アルツハイマー認知症の病態に潜む悪循環メカニズムを解明
2015年11月12日
国立精神・神経医療研究センター
プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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国立研究開発法人 国立精神・神経
医療研究センター(NCNP)神経研究所
疾病研究第6部の室長 荒木 亘らの
研究グループは、アルツハイマー病の
発病や病態進行プロセスに、
βセクレターゼ(BACE1)という
蛋白分解酵素の異常が関わる
悪循環メカニズムが潜んでいることを
発見しました。
アルツハイマー認知症
(アルツハイマー病)は、脳内に異常蛋白
であるアミロイドベータタンパク(Aβ)
が蓄積して発病することが知られています。
特に、最近の診断技術の進歩により、
発病より10~20年前からAβの蓄積が
始まっており、次第にその程度が増悪して
いくことがわかってきました。
Aβは正常でも神経細胞から産生されて
いますが、どのように蓄積が始まるのか、
どのように蓄積が進んでいくのか
については、いまだ十分な解明が
なされていません。
一方、Aβの前駆物質である
アミロイド前駆体を切断して、Aβを産生
する働きを持つBACE1という蛋白分解酵素
の発現がアルツハイマー病の脳で上昇して
いることから、病態との関連が示唆されて
います。
しかし、その上昇のメカニズムは
明確ではありませんでした。
研究グループは、アルツハイマー認知症
の病態をよく反映している神経細胞モデル
を使って、AβとBACE1の関係について
研究を行いました。
その結果、Aβの分子が集合したもの
(Aβオリゴマー)で神経細胞を刺激する
と、細胞障害性の変化が起こるとともに、
BACE1のレベルが増加することが
示されました。
そしてその増加は、神経細胞の突起部分
で顕著に起こっていることを初めて
突き止めました。
この発見から、アルツハイマー病では、
Aβの集合体が神経細胞に作用し、
神経突起部でBACE1の上昇をきたすこと、
その結果、BACE1の活性が上がり、
より多くのAβが産生されるようになる
悪循環メカニズムが形成されていることが
分かりました。
この悪循環のメカニズムは、発病の
プロセスや、病状の進行に関わっている
ことが考えられ、アルツハイマー病の
治療の観点からも、きわめて重要な知見
といえます。
本研究は、筑波大学 玉岡晃教授、
東京都医学総合研究所 亀谷富由樹博士
との共同研究として行われたもので、
研究成果は国際科学雑誌
「Molecular Brain」に、オンライン版で
2015年11月9日午後9時に掲載されました。
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きわめて重要な知見のようです。
>今回の研究から、AβとBACE1の間の
>深い関連性が明らかとなり、
>BACE1を標的にした創薬の重要性が
>高まりました。
>悪循環によりAβ産生が増幅することを
>考慮すると、より早期で病状の軽い段階
>(軽度認知障害と呼ばれる認知症の
>予備状態)で治療を開始すれば、
>病気の進行をくい止めることができる
>可能性が考えられます。
>現在、いくつかのBACE1阻害剤の
>認知症に対する臨床治験が行われて
>おり、その結果が待たれています。
大いに期待したい。
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