ミトコンドリア病の原因解明、薬にめど
2015年3月5日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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原因不明とされた遺伝病の
ミトコンドリア病の仕組みを、熊本大学
大学院生命科学研究部の魏范研
(ウェイ ファンイェン)助教と富澤一仁
(とみざわ かずひと)教授らが初めて解明
した。
さらに、発症の原因を押さえる薬も
見つけており、臨床試験を検討している。
有効な治療法がなく、厚生労働省の
難病に指定されているミトコンドリア病
の患者に光を当てる研究として世界的に
注目されている。
3月3日付の米科学誌セルメタボリズム
のオンライン版に発表した。
同誌の編集部は重要論文として
レビューした。
ミトコンドリア病は、全身の筋力や
心臓機能の低下などの症状
(ミトコンドリアミオパチー)が
見られる。
1万人に1人程度、発症し、軽度から
死に至るものまである。
生物のエネルギー源であるATPを産生
する細胞内小器官のミトコンドリア内に、
独自の遺伝子のDNAがあり、それを基に
RNAを介して酵素のタンパク質が作られ、
ATP合成系が構築されている。
DNAに変異が生じると、ATPが十分に合成
できなくなり、多くのエネルギーが必要な
筋肉や心臓の働きが低下することは
これまで知られていた。
特定の遺伝子に変異があると、なぜ
ATPが十分に合成できなくなるのか、
その分子レベルの仕組みは謎だった。
研究グループは患者の細胞内の
ミトコンドリアでのATP合成系を詳しく
解析した。
DNAの設計図を基に、20種類のアミノ酸
を連結させて、タンパク質を作る役割を
している転移RNA(tRNA)に着目した。
4種類のアミノ酸に対応するtRNAは
通常、Cdk5rap1という酵素で硫黄修飾を
受けて、タンパク質を作ることができる。
ミトコンドリア病患者の細胞では、
遺伝子変異で酸化ストレスが特に強い。
Cdkrap1は酸化ストレスに極めて弱い
酵素で、酵素活性がなくなる。
ミトコンドリア病患者では、
この酵素活性が低下しているため、
硫黄修飾されていない tRNAが
ミトコンドリアに増えて、タンパク質を
正確に作れないようになった。
このため、正常なATP合成が十分に
できず、筋肉や心臓がエネルギー不足に
陥り、ミトコンドリア病を発症すること
を突き止めた。
さらに、硫黄修飾されていないtRNAを、
あたかも硫黄を修飾されたような形態に
する既存の薬も見いだした。
「今後は、この薬がミトコンドリア病
の治療薬になるか臨床研究を実施して
いきたい」としている。
富澤一仁教授は「ミトコンドリア病に
効く可能性がある薬は、糖尿病にも有効
なことを既に発見しており、4月から
医師主導の臨床試験を始める。
tRNAの構造解析で、この既存薬の可能性
をたぐり寄せた。
ミトコンドリア病のような遺伝子に変異
があって発症している患者にも有効
なので、臨床試験を積み重ねて、
ぜひ治療に使えるようにしたい。
約30年前から普及している処方薬
なので、臨床応用しやすい」と意欲を
見せている。
関連リンク
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素晴らしい。
>同誌の編集部は重要論文として
>レビューした。
注目される論文だということですね。
>ミトコンドリア病のような遺伝子に
>変異があって発症している患者にも
>有効なので、臨床試験を積み重ねて、
>ぜひ治療に使えるようにしたい。
しかも薬が
>約30年前から普及している処方薬
>なので、臨床応用しやすい
とのこと。
既存の薬が思っても見なかった
効力を発揮するという話し、最近
結構ありますね。
ミトコンドリア病の人にとって光明
になりそうです。
おおいに期待したい。
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