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2015年12月13日 (日)

成人T細胞白血病(ATL)のエピゲノム異常を標的とした新たな治療戦略

2015/12/11
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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発表概要
 
 ATL(注1)細胞の遺伝子発現異常の
背景にEZH1/2 (注2)依存的な
エピゲノム異常があることを
突き止めました。
 
 ATL細胞ではこのエピゲノム異常(注3)が
半数の遺伝子上で蓄積しており、
この異常の原因となるEZH1及びEZH2を
同時に阻害することによりATL細胞の
生存能を著しく低下させることが
できました。
 
 エピゲノム異常に伴う遺伝子発現異常は
解析したATL全例で確認されており、
ATL細胞に必須の性質であると
考えられます。
 
 またこの異常はATLを発症する以前の
HTLV-1(注4)感染者(キャリア)の
生体内に存在する感染細胞でも確認され、
さらにEZH1/2阻害がキャリアの感染細胞数
を減少させることも明らかにしました。
 
 これらの発見は、
非常に予後が悪く有効な治療法のない
ATLに対する革新的な新規治療法開発と、
本邦に100万人以上と予測されている
HTLV-1キャリアに対するATL発症予防に
つながる発見であると考えられます。
 
 
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 今回の研究の成果は以下の点で
重要な情報を含みます。
 
①ATLの腫瘍細胞(ATL細胞)の根本的な
 性質を明らかにし、新規治療標的を
 明らかにしたこと。
 
②新規治療標的に対する新規化合物を
 開発し、ATL細胞に有効であることを
 示したこと。
 
③HTLV-1キャリア個体内に存在する
 感染細胞を選択的に除去すること
 により、ATL発症予防という
 新たな可能性を示したこと。
 
④EZH1/2によるエピゲノム異常は、
 ATLだけでなく、他の悪性リンパ腫や
 白血病、固形癌においても
 見られる異常であり、新規化合物は
 これら一般のがんにおいても
 非常に有望であること。
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 エピゲノム研究進みましたね。
 具体的な治療法に繋がるようになって
来ました。
 
 成人T細胞白血病(ATL)の治療戦略
のみならず、一般のがんへの応用にも
期待したい。

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