より高い超伝導臨界温度を実現する物質設計に新指針
-超省エネルギー社会を可能にする
室温超伝導を目指して-
2015/12/01 産業技術総合研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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理化学研究所(理研)創発物性科学研究
センター強相関量子伝導研究チームの
山本文子客員研究員、強相関物性
研究グループの寺倉千恵子技師、
十倉好紀グループディレクターと、
産業技術総合研究所(産総研)電子光
技術研究部門の竹下直主任研究員の
共同研究グループは、高温超伝導銅酸化物
の高圧力下電気抵抗測定の結果から、
より高い超伝導臨界温度を実現する
物質設計に新たな指針を示しました。
共同研究グループは、現在、大気圧下で
最も高いTc(現時点でマイナス140℃程度)
を示す高温超伝導銅酸化物のTcを
さらに上昇させようと試みました。
超伝導物質に高い圧力をかけながら
その電気抵抗を測定し、圧力による
Tcの変化を調べました。
その結果、大気圧で最も高いTcを示す
化学組成よりも、ホール(正孔)などの
キャリアの少ない組成のほうが、
高圧力下でより高いTcになることが
明らかになりました。
このことは、小さい元素への置き換えや
薄膜化などによって擬似的な圧力が
実現できれば、大気圧下でも、
よりTcの高い超伝導体が得られる
可能性があることを示します。
今回、共同研究グループが見いだした
知見は、今後の新しい超伝導物質開発の
新たな指針となりうるものです。
もし、Tcを室温レベルまで引き上げる
ことができれば、エネルギーロスを
極限まで抑えた“超省エネルギー社会”が
実現できます。
本研究を受けて、今後、精力的な
新超伝導材料開発が加速すると期待
できます。
本研究の一部は、独立行政法人
日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究
(B)「制御された異方的超高圧力下の
物理」(研究代表:竹下直)および
同補助金基盤研究(B)「高圧力磁気測定
の技術開発がもたらす磁性・超伝導材料
研究のブレイクスルー」(研究代表
:美藤正樹)の助成を得て行われました。
成果は、英国のオンライン科学雑誌
『Nature Communications』
(12月1日付け:日本時間12月1日)に
掲載されます。
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画期的な指針だと思います。
良いヒントになりそうです。
>大気圧で最も高いTcを示す
>化学組成よりも、ホール(正孔)
>などのキャリアの少ない組成のほう
>が、高圧力下でより高いTcになる
>ことが明らかになりました。
考えても見なかったこと?
これを機会にいろいろな角度から
見直す必要がありそうですね。
常温超伝導の実現はまだまだ先の
話しになると思いますが、挑戦に期待
しています。
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