肥満によって炎症性疾患のリスクが高まる原因分子を発見
平成27年7月31日
千葉大学
科学技術振興機構(JST)
詳細は、リンクを参照して下さい。
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ポイント
○肥満によって自己免疫疾患を含む
炎症性疾患の発症リスクが高まると
言われていたが、そのメカニズムは
不明であった。
○肥満患者に高発現する脂肪酸合成酵素
「ACC1」が自己免疫疾患を
悪化させる分子メカニズムを
解明しました。
○ACC1を制御すれば、肥満によって
引き起こされる自己免疫性炎症疾患の
治療への道が開けると期待される。
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JST戦略的創造研究推進事業において、
千葉大学 医学研究院の遠藤 裕介
特任講師、中山 俊憲 教授らの
グループは、同大学医学研究院の
細胞治療内科学 横手 幸太郎 教授の
グループと共同で、肥満患者に高発現
している脂肪酸合成酵素「ACC1」が
自己免疫疾患注1)を引き起こす作用が
あることを発見しました。
食習慣、生活習慣の変化や運動不足に
伴い世界規模で“肥満”患者が増加して
います。
肥満、特に内臓脂肪蓄積を伴う
肥満症注2)は、糖尿病、脂質異常症、
高血圧などのいわゆる生活習慣病と密接に
関わっており、今後の医療問題の根本とも
考えられます。
肥満関連疾患というと糖尿病や
動脈硬化性疾患が注目されがちですが、
自己免疫疾患、慢性の気道炎症疾患である
喘息、がんなどの免疫担当細胞と関わりの
深い疾患の発症リスクが高まることも
明らかになってきています。
本研究グループは、肥満環境下の
CD4陽性ヘルパーT(Th)細胞注3)
に脂肪酸代謝の律速酵素注4)である
ACC1が高発現していることを
見いだしました。
また、慢性のステロイド抵抗性気道炎症
や自己免疫疾患を引き起こすTh17細胞
の割合とACC1の発現レベルに相関関係
があることを肥満患者検体で発見しました。
さらに、ACC1は脂肪酸合成経路を
活性化し、Th17細胞の
マスター転写因子であるRORγtの機能
を制御することで、Th17細胞分化を
促進するという新たな仕組みを
解明しました。
今後、ACC1やACC1が制御して
いる脂肪酸合成経路を創薬ターゲット
とすることで、将来的に肥満関連疾患の
治療開発に役立つことが期待されます。
本研究成果は、2015年7月30日
(米国東部時間)発行の米国科学誌
「Cell Reports」
オンライン版に掲載されます。
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>肥満関連疾患というと糖尿病や
>動脈硬化性疾患が注目されがち
>ですが、
>自己免疫疾患、慢性の気道炎症疾患
>である喘息、がんなどの免疫担当細胞
>と関わりの深い疾患の発症リスクが
>高まることも明らかになってきています。
前から良く言われていますが、
肥満が身体に良くないのは確実。
こういうことも知っておきましょう。
>肥満患者のCD4T細胞において、
>ACC1の発現レベルとTh17細胞の
>割合に相関が認められたことから、
>ACC1は自己免疫疾患を含む
>肥満誘導性の炎症性疾患のリスク因子
>であると考えられます。
>今後、ACC1やACC1が
>制御している脂肪酸合成経路を
>創薬ターゲットとすることで、
>将来的に肥満関連疾患の治療開発に
>役立つことが期待されます。
将来とは一体いつ頃のことなのか
気になりますが、期待しましょう。
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