医薬品、ファインケミカルの新しい製造法:原料から直接医薬品の連続合成が可能に
2015/04/16
東京大学大学院プレスリリース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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発表のポイント
・これまで99%以上の医薬品の有効成分等
を製造する手法として利用されてきた
バッチ反応法(注1)には環境への負荷
が高いという問題点がありました。
・今回実現した手法(フロー精密合成
(注2))により、医薬品の有効成分
である (R)-ロリプラム(注3)の合成
に成功し、バッチ反応法よりも極めて
効率のよい合成を達成しました。
・本成果は「フロー精密合成」という
新しい概念を実現したものであり、
今後、基盤技術として発展させること
により、化学・製薬産業の国際的競争力
強化、周辺産業の活性化につながる
ものと期待されます。
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発表概要
東京大学大学院理学系研究科の
小林 修教授らの研究グループは、
フロー精密合成(注2)により、
医薬品有効成分である(R)-及び
(S)-ロリプラム(注3)(図3参照)を
高収率、高選択収率で合成することに
成功しました。
同研究グループは、高活性な固定化触媒
(注4)(不均一系触媒)を開発し、
本触媒を用いた多段階連続流通法(注5)
(図1,2参照)によって、原料を複数種類
の筒状の容器(カラム(注6))に連続的
に通過させるだけで8段階の化学反応が
効率よく進行し、 (R)-及び
(S)-ロリプラムが簡便かつ高効率的に合成
できることを示しました。
現在の医薬品の有効成分や化成品、
農薬などの化学製品は、全ての原料等を
反応釜に投入して、物質の反応がすべて
終了した後に生成物を抽出する
バッチ反応法(注1)(図1a参照)を
繰り返して合成します。
このため、本法は余分なエネルギーや
労力を必要とし、さらには廃棄物が多量に
排出されるという問題点がありました。
今回開発した手法は、中間体の単離や
精製などが一切不要で、(R)-及び
(S)-ロリプラムの両者の合成も簡単に
できるほか、物質の反応に必要な
エネルギーもバッチ反応法に比べて低い
こと、触媒と生成物の分離操作が不要
という特徴があります。
また、本合成手法は他の
ガンマアミノ酪酸誘導体の合成や医薬品に
限らず、香料や農薬、機能性材料など、
広くファインケミカル(注7)の製造にも
応用可能です。
今後、本成果の基盤概念である
「フロー精密合成」を日本独自の基盤技術
として発展・確立することができれば、
「ものづくり日本」復権の切り札として、
化学・製薬産業の国際的競争力強化、
周辺産業の活性化につながることが
期待されます。
本成果は、イギリスの科学誌
「Nature」2015年4月16日号で公開
されます。
なお、オンラインでの公開は、
4月15日午前2時(日本時間)の予定です。
なお、本研究は、科学技術振興機構
(JST)の戦略的創造研究推進事業
先導的物質変換領域(ACT-C)及び
JSTの研究成果展開事業 センター・
オブ・イノベーション(COI)プログラム
の一環として行われました。
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上手く行けば、大きなインパクトのある
成果のようです。
>今後、本成果の基盤概念である
>「フロー精密合成」を日本独自の
>基盤技術として発展・確立することが
>できれば、「ものづくり日本」復権の
>切り札として、化学・製薬産業の
>国際的競争力強化、周辺産業の活性化
>につながることが期待されます。
とのこと。
素人なので、どの位インパクトのある
成果なのか具体的にイメージ出来ない
のですが、期待したいと思います。
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