がある特定の器質を選んで反応する
性質)”がENGase欠損細胞で蓄積する
リン酸化糖鎖の構造と一致することが
分かりました(図参照)。
 
 以上の結果から、リソソーム以外
(細胞質)でENGaseが、リン酸化糖鎖の
代謝(分解)に関わっていることが
わかりました。
 
 本研究によって、糖鎖分解の分子機構
の全容解明に一歩前進したと言えます。
 
 
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>N型糖鎖の分解が正しく行われないと、
>さまざまな病気が引き起こされます。
 
>また、近年、糖鎖の分解が
>リソソーム以外の場所でも起こる
>「非リソソーム分解機構」の存在が
>明らかになってきましたが、
>その仕組みはまだよく分かって
>いません。
 
 糖タンパク質の分解ね~
 研究は地道に一つ一つ続けていくしか
ないですね。
 
>糖鎖分解の分子機構の全容解明に
>一歩前進
 
 です。前進あるのみ。

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