先端医療振興財団、アルツハイマー病の新たなターゲット分子を発見
2015年8月1日 財経新聞
詳細は、リンクを参照して下さい。
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先端医療振興財団は28日、同財団の
星美奈子客員上席研究員らの研究グループ
が、アルツハイマー病の脳で起こる
神経細胞死の新たなターゲット分子を
発見したと発表した。
これまで不明だった神経細胞死の
メカニズムがひとつ明らかになり、
アルツハイマー病治療薬の開発に役立つ
ことが期待されるという。
この研究成果は
米国科学アカデミー紀要「PNAS」の
電子版に掲載された。
星らの研究チームはこれまでに、
「アミロイドβ」が約 30 個集まって
直径10-15nm のサイズの球状構造を
取ることで強い神経毒性を持つように
なることを発見し、この新たな球状構造体
を「アミロスフェロイド
(amylospheroids、以下ASPD)」と
名付けた。
さらに、ASPDを選択的に認識する抗体を
作製し、この抗体を用いることで、
アルツハイマー病患者脳内からASPDを
単離する方法を確立した。
今回、これらの成果をさらに発展させる
ことで、神経細胞死におけるASPDの
ターゲットが、神経の生存と機能に極めて
重要な役割を果たしているシナプス
タンパク質「Na+、 K+-ATPaseポンプの
α3 サブユニット(以下 NAKα3)」
であることを初めて発見した。
ASPD の結合により NAKα3 の機能が
低下し、神経細胞が過剰に興奮すること
で、神経細胞は死に至る。
このような神経細胞の過剰興奮は、
アルツハイマー病患者脳で神経細胞死が
起きる初期の現象として報告されていた
が、そのメカニズムは不明だった。
研究グループは、ASPD に結合する
4 アミノ酸のペプチドを発見し、
この ASPD 結合ペプチドが ASPD 表面を
覆い隠すことで、ASPD と NAKα3 との
相互作用を阻止し神経細胞死を抑制する
ことが出来ることも発見した。
その結果、ASPD 結合ペプチドの
分子サイズは低分子化合物に匹敵するほど
小さく、アルツハイマー病で起こる
神経細胞死に対する新たな治療薬開発に
つながることが期待されるという。
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有望そうな発見ですね。
アルツハイマー病は、なかなか決定的
な治療薬が出てこず、いまいちな状態
でしたがこれで一歩前進するかな?
タウ蛋白の話しはどうなるのかな?
>臨床応用については、ASPD 自体を
>ワクチンとして用いる免疫療法、
>そして、ASPD結合ペプチドから
>低分子治療薬を開発する方法の
>主に2つの戦略について、京都大学発
>ベンチャーである
> TAO ヘルスライフファーマ株式会社
>において今後進めていく予定だという。
期待したい。
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