カエルではじめて機能的な関節の再生に成功
2015年12月22日 京都大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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堤璃水 日本学術振興会特別研究員
(理学研究科)、阿形清和 理学研究科教授
は、山田重人 医学研究科教授との共同研究
で、これまで関節を再生することが
できないとされてきたカエルにおいて、
はじめて機能的な関節の再生を
引き起こすことに成功しました。
この発見により、哺乳類においても
機能的な関節再生の実現に向けて
新たな知見がもたらされました。
イモリとカエルは同じ両生類に
属しますが、イモリは変態後も関節再生能
を維持できるのに対し、カエルは変態する
と関節の再生能力を失うことが知られて
いました。
今回の研究ではイモリの関節再生で
見出された新たな再生原理
「残存部と再生部の組織の相互作用」を
意図的に起させるという新しい発想で、
はじめて変態後のカエルにおける
機能的な関節再生に成功しました。
この発想を応用することで、将来ヒトを
含む哺乳類においても関節再生を実現する
ことができるようになるかもしれません。
本研究成果は、米国科学誌
「Regeneration」誌に公開されました。
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研究者からのコメント
われわれは、プラナリアやイモリ
といった「再生能力の高い動物に
再生の原理を学ぶ」ことを行っています。
基礎研究ではありますが、再生医療の
実現に向けた新たな知見をもたらすものと
考えています。
プラナリアの再生からは、多能性幹細胞
をどのように操作すれば三次元構造を
もった脳や咽頭を再生できるかを学び
ました。
プラナリアでは、多能性幹細胞に
番地(位置情報と呼ばれる)を与えること
で、すなわち座標を作ることで
三次元構造が作られることを学びました
(Umesono et al., Nature 2013)。
イモリの関節再生からは、残存部と
再生部との間での組織間調和作用によって、
整合性のとれた三次元構造を再生できる
ことを明らかにしました
(Tsutsumi et al., Regeneration 2015)。
そして今回、カエルで組織間調和作用を
機能させれば、骨の構造のみならず
上腕の筋肉が下腕に伸びて腱を形成する
ことも可能であることを示しました。
この発見は将来の再生医療に
大きく貢献するものと期待しています。
なぜなら、iPS細胞などから作った
三次元構造物を傷んだ部分に移植する際、
移植したものが、残存部と整合性のある
構造物として生着する必要があるからです。
移植したものがホストとは別の構造物
にならないようにするには
どうしたら良いか、そのヒントは今回の
発見から得られるのです。
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素晴らしい研究だと思います。
>プラナリアの再生からは、多能性幹細胞
>をどのように操作すれば三次元構造を
>もった脳や咽頭を再生できるかを
>学びました。
良いですね。
学ぶべき手本はあるはずです。
今後の研究に期待したい。
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