自然リンパ球によるアレルギー抑制機構を解明-アレルギー疾患の新しい治療法への道を開く-
2015年11月24日
理化学研究所
科学技術振興機構
詳細は、リンクを参照して下さい。
---------------------------------------
理化学研究所(理研)統合生命医科学
研究センター自然免疫システム
研究チームの茂呂和世チームリーダーと
免疫細胞システム研究グループの
小安重夫グループディレクター、
慶應義塾大学医学部呼吸器内科学教室の
加畑宏樹助教と別役智子教授らの
共同研究チーム※は、自然リンパ球[1]
によって発症するアレルギー炎症を
抑制するメカニズムを解明しました。
2010年、茂呂チームリーダー、
小安グループディレクターらの
共同研究チームは、新しいリンパ球
「ナチュラルヘルパー細胞(NH細胞)[2]」
を発見しました注1)。
それ以降、さまざまな類似する細胞が
報告され、今ではこれらを
「2型自然リンパ球(ILC2s)」と
呼んでいます。
ILC2sの発見により、これまで広く
知られてきたT細胞[3]やB細胞[3]、
IgE[3]を介したアレルギー反応とは
異なる、ILC2sを介したアレルギー反応
(自然アレルギー)が存在することが
明らかになりました。
一方、どうすればILC2sの活性化を
抑制できるのか、どのようにILC2s
による炎症反応が収束するかは明らかに
されていませんでした。
共同研究チームは、アレルギー疾患を
根本的に治療するためには、ILC2sの
抑制メカニズムを解明する必要があると
考え、ILC2sを抑制するサイトカイン[4]を
探索し、1つずつスクリーニングしました。
その結果、共同研究チームは
インターフェロン(IFN)と
インターロイキン-27(IL-27)と
呼ばれる2つのサイトカインがILC2sの
増殖・機能を抑制することを発見しました。
さらに、喘息のモデルマウスにIFN
あるいはIL-27を投与したところ、肺での
ILC2sの増殖を強く抑えることができ、
喘息の炎症症状である、好酸球[5]浸潤や
粘液過剰分泌、気道過敏性を抑えることに
成功しました。
また、寄生虫感染についても、虫体が
体外に排出された後、IFNとIL-27が
ILC2sの活性化を抑え、炎症を収束させる
ことが明らかとなりました。
ILC2sは、皮膚や腸管、肺など、
アレルギー疾患と関わりの深い部位に
存在することから、アトピー性皮膚炎、
食物アレルギー、喘息など、多様な
アレルギー性疾患に関わっていると
考えられます。
これまで見過ごされてきた、
自然アレルギーという概念を考慮すること
で、今後、アレルギーの
発症・増悪メカニズムの解明や
新しい治療法の開発が可能になると
期待されます。
本研究は、科学技術振興機構(JST)
戦略的創造研究推進事業の一環として
行われました。
成果は、国際科学雑誌
『Nature Immunology』オンライン版
(11月23日付け:日本時間11月24日)に
掲載されます。
---------------------------------------
「2型自然リンパ球(ILC2s)」ね~
アレルギーは曲者です。
>今後、アレルギーの
>発症・悪化メカニズムの解明や治療法の
>確立を目指すために、
>これまで見過ごされてきた
>自然アレルギーという概念を包含して
>考える必要があります。
>ILC2sの活性化機構や分化機構が次々と
>報告される中、これまで明らかに
>なっていなかった抑制機構を
>解明できたことは大きな前進です。
>ILC2sは皮膚や腸管、肺など
>アレルギー疾患と関わりの深い部位に
>存在することが分かっていることから、
>アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、
>喘息など多様なアレルギー性疾患に
>関わっていると考えられ、
>今回の成果をもとに各組織における
>アレルギー性炎症のメカニズムを
>解析していくことで、
>アレルギー性疾患の画期的な
>治療法開発につながるのではないかと
>思われます。
簡単に解決するとは思えませんが、
新しい知見を得たことに期待したい。
| 固定リンク
「医療関連ニュース」カテゴリの記事
- iPS細胞由来の免疫キラーT細胞を用いることで悪性リンパ腫の治癒に成功〜難治性NK細胞リンパ腫に対する新規細胞治療法へ期待〜 (2019.10.14)
- 炎症反応を強力に抑える活性イオウ誘導体の開発に成功(2019.04.16)
- 皆保険制度の国で在住外国人に健康格差の懸念 ~ 富裕層対象の医療政策導入で悪化の恐れ日本人医師グループが英医学誌で注意を促す ~(2019.03.13)
- 脳腫瘍に対するウイルス療法の医師主導治験で高い治療効果を確認―日本初のがん治療ウイルス薬の製造販売承認申請へ―(2019.02.18)
- 国内初の医師向けオンライン診療手引書が完成 -安全で質の高い遠隔医療の普及に向けて-(2019.01.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント