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2015年12月 4日 (金)

肝細胞がんで活性化するレトロウイルス由来のRNA-肝細胞がんの病態解明、診断マーカーへの応用に期待-

2015年10月29日
理化学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 ヒトとウイルスには、切っても切れない
深い関係があります。
 
 私たちがウイルスの存在を思い知る
のは、まず感染症にかかったとき。
 
 軽い風邪や流行性のインフルエンザなど
は、一過性のウイルス感染が原因です。
 
 そして、慢性的な感染が問題となる
病気の一つが肝臓がん。
 
 肝臓がんの大半は、肝臓の細胞ががん化
する「肝細胞がん」で、主な原因が
肝炎ウイルスへの感染であることが
分かっています。
 
 病原体としてのウイルスは、外界から
私たちの体に入り込み、細胞の中で
増えて、また外に出て行くことで
感染を広げていきます。
 
 ヒトの長い進化の過程でこのような
ウイルス感染が繰り返された結果、
私たちのDNAの中には、ウイルスが
入り込んだ痕跡であるウイルス由来の配列
が多数含まれることになりました。
 
 その中で最も多く見つかるのが、
レトロウイルスと呼ばれるRNAウイルス
の仲間に特徴的な配列です。
 
 レトロウイルスはエイズの原因である
ヒト免疫不全ウイルスを含む怖い
ウイルス群ですが、ヒトゲノムに残る配列
は断片化して機能しておらず、
病気を起こさないかわりに何の役にも
立たない存在と思われていました。
 
 しかし、理研の研究チームが
ヒトゲノムで機能している可能性のある
配列を徹底的に調べたところ、
実はレトロウイルス由来の配列も
転写されて、RNAが作られていることが
分かってきました。
 
 ただし、遺伝子配列から転写された
RNAがタンパク質を作るのに対し、
レトロウイルス由来の配列はタンパク質の
情報を持たないため、その機能が
よく分かりません。
 
 そこで、2つの異なる細胞で発現する
RNAを比較して、どちらでどのRNAが
多いかなどの情報を手がかりに研究を
進めています。
 
 今回、理研の研究チームは、
正常な細胞と病気の細胞の違いを調べる
ために、肝細胞がんにかかった患者の
肝臓組織から正常細胞とがん化した細胞
を取り出して、そこに含まれるRNAを
比較しました。
 
 その結果、がん細胞では正常細胞に
比べて、レトロウイルス由来の配列が
多くRNAに含まれていることが
分かりました。
 
 また患者ごとの症状で比較すると、
がんの悪性度が高いとこれらのRNAの量
も多く発現していました。
 
 肝細胞がんの特徴の一つとして、
レトロウイルス由来の配列が盛んに
転写されていることを示す発見であり、
肝細胞がんを診断するための指標
(マーカー)として応用できるかも
しれません。
 
 一方、レトロウイルス由来の配列が
転写されることが、がん化の原因なのか、
それとも結果なのかはまだ分かりません。
 
 私たちの細胞に残された
「内なるレトロウイルス」が、
現在も活動している「肝炎ウイルス」と
どのように関わっているのか、
解き明かしていきたいと考えています。
 
 
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 レトロウイルス由来の配列は肝細胞がん
を診断するための指標(マーカー)として
応用できるかもしれませんね。
 
>私たちの細胞に残された
>「内なるレトロウイルス」が、
>現在も活動している「肝炎ウイルス」と
>どのように関わっているのか、
>解き明かしていきたいと考えています。
 
 研究はこれからが始まりということ
のようです。
 
 どんな結果が待っているのか期待して
待ちましょう。

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