マクロファージを活性化させる転写因子を発見
-結核菌などへの感染防御の仕組みを
理解する新たな展開-
2015年5月20日
理化学研究所
ケープタウン大学
詳細は、リンクを参照して下さい。
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理化学研究所(理研)ライフサイエンス
技術基盤研究センター細胞機能変換技術
研究チームの鈴木治和チームリーダー、
スガタ・ロイ研究員と、ケープタウン大学
のフランク・ブロムバッハー教授らの
共同研究グループは、結核菌などに対する
マクロファージ[1]の感染防御機構が、
転写因子Batf2の発現誘導によって
制御されていることを発見しました。
マクロファージは免疫システムを担う
細胞の1つで、生体組織からのシグナルや
環境ストレスによって活性化し、感染防御
や組織修復などさまざまな作用を示します。
マクロファージの活性化は、T細胞[2]が
分泌するインターフェロンガンマ(IFNγ)
[3]や結核菌感染などの刺激で生じますが、
マクロファージの複雑な活性化機構の
全体像は、よく分かっていません
でした。
共同研究グループは、IFNγ刺激による
マクロファージの活性化において、
これまで機能が不明とされていたBatf2が
顕著に誘導されていることを
発見しました。
マクロファージでのBatf2の誘導は、
IFNγ刺激や結核菌などの病原体感染
による感染防御遺伝子の発現に必須
であり、Batf2がこれらの感染防御遺伝子
の発現を制御していることも分かりました。
さらに、それらの感染防御遺伝子の
制御部位の配列などを解析したところ、
Batf2はIFNγ刺激や結核菌感染によって
誘導されるIrf1と呼ばれる別の転写因子と
複合体を形成し、感染防御に働く遺伝子の
発現誘導を行っていることが
示唆されました。
マクロファージの活性化に関わる
新しい転写因子Batf2の発見は、これまで
詳しく分かっていなかったマクロファージ
の感染防御機構を解明する大きな手がかり
となります。
Batf2やその周辺因子を制御することで
結核菌などに対する免疫反応を高めること
ができる可能性があり、今後の免疫学研究
や新たな感染症治療薬の開発に役立つこと
が期待されます。
本研究は、科学技術振興調整費および
JST戦略的国際科学技術協力推進事業注)
と南アフリカ国立研究財団(NRF)の支援を
受けて実施され、成果は米国の科学雑誌
『The Journal of Immunology』
(6月15日号)に掲載されるに先立ち、
オンライン版(5月8日付け)に
掲載されました。
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免疫システム本当に複雑ですね。
>マクロファージの活性化は、免疫反応や
>炎症反応の誘導など、さまざまな
>生体防御に関わっていますが、
>その複雑な活性化機構の全容は
>いまだ明らかになっていません。
>マクロファージの古典的活性化を担う
>新しい転写因子Batf2の発見は、
>マクロファージの活性化機構を解明する
>大きな手がかりとなります。
>Batf2はマクロファージの古典的活性化
>のマーカー遺伝子であるため、Batf2を
>含む分子ネットワークが感染症に対する
>新薬・ワクチン開発の新たな標的
>となる可能性など、今後の免疫学研究や
>感染医療への貢献が期待できます。
期待したいと思います。
ただ、道遠し、と思う。
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