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2015年12月12日 (土)

神経難病が起こる仕組みを解明~多発性硬化症の新しい治療法に道~

平成27年12月9日
東京大学
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○多発性硬化症は、中枢神経系の組織に
 免疫細胞が侵入して神経を傷つけた結果、
 視力障害や感覚障害、運動麻痺などの
 神経症状が起こる自己免疫疾患です。
 本研究により、多発性硬化症において
 多数の免疫細胞が中枢神経組織に侵入
 する仕組みを明らかにしました。
 
○多発性硬化症では、病原性のT細胞が
 産生するRANKL(ランクル)という
 サイトカインが、中枢神経組織の
 アストロサイトに働きかけて、
 ケモカインの放出を促すため、
 多数の免疫細胞が中枢神経組織に
 集積し炎症が起きることが
 分かりました。
 
○マウスの多発性硬化症モデルにおいて、
 RANKLの活性を低下させるような
 低分子阻害剤が高い治療効果を示す
 ことが分かり、今後RANKLを
 標的とした新しい治療アプローチの
 開発が期待されます。
 
 
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 免疫系は病原菌やウイルスなどの異物を
認識し排除するシステムですが、
時には私たちの身体の一部を異物と
誤認してしまい、自己組織を攻撃し
炎症を引き起こすことがあります。
 
 多発性硬化症は、脳や脊髄といった
中枢神経系注1)が免疫系によって
攻撃を受ける自己免疫疾患であり、
視力障害や運動麻痺などの神経症状が
起きます。
 
 患者数が全世界で約250万人に及ぶ
難病の神経疾患で、いまだ根治療法が
存在しません。
 
 健常状態では、中枢神経組織内に
血液中の有害物質が侵入できないように、
血液脳関門注2)と呼ばれる特殊な
バリア機構が存在するため、免疫細胞は
簡単に侵入できません。
 
 しかし、多発性硬化症では、たくさんの
炎症性細胞注3)が中枢神経組織に
侵入し集積してしまいます。
 
 多発性硬化症で、炎症性細胞が
血液脳関門を通り抜けて中枢神経組織に
集まる理由は、これまでよく分かって
いませんでした。
 
 この度、東京大学 大学院医学系研究科
病因・病理学専攻 免疫学分野の
Matteo M.Guerrini 
学術支援職員(研究当時)と
岡本 一男 助教、高柳 広 教授らの
研究グループは、
マウスの多発性硬化症モデルである
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)注4)
の解析から、病原性T細胞注5)が
発現するサイトカイン注6)RANKLが、
中枢神経組織のアストロサイト注7)を
刺激してケモカイン注8)を放出させる
ため、多数の免疫細胞が呼び寄せられ、
炎症が起こることを突き止めました。
 
 さらに、RANKLの低分子阻害剤を
マウスに経口投与することで、
EAEの発症を抑えることができました。
 
 従って、RANKLを阻害する
治療アプローチが多発性硬化症に
有効であることが分かりました。
 
 本研究は日本学術振興会
科学研究費補助金、科学技術振興機構
戦略的創造研究推進事業
「高柳オステオネットワークプロジェクト」
(研究総括:高柳 広)、
ならびに日本医療研究開発機構
難治性疾患実用化研究事業などの一環で
行われました。
 
 本研究成果は、2015年12月8日
(米国東部時間)に米国科学誌
「Immunity」のオンライン速報版
で公開されます。
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 Good Newsです。
 
>自己に反応する病原性T細胞が
>血液脳関門を通過して
>中枢神経組織に侵入、
>RANKL(ランクル)という
>サイトカインを産生、
>RANKLが中枢神経組織の
>アストロサイトに働きかけて、
>ケモカインの放出を促すため、
>多数の免疫細胞が中枢神経組織
>に集積し炎症が起きることが
>分かりました。
 と言うことのようです。
 
>今後RANKLを標的とした
>新しい治療アプローチの開発が
>期待されます。
 
 今回の研究は、T細胞輸送を標的とした
新しい治療アプローチになると思います。
 
 今回の研究は、
>この方向に、さらなる飛躍をもたらす
>ものと期待されます。
 
 期待しましょう。
 
 残念ながら根治治療までには
至らないようですが、
今までより、より有効性の高い治療薬
の登場が期待できそうです。
 
 関連投稿です。
こちらはth17細胞に注目したものですね。
2013年2月23日

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