« 「京」にて現実大気の世界最大規模アンサンブルデータ同化に成功-天気予報シミュレーションの精度向上へ- | トップページ | ヒト培養細胞内でたんぱく質の大量合成に成功~環状mRNAを用いた終わりのない回転式たんぱく質合成反応を実現~ »

2015年11月12日 (木)

汎用性のあるセルロースの高強度ゲル形成プロセスの発見~脱石油由来の水処理用部材に適用へ~

平成27年11月10日
信州大学 アクア・イノベーション拠点
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
---------------------------------------
ポイント
 
○セルロースを石油や酸やアルカリを
 用いる化学処理を必要としない方法で
 加工し、高強度なセルロース材料として
 自由に様々な形態に成形できることを
 発見しました。
 
○加工したセルロース材料から、
 水と不純物を分離する中空糸膜の成形
 にも成功。石油由来の材料を使わず、
 ヒトや自然にやさしい水処理用部材の
 開発への応用が期待できます。
 
○本研究成果は、Nature社の
 電子版科学誌「Scientific
 Reports*」に掲載されました。
 
 
-----
 セルロースは植物組織の構成成分の
三分の一を占め、地球上に最も多く
存在する有機再生可能資源で、
しかも化石資源に依存せずに入手が
可能です。
 
 このため、19世紀半ばに木材パルプを
主原料とするレーヨンが発明されて以来、
さまざまなセルロースの成形手法が
開発され、人類は再生繊維など
セルロース由来の製品を多く利用して
きました。
 
 しかしながら、セルロースは、
分子間の強固な水素結合のため
溶解させるのが難しく、セルロースを
多様な形態に成形するには、
二硫化炭素等の環境負荷の高い溶媒を
用いる、もしくは誘導体化による
溶解性の付与が必要でした。
 
 2002年にSwatloskiら
注1)によってセルロースが環境負荷の
低いイオン性液体注2)に溶解できること
が報告されて以来、セルロースを
溶解できるさまざまなイオン性液体が
開発されました。
 
 その中でも、東京農工大学の
大野 弘幸 教授らが開発した
N-ethyl-N’
-methylimidazolium
 methylphosphonate
([C2mim][(MeO)(H)
PO2])は、低い温度で比較的
高い濃度のセルロースを溶解することが
できます。
 
 本研究では、市販のイオン性液体
[C2mim][(MeO)(H)
PO2]を用いました。
 
 実験では、木材由来パルプを
イオン性液体に溶解させ、溶解した液を
型に流し込みアルコール蒸気に
1時間程度晒すことで、セルロース間に
部分的な水素結合が生じ、
溶液全体が固化(ゲル化)しました。
 
 さらに、得られたゲルを水に漬けること
で溶媒が置換され、水を95%以上含む
セルロースハイドロゲルを創成することに
成功しました(図1)。
 
 得られたゲルは、寒天に比べ非常に高い
強度を持ち、取り扱いや化学的修飾が容易
で、生分解性注3)があり、
マイクロメーターサイズのパターン形成が
可能なことなど、高い機能性を持つこと
を確認しました。
 
 さらに、アルコール蒸気を用いた
湿式紡糸法注4)によって、95%の水を
含むセルロースハイドロゲルを連続的に
紡糸することに成功しました(図2)。
 
 得られたセルロースハイドロゲルの糸
は、結ぶことができ、織りのプロセス
によってセルロースハイドロゲル繊維
からなる二次元状の布に成形することにも
成功しました。
 
 さらに、紡糸のプロセスでハイドロゲル
の繊維を引っ張る(延伸)ことで、
得られる繊維の強度が大幅に向上できる
ことを見出しました。
 
 これは、延伸によりセルロース分子の
配列が一方向に整ったことによるもの
です。
 
 また、ストロー状の中空糸注5)への
成形にも成功し、膜としての高い透水性
を確認しました。
 
 これにより、本方法による
再生セルロースの中空糸膜への展開が
可能となりました。
 
 本研究の成果を総括すれば、
再生可能資源であるセルロースを
イオン性液体に溶解させ、段階的に溶媒を
置き換えることによって、用途に合わせた
形に成形できることが見出されたと
言えます。
 
 得られた成形体は、生分解性を保ちつつ
高い強度を持ち、温度やpHなどの変化
によって物性が変わらないなど
高いロバスト(頑強)性を示しました。
 
 さらに、成形に用いたイオン性液体は
ほぼ完全に回収・再利用が可能であり、
クリーンかつ省エネルギーの
セルロース成形プロセスの確立が
期待できます。
 
 成形手法の高度化によって
再生セルロース膜内のサブナノ孔構造
注6)制御も可能です。
 
 今後はナノ構造を制御した
セルロース中空糸膜をモジュール化し、
水処理プロセスへの応用について
研究を進めていきます。
---------------------------------------
 
>脱石油由来の水処理用部材に適用へ
 良いですね。
 
>本研究の成果を総括すれば、
>再生可能資源であるセルロースを
>イオン性液体に溶解させ、
>段階的に溶媒を置き換えることに
>よって、用途に合わせた形に成形
>できることが見出されたと
>言えます。
 
>さらに、成形に用いたイオン性液体は
>ほぼ完全に回収・再利用が可能であり、
>クリーンかつ省エネルギーの
>セルロース成形プロセスの確立が
>期待できます。
 
 素晴らしい。
 
 いつまでも石油依存では駄目です。
 持続可能でなければそのうち
破綻します。
 
 大いに期待したい。

|

« 「京」にて現実大気の世界最大規模アンサンブルデータ同化に成功-天気予報シミュレーションの精度向上へ- | トップページ | ヒト培養細胞内でたんぱく質の大量合成に成功~環状mRNAを用いた終わりのない回転式たんぱく質合成反応を実現~ »

科学関連ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/210730/62663895

この記事へのトラックバック一覧です: 汎用性のあるセルロースの高強度ゲル形成プロセスの発見~脱石油由来の水処理用部材に適用へ~:

« 「京」にて現実大気の世界最大規模アンサンブルデータ同化に成功-天気予報シミュレーションの精度向上へ- | トップページ | ヒト培養細胞内でたんぱく質の大量合成に成功~環状mRNAを用いた終わりのない回転式たんぱく質合成反応を実現~ »