細胞内巨大プロテインクリスタルの運命 -自食機構によって隔離されるタンパク質結晶-
-自食機構によって隔離される
タンパク質結晶-
2015年3月13日 理化学研究所
詳細は、リンクを参照して下さい。
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理研の研究者を中心とした研究チーム
は、サンゴ由来の蛍光タンパク質を
遺伝子改変する過程で、生きた細胞の中で
巨大なタンパク質結晶
(プロテインクリスタル)を形成する
改変体を偶然発見し、Xpa(クリスパ)と
名付けました。
生きた細胞の中、とくに細胞質内に
おいては、非常に多くの種類の分子が
絶えず動き回っているため、結晶の形成
は難しいとされていました。
もっとも、Xpaタンパク質は蛍光を
発することで発見されたと言えるで
しょう。
通常のタンパク質の結晶化も実は頻繁に
起きている可能性があります。
研究チームは、Xpaタンパク質を材料
に、タンパク質が細胞内で結晶化する過程
や、その後に分解処理されていく過程の
解析に取り組みました。
まず、Xpaタンパク質を発現する
培養細胞を観察したところ、結晶が非常に
速いスピードで成長することが分かり
ました。
結晶の核が形成されると同時に、
細胞質に存在するほぼすべての
Xpaタンパク質が瞬時に集合して結晶が
完成することが考えられました。
電子顕微鏡による観察では、結晶内に
Xpaタンパク質の多量体構造が規則正しく
整列する様子が確認されました。
また結晶が、細胞内小器官である
リソソームの膜で覆われていることが
分かりました。
リソソームは細胞内の不要なタンパク質
を分解するオートファジーを担う器官
です。
Xpaのような大きなタンパク質結晶
構造体の場合、大規模かつ非選択的に
分解する「非選択的オートファジー」
によって処理されると思われましたが、
そうではないことが明らかになりました。
不要の目印をつけて分解システムに
持ち込む「選択的オートファジー」
によって処理されていることが確認
できました。
すなわち、細胞質内で生成した
Xpaタンパク質結晶が、その後
オートファゴソームという膜構造に
囲まれ、最終的にリソソーム内に移行
することが観察されました。
今回の研究によって、タンパク質結晶
に対する細胞の応答に関して新しい知見
が得られました。
Xpaのように結晶化しやすく突然変異
したタンパク質が、どのように
認識・処理されていくのかを調べること
は、分子進化の観点で興味深い
研究テーマになります。
また、結晶だけではなく、
タンパク質分子が不規則に固まる“凝集”
にまで研究対象を拡大すれば、病気の原因
とも言われる細胞内凝集体の存在様式
について理解が深まると期待されます。
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面白い現象ですね。
何故細胞内で巨大なタンパク質の結晶
が出来るのでしょうか?
これによって病気の原因とも言われる
細胞内凝集体の存在様式について理解が
深まると良いですね。
細胞内凝集体は問題児ですから、
その解消に繋がればと思います。
淡い期待だと思うのですが、
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