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2015年11月26日 (木)

自然リンパ球によるアレルギー抑制機構を解明-アレルギー疾患の新しい治療法への道を開く-

2015年11月24日
理化学研究所
科学技術振興機構
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 理化学研究所(理研)統合生命医科学
研究センター自然免疫システム
研究チームの茂呂和世チームリーダーと
免疫細胞システム研究グループの
小安重夫グループディレクター、
慶應義塾大学医学部呼吸器内科学教室の
加畑宏樹助教と別役智子教授らの
共同研究チーム※は、自然リンパ球[1]
によって発症するアレルギー炎症を
抑制するメカニズムを解明しました。
 
 2010年、茂呂チームリーダー、
小安グループディレクターらの
共同研究チームは、新しいリンパ球
「ナチュラルヘルパー細胞(NH細胞)[2]」
を発見しました注1)。
 
 それ以降、さまざまな類似する細胞が
報告され、今ではこれらを
「2型自然リンパ球(ILC2s)」と
呼んでいます。
 
 ILC2sの発見により、これまで広く
知られてきたT細胞[3]やB細胞[3]、
IgE[3]を介したアレルギー反応とは
異なる、ILC2sを介したアレルギー反応
(自然アレルギー)が存在することが
明らかになりました。
 
 一方、どうすればILC2sの活性化を
抑制できるのか、どのようにILC2s
による炎症反応が収束するかは明らかに
されていませんでした。
 
 共同研究チームは、アレルギー疾患を
根本的に治療するためには、ILC2sの
抑制メカニズムを解明する必要があると
考え、ILC2sを抑制するサイトカイン[4]を
探索し、1つずつスクリーニングしました。
 
 その結果、共同研究チームは
インターフェロン(IFN)と
インターロイキン-27(IL-27)と
呼ばれる2つのサイトカインがILC2sの
増殖・機能を抑制することを発見しました。
 
 さらに、喘息のモデルマウスにIFN
あるいはIL-27を投与したところ、肺での
ILC2sの増殖を強く抑えることができ、
喘息の炎症症状である、好酸球[5]浸潤や
粘液過剰分泌、気道過敏性を抑えることに
成功しました。
 
 また、寄生虫感染についても、虫体が
体外に排出された後、IFNとIL-27が
ILC2sの活性化を抑え、炎症を収束させる
ことが明らかとなりました。
 
 ILC2sは、皮膚や腸管、肺など、
アレルギー疾患と関わりの深い部位に
存在することから、アトピー性皮膚炎、
食物アレルギー、喘息など、多様な
アレルギー性疾患に関わっていると
考えられます。
 
 これまで見過ごされてきた、
自然アレルギーという概念を考慮すること
で、今後、アレルギーの
発症・増悪メカニズムの解明や
新しい治療法の開発が可能になると
期待されます。
 
 本研究は、科学技術振興機構(JST)
戦略的創造研究推進事業の一環として
行われました。
 
 成果は、国際科学雑誌
『Nature Immunology』オンライン版
(11月23日付け:日本時間11月24日)に
掲載されます。
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 「2型自然リンパ球(ILC2s)」ね~
 
 アレルギーは曲者です。
 
>今後、アレルギーの
>発症・悪化メカニズムの解明や治療法の
>確立を目指すために、
>これまで見過ごされてきた
>自然アレルギーという概念を包含して
>考える必要があります。
 
>ILC2sの活性化機構や分化機構が次々と
>報告される中、これまで明らかに
>なっていなかった抑制機構を
>解明できたことは大きな前進です。
 
>ILC2sは皮膚や腸管、肺など
>アレルギー疾患と関わりの深い部位に
>存在することが分かっていることから、
>アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、
>喘息など多様なアレルギー性疾患に
>関わっていると考えられ、
>今回の成果をもとに各組織における
>アレルギー性炎症のメカニズムを
>解析していくことで、
>アレルギー性疾患の画期的な
>治療法開発につながるのではないかと
>思われます。
 
 簡単に解決するとは思えませんが、
新しい知見を得たことに期待したい。

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