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2015年8月30日 (日)

ヒトの細胞間相互作用ネットワークの概要を可視化-多細胞生物を構成する細胞の相互作用を体系的に記述-

2015年7月27日 理化学研究所
 
詳細は、リンクを参照して下さい。
 
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 理化学研究所ライフサイエンス技術基盤
研究センター ゲノム情報解析チームの
ピエロ・カルニンチ チームリーダー、
ジョーダン・ラミロフスキー特別研究員、
アリスター・フォレスト客員主管研究員
らの研究チームは、細胞が互いに
コミュニケーションする際に用いる
タンパク質の大規模な発現解析を行い、
ヒトで機能している細胞間相互作用の
概要を可視化することに成功しました。
 
 単細胞生物から多細胞生物への進化は、
生物進化における最大の変化の1つです。
 
 多数の細胞が協調して1つの個体を
作り上げ、その体を維持していくため
には、細胞間コミュニケーション
(細胞間相互作用)が非常に重要です。
 
 細胞間相互作用は、細胞から分泌される
ホルモンや成長因子などのリガンド[1]と、
細胞膜表面に存在する受容体と呼ばれる
タンパク質の相互作用によって担われて
おり、特定の生命現象に関わるリガンドや
受容体の研究が精力的に行われています。
 
 しかし、これらのほとんどは数種類の
細胞による限られたリガンド-受容体の
ペアに着目したもので、細胞同士の
相互作用の全体像を体系的に記述した
報告はありませんでした。
 
 研究チームは、ヒトで報告されている
リガンド-受容体1,894ペアに焦点をあて、
ヒトの初代細胞[2]での発現を網羅的に
解析しました。
 
 その結果、ほとんどの細胞が数十種から
数百種のリガンドや受容体を発現し、
複数のリガンド-受容体経路を介した
細胞間相互作用ネットワークを構築して
いることが明らかとなりました。
 
 さらに、リガンドや受容体は細胞種
によって特異的に発現する傾向が
非常に強いこと、多くのリガンド-受容体
のペアが自身と同種の細胞を標的として
いる(自己分泌シグナル伝達)可能性が
高いことなどが分かりました。
 
 これは、ヒトにおける細胞同士の
相互作用の全体像を可視化した初めての
研究であり、この成果を利用することで、
未知の細胞間相互作用の予測などに
役立つと期待できます。
 
 研究チームは、リガンド-受容体ペアが
形成するネットワークの関係をユーザーが
検索し可視化できるツールを構築し、
インターネット上で公開しました注1)。
 
 本研究は、理研が主導する
国際研究コンソーシアムFANTOM5
プロジェクトの一環として実施しました。
 
 データのダウンロードやツール、
関連論文などは、FANTOM5
プロジェクトホームページ注2)に掲載して
います。
 
 成果は、英国のオンライン科学雑誌
『Nature Communications』
(6月22日付け:日本時間6月22日)に
掲載されました。
 
 
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今後の期待
 
 リガンドと受容体についての
データベースDLRP、HPMRは、いずれも
10年以上前に構築され、その後十分に
アップデートされていませんでした。
 
 今回、これらのデータベースの情報を
検証しつつ、最新のリガンド-受容体ペア
の情報を反映したことで、
従来データベースに記載のあった
1,179種類の1.5倍以上にあたる1,849種類
の、より信頼性の高いリガンド-受容体ペア
がリスト化できました。
 
 これにより、ヒトの細胞間相互作用を
網羅的に解析し、その概要を世界で初めて
可視化することに成功しました。
 
 さらにこの成果を研究者コミュニティと
共有し、多様な目的に使いやすい
インターフェースとともに提供したことで、
多細胞生物の根源的な理解に向けた
研究基盤となります。
 
 医学研究の観点からは、細胞膜上に露出
している受容体が重要な創薬ターゲットと
なることが知られています。
 
 今回の成果は、さまざまな疾患の
創薬ターゲットの探索において、強力な
研究開発支援ツールとなることが
期待できます。
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 素晴らしい研究です。
 
>多細胞生物の根源的な理解に向けた
>研究基盤となります。
 
>医学研究の観点からは、
>さまざまな疾患の創薬ターゲットの
>探索において、強力な研究開発支援
>ツールとなることが期待できます。
 良いですね。
 
 期待しています。

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