光合成担う巨大な光化学超複合体を発見
2015年3月30日
サイエンスポータル科学ニュース
詳細は、リンクを参照して下さい。
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地球上の生命活動を支えている光合成
には2種類の光化学系がある。
半世紀以上前から知られていること
だが、その2種類の光化学系が高等植物
では巨大な超複合体を形成して巧みに
協調して働いているという新事実を、
北海道大学低温科学研究所の田中歩
(たなか あゆみ)教授らがモデル植物の
シロイヌナズナで見いだした。
光合成の環境適応や調節の仕組みの
理解を深める発見として大きな議論を
呼びそうだ。
同研究所の横野牧生(よこの まきお)
博士研究員、高林厚史
(たかばやし あつし)助教、神戸大学
分子フォトサイエンス研究センターの
秋本誠志(あきもと せいじ)准教授との
共同研究で、3月26日付の英オンライン
科学誌ネイチャーコミュニケーションズ
に発表した。
植物などが担う光合成は光エネルギーを
利用して、二酸化炭素と水を原料に糖を
合成する化学反応である。
そこで中心的な役割を果たしているのが
光エネルギーを変換する光化学系のⅠとⅡ
で、光を受けてそれぞれ働き、水を分解
して引き出した電子を伝達してエネルギー
を蓄積する。
これは、2つの電池が直列につながって
いるのに似ている。
この2種類の光化学系の協調と制御が
重要で、そのバランスが崩れると、
光化学系は壊れてしまう。
これまでは、2つの光化学系は独立して
存在すると考えられており、協調的に動く
構造と仕組みはよくわかっていなかった。
研究グループは、植物の光化学系を
ありのままに分離する電気泳動法と、
エネルギーの移動を調べる時間分解蛍光
分光法を改良して組み合わせ、謎だった
光化学系の構造をシロイヌナズナの葉緑体
で詳しく解析した。
その結果、光化学系Ⅱ内の励起エネルギ
ーが、光化学系Ⅱのクロロフィルを介して
光化学系Ⅰに伝達されることを見い
だした。
励起エネルギーの伝達は極めて
近接した分子間でしか起こらないので、
光化学系ⅠとⅡが結合していることが
わかった。
さらに、この実験結果から予測される
光化学系ⅠとⅡが結合した超複合体を、
電気泳動法で分離することに成功した。
このように、別々に存在するとされて
いた光化学系のⅠとⅡが巨大な超複合体を
形成して、その中でエネルギーが行き
交って、自動的にバランスが取られている
ことを突き止めた。
光が強くなって電子伝達が渋滞すると、
光化学系Ⅱを駆動させていた
励起エネルギーも、下流の光化学系Ⅰを
動かすのに転用されるなど、超複合体が
励起エネルギーを共有して、ストレス回避
や光合成の調節に重要な役割を果たすこと
も確かめた。
この光化学系ⅠとⅡの超複合体は
可塑的構造で、光が強まると、その割合が
増えることも実証した。
環境によって、一定の割合の光化学系Ⅰ
とⅡが別々に働くので、従来の説を完全に
否定したわけでなく、修正するものと
なった。
田中歩教授は「従来の研究では、2つの
光化学系が空間的に独立していることが
信じられて、それが前提になっていた。
今回、超複合体の存在が明らかになり、
環境適応や調節、進化、応用など光合成の
さまざまな分野で新しい展開がある
だろう。
現在、常緑樹がどのように凍結環境下
でも光合成装置を維持できるのかを、
光化学系の超複合体の視点から解析を
進めている」と話している。
関連リンク
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>従来の説を完全に否定したわけでなく、
>修正するものとなった。
とのことです。
この新しい発見が、人口光合成装置の
開発にとって大きな力になれると良い
ですね。
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