エイズウイルスの細胞間感染の新たなメカニズムを解明
2016年1月18日
理化学研究所
熊本大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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理化学研究所(理研)統合生命医科学
研究センター粘膜システム研究グループの
大野博司グループディレクター、
環境資源科学研究センター
ケミカルバイオロジー研究グループの
長田裕之グループディレクターと
熊本大学エイズ学研究センター
・国際先端医学研究拠点施設
(鈴プロジェクト研究室)の鈴伸也教授
らの共同研究グループは、
エイズ(後天性免疫不全症候群)[1]の
原因ウイルスである「HIV-1[2]」が
細胞から細胞へと感染拡大する際の
新たなメカニズムを解明しました。
細胞膜の細い管である
細胞膜ナノチューブ
(tunneling nanotube、TNT)は、
離れた2つの細胞同士を連結することで、
細胞間の素早い物質交換を可能とする
手段として知られています。
大野グループディレクターらは
2009年に、M-Sec[3]という分子がTNTの
形成因子であることを発見しました注1)。
HIV-1は、CD4という表面分子を持つ
Tリンパ球(CD4+Tリンパ球)[4]と
マクロファージ[5]という2種類の
免疫細胞に感染します。
これらの免疫細胞の中で増殖した
新たなHIV-1は、未感染のCD4+T細胞や
マクロファージへと感染することで、
これらの免疫細胞の機能不全や減少を
引き起こし、最終的には感染者が
(あるいは個体が)免疫不全に陥ります。
このようにHIV-1が感染拡大していく
経路には、一度、HIV-1が感染細胞の外に
出て周囲の未感染細胞に感染する経路
のほかに、TNTを介してHIV-1が
感染細胞から未感染細胞に移る経路が
知られていますが、そのメカニズムは
明らかにされていませんでした。
共同研究グループは今回、HIV-1がTNT
の形成を促進することでTNTを介した
細胞間感染の効率を上げていること、
さらにTNTの形成を抑制する化合物
によりHIV-1の細胞間感染が約半分に
抑えられることを発見しました。
TNTの形成を抑制する化合物を応用する
ことで、これまでの薬剤とは異なる
作用メカニズムに基づく新たな
抗エイズ薬の開発が期待できます。
本研究は、米国の科学雑誌
『Journal of Immunology』に掲載
されるのに先立ち、オンライン版
(1月15日付け:日本時間1月16日)に
掲載されました。
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>TNTを介してHIV-1が感染細胞から
>未感染細胞に移る経路が知られています
>が、そのメカニズムは明らかにされて
>いませんでした。
エイズは今や不治の病ではなくなり
ましたが、まだ未解明な部分が残って
いたのですね。
エイズ治療薬については、
以前投稿したこの人が有名です。
熊本大学の人なので、今回の件にも
関連ありそうです。
研究に終わりは無い。
ということですね。
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