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2015年10月 2日 (金)

糖分を細胞内に輸送する膜たんぱく質の立体構造と動きを解明

~肥満やがんの抑制策に役立つ
新たな知見~
平成27年10月1日
京都大学
科学技術振興機構(JST)
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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ポイント
 
○抗体を用いる独自の結晶化技術により、
 ヒト・哺乳類において糖分子を細胞内に
 輸送する膜たんぱく質の立体構造を
 解明した。
 
○膜たんぱく質が柔軟に立体構造を
 変化させて、特定の糖分子を選択的に
 細胞内に取り込む仕組みが分かった。
 
○肥満やがんを抑制する薬剤の分子設計
 などにつながる基盤情報が得られた。
 
 
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 京都大学 大学院医学研究科 野村 紀通
助教、岩田 想 教授らは、
ヒト・哺乳類において細胞内に果糖を
選択的に輸送するGLUT5
(グルットファイブ)注1)という
膜たんぱく質の立体構造を解析し、
GLUT5が細胞膜において細胞の外側に
向けて開いた状態(以下、「外開き」)と
内側に向けて開いた状態
(以下、「内開き」)の2つの立体構造を
介して果糖を細胞内に輸送していることを
明らかにしました。
 
 ブドウ糖や果糖などの糖分子は生命維持
に必須ですが、食物中の糖分子は糖輸送体
という膜たんぱく質を介して、細胞内に
取り込まれてエネルギーなどへ
変換されます。
 
 この糖輸送体のうち、促進拡散によって
糖分子を輸送する膜たんぱく質
(GLUT)は、肥満や糖尿病だけでなく、
がんの細胞増殖制御にも関与していること
が知られています。
 
 本研究グループでは、抗体フラグメント
注2)を結晶化の促進因子として用いる
独自技術により、ヒトのGLUT5と
よく似ているラットのGLUT5を
結晶化することに成功し、その立体構造を
原子レベルで解明しました。
 
 得られた立体構造は、GLUT5が
外開きの状態であり、細胞の外からの
果糖の流入・結合を待ち受けている構造
と考えられます。
 
 また、ウシのGLUT5を結晶化し、
立体構造を解明することにも
成功しました。
 
 この立体構造は内開きの状態で、
GLUT5が細胞内に果糖を放出して
輸送を終えた瞬間の構造と考えられます。
 
 さらに、これらの立体構造を比較した
ところ、GLUT5を構成する2つの
大きな部位が開閉するだけでなく、
それらの部位の内部でも局所的な
構造変化が起こることで、一度結合した
果糖を細胞外に逃さずに効率良く細胞内
に送り込むためのゲートが形成される
ことが明らかになりました。
 
 これらの立体構造の情報は、
GLUT5の輸送活性を阻害するための
薬剤の分子設計に重要な指針を与えるもの
であり、今後、肥満や生活習慣病の
予防・治療薬やがん細胞のマーカーなどの
開発につながることが期待されます。
 
 今回の研究開発は、JST戦略的
創造研究推進事業による支援を受けて
います。
 
 また、本研究は
スウェーデン王国・ストックホルム大学の
David Drew(デイビット
 ドリュー)博士らとの国際共同研究チーム
で行ったものです。
 
 本研究成果は、2015年9月30日
(英国時間)に英国科学誌
「Nature」のオンライン速報版で
公開されます。
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 おめでとうございます。
 ずいぶん長い間未知の状態だったよう
です。
 
>GLUT5において果糖が結合する
>部位の立体構造情報と、果糖を輸送する
>仕組みが明らかになったことで、
>GLUT5の輸送活性を阻害する、
>あるいは調節できる薬剤の探索や
>分子設計が可能になると考えられます。
 
>また、今回明らかになった立体構造を
>もとに、基質輸送に伴う輸送体の
>構造変化を計算機上でシミュレーション
>および再現することにより、輸送体の
>機能や分子機構をより深く理解できる
>ようになると考えられます。
 
>本研究グループが開発した
>抗体フラグメント作製技術により、
>これまで立体構造解析が難しかった
>多くの膜たんぱく質の結晶化および
>構造解析をより迅速に実施できる
>ものと期待されます。
 
 期待しましょう。
 
 これから益々分子レベルの解析が重要
となって行くものと思われます。

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