「上皮間葉転換」により薬が効かなくなったがん、2種の薬の併用が効果あり
2015年2月3日 Med エッジ
詳細は、リンクを参照して下さい。
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通常動かない「上皮性」のがん細胞が、
「間葉系細胞」という動き回れる細胞の
ように変化し、転移を起こしやすくなった
状態を「上皮間葉転換(EMT)」という。
上皮間葉転換を起こして薬が効かなく
なったがん細胞に、もう1種類の薬を併用
すると効果的であると分かった。
米国の医薬品会社ジェネンテック社を
中心とした研究グループが、がん研究の
国際誌キャンサーリサーチ誌
2014年8月14日号で報告したものだ。
分子標的薬は、副作用が少なく、
より高い治療効果が望まれるとして期待
されている薬だ。
しかし上皮間葉転換などにより、例えば
「チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)」
という種類の分子標的薬の効果をすり抜け
て増えるがん細胞が出てきてしまい、
問題となっている。
研究グループは今回、がんが分子標的薬
の効果をすり抜けるのと「AXL」という
タンパク質が関係していると見て、ヒトの
643種類のがん細胞で実験を行い、解析
した。
AXLは「チロシンキナーゼ受容体」
という種類のタンパク質だ。
いわば「すり抜けタンパク質」。
その結果、予後不良と言われている
「トリプルネガティブ乳がん」と
「非小細胞肺がん」の細胞で、AXLが
増えると上皮間葉転換を起こすと分かり、
AXLと上皮間葉転換の間に強い関連性が
見られた。
さらに、新しい分子標的薬を探索して
いる過程で、がん細胞の
「分裂を抑える薬」と、「AXLのはたらき
を邪魔する薬」を一緒に使うと相乗効果
を生んで、上皮間葉転換により分子標的薬
「チロシンキナーゼ阻害薬」が効かなく
なったがん細胞を殺せると新たに
分かった。
ただし、AXLを邪魔する薬のみでは効果
がなかった。
2種類の薬の併用が、分子標的薬を
すり抜けたがん細胞をたたくための、
新たな戦略となると研究グループは
見ている。
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「上皮間葉転換」ね~
いろいろありますね。
効果抜群のはずの分子標的薬がなかなか
効果を発揮しずらいのは、こういうことも
あるのですね。
素晴らしい発見です。
今後に期待します。
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